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隙間

配信日時: 202×/1/25 23:42~

配信者: 20代男性『りゅーや(仮名)』

ジャンル: 雑談系

視聴者数:【計26人】

切り抜き箇所: 24:47~25:00



『ってなわけ、あれは奇跡だわーもう他の子の可能性ないね、一生大事にするって決めたから!……はい、え〜っと次のコメントは、』

【ほんとに今まで彼女いなかったんですか?】

『だからいないいない! さっきから言ってるけど年イコール童貞だからオレ! やっっっと春が来たのよ、長かったぁマジで。てか1時間くらいずっと付き合った経緯とか初デートの話してんのにぜんぶウソだったらオレだいぶヤバいやつでしょw 妄想しすぎかってw そこまで拗らせてねーから!』

【おめでとう! お幸せに!】

【抜けがけずるいぞ】

【もうキスした?】

【妄想乙】

【怖い話教えてください】

【彼女の写真見たい】

【全部嘘だったら面白すぎる笑】

『はーいみんな色々コメありがとね〜……ん? なんか1個変じゃね? 怖い話ってなによ急にw 初見さんだよね? そのコメが怖いわww』

【視聴者にヤバいやつ混じってるw】

『あーでもいっか! 今日はオレの初彼女の話ばっかだったし、そろそろ終わるし、最後にいっこだけ怖いの話すわ! 寝れなくなっても知らねーぞw』

【こわいの苦手!でも聞きたい〜】

【りゅーやさんの怪談気になる】

『って言ったけど、言うほど怖くないわたぶん。オレの体験談なんだけどさー、オレはもう全然怖くないんだけど、ちょっと話すわ。

 みんなはさ、隙間って怖くない? ほんのちょっと開いたドアとかベッドの下とか半分開いたカーテンとかそういうの。オレ小さいころ、そういう隙間がめっちゃ怖くて苦手で。2, 3歳の頃なんだけど、家ん中で隙間を見つけたら母さんに閉めて!閉めて!って泣き叫んでたらしいのよ。小さいころって誰でも怖がりだと思うけど、オレのは大人が引くぐらい異常な怖がり方してて。で、親以外誰にも言ってないんだけど、実は隙間が怖いんじゃなくて、隙間にいるやつが怖かったわけ』

【やつってなに】

【幽霊的な?】

【泥棒の方が怖い】

『そいつは、まぁ人なんだけど見た目は、女の人っぽいかな、中性的っていうの? そんな感じ。真っ白な顔しておっきく目ぇ開いて、真横から顔出して……小さいオレでも直感でぜったい人じゃねぇなって思ってて。そいつは家でも保育園でもどこの隙間にも絶対いるのね。そんで、ずーっとオレのほう見てニッコリ笑ってんの。怖い化け物がニタニタ笑ってんじゃなくてニコニコ微笑んでる感じ。やさしー感じで。体があったら入れないような細い隙間にもいて、こっちをじっと見てんの。でも見てるだけ。近づくといなくなるし、逆に隙間を開けても消えるから驚いたわ』

【想像したら意外と笑える】

【人間じゃない悪霊だ】

【なにそれこっわw】

【話うまいね!】

『でもなんもしてこなくても知らない人的なやつがいる時点で怖いじゃん? 近所のスーパーでも保育園でも騒ぎまくるから問題児扱いだったよ。でもさ、さすがに何年も見てたら慣れるわけよ。小学校入る前には、ああこいつは何にもしてこないな、いるだけで近づいてこない、笑ってるだけなんだなって思ってて……そんで気づいた時にはいるのが当たり前になってた』

【微笑むユーレイは初耳】

【慣れるんだw】

【メンタル強すぎ】

『オレがだんだん騒がなくなったから、親はどっちもやっと息子の幻覚病が治ったみたいな、そーいう態度だったね。安心してたから、オレもまだ見えてることは黙ってた。当然学校行ってもオレにだけ見えてるわけだから黙ってるよね。変なこと言って仲間はずれはイヤだし。あいつが見えるのはオレだけの秘密だった。もうそのころは隙間を閉めなくなって、わざと少し開けたりしてた。なんか変なんだけどそのニコニコした顔見ると心から安心するってゆーかリラックスするってゆーか……癒されるんだわ、なんでだろね』

【自分の子供だったら心配しちゃう】

【幽霊で癒されんのヤバ笑】

『中学、いや小5くらいになってくと、親に話したくないことも増えるじゃん? 今はこんな格好だけどさ、オレ根暗だったからさ、軽くだけどいじめられてて。でも誰にも言えんし。てなると話す相手が一人しかいない、真っ暗な隙間からいつも笑って見守ってくれるあいつだけが何も気にしないで喋れる相手だった。相談するっていっても向こうはなんも喋らんし、オレが学校で誰誰がこんなことしてきて~とか、勉強ぜんぜんわからんって感じで一方的に喋ってた。なんもしてくれんけど、なに話してもニコニコ笑ってるから受け入れられてる気がして気持ちがスーって楽になる。世話になってるのにあいつそいつで呼ぶのも悪いかって。顔が白いからそのまま”カオシロ”って名前つけた。そしたら喜んでくれたのか、もっと笑うようになった。勘違いかもしれないけど、どうせオレにしか見えてないしオレがそう思うならそれでいいかって。カオシロが笑ってくれるのが何より嬉しいから』

【思春期はみんなそうだよね】

【いじめ絶許】

【コメ返ないな】

【カオナシパクったっしょ笑】

【顔色悪くね?】

『家にいたらしょっちゅう話してた。ひとり言に聞こえるから親は心配してたけど電話のフリしてごまかしてた。親には学校の話なんか一つもしないのにカオシロには何でも話した。坂道の多い通学路、嫌いな先生、苦手なクラスメイト、嫌なことのストレスはぜんぶカオシロに喋って消してた。テストでいい点とったとか友達ができたとか、そういう良いことも話したよ。中学はずっとそんな感じだった。根暗なままだったけど普通の学校生活だった。高校入ってから周りの人に恵まれて、運がよかったのかなぁ、ちょっとずつオレは変わっていった。友達も増えて部活やったりもした。勉強もそこそこ頑張って受験して大学行って、サークルもバイトも始めたら楽しくて。そしたらこないだ好きな人ができてさ、めっちゃ奥手の自分が色々調べたり友達に聞いて、緊張したまま告ってみた。ダメもとだったけどまさかのOKでさ、さっきも何度も話したけどほんと嬉しくて、奇跡かなって、頑張ってよかった~って思ってる』

【イイハナシだな】

【なんかおかしいような】

【目が死んでる……】

【あれ怖い話どこいった?】

【もうすぐ】

『でも気づいた。カオシロが変わってるのに。雪みたいな真っ白から焦げたみたいにどんどん黒くなってきて。顔が、笑ってた唇が下がってきて、もうニコニコしてないんだ。あんなに笑ってくれてたのに、もう笑ってない。たぶん怒ってる。なんでかはわかんない。最近話しかけてなかったからかも、そうかもしんない。どうしよ』

【もうやめたほうがいい】

【今日は終わろう】

【様子が変だよ】

【無理しないでー】

【カオシロって本当にいるの?】


『今もいるよ。そこのドアの隙間から顔出してる。やっぱ怒って……あ。入ってきた』

『バタッガシャン、ガタガタガタガタ』


【なにいまの】

【えなにこれドッキリ?】

【やば】

【マジのやつ?】

【画面まっくろじゃん】

【やらせでしょ】

【黒いやつ見えたんだけど】

【りゅーやさん大丈夫!?】

【事故だ】

『アアウウウウ……ザザザザーザザー』



 配信終了


 以降同ユーザーの配信は行われず所在不明。該当アカウントは現在削除されている。

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