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28.『旅は道連れ、世は情け』っ言うでしょ? 

投稿日:2025/12/27



「おはよう~ イブちゃん。私昨日何時寝たかわかる? あれ?イブちゃん?

……あれ? どこ? あれ?? え? イブちゃん~!! イブちゃん~!!!!」

テントの中で目を覚ましたレイ先生の声が段々と焦りだした。


 あ、そう言えば… レイ先生起こしてなかった。

「もう起きたの? 私はテントの外に出てるだけだよ~ ちょっと散歩してきただけだから~ まだ寝ててもいいよ〜」

テントを少し開け顔を覗かせ言った。

 どうやら、レイ先生も寝起きは脳が覚醒していないらしい。 当たり前だよね。 それにしても、レイ先生の取り乱すとは、珍しいこともあるんだね〜 ちゃんと脳内フィルターに保存しておかないと。


「イブちゃん。 ここはもう屋敷では無いのよ? 野宿には沢山の危険が付き纏うの。だから…私を不安にさせないでよ。  

 良い、イブちゃん。森を向けたから危ない魔物に襲われる可能性は減ったけれど、国に近づくにつれて野盗に襲われる可能性は増えるのよ。 外に出歩くときは一緒に! 分かった?」

目を覚ましたレイ先生は着替えをしながら言った。


「野盗? そんなのもいるの? 森での散歩中1回も見たことなかったから知らなかったよ。 ここの世界は以外と野蛮な存在もいるんだね。 う〜ん…もしかしたらさっき会った人達も野盗だったのかな? 大勢で、このテントを囲んでて怪しかったから後ろから襲っちゃって… どう隠蔽しようかと迷ってたけど、野盗ならそんな事しなくても良いよね? レイ先生確認してもらっていい?」

さらっとそう言うと顔を引っ込めた。


「? ……? ここの世界っていうのも引かかるけれど… 今、もっとヤバいこと言わなかった? 後ろから大勢の人を襲った? イブちゃん!! その場を動かないでね! い、今私も外に出るから。」

レイ先生は慌てた様子でテントから出てきた。


 テントの外に広がる景色は、レイ先生が想像したような、血だらけの人の山…ではなく、意識を失った男達の丁寧に横に並べ寝かされている光景だった。 拘束はしておらず、外傷は見えないのだが…

「私の相棒でこの人達の足を2発ずつ叩いたから、多分全員の足の骨折れている…かも? あ!でも峰打ちだから切断はしてないよ。 それに、皆ズボンを履いているから外傷も見えない!」

後で怒られるのなら…今のうちにやってしまったこを言った方がいい…よね?


「傷が見えなかったら大丈夫と言う考え方は良くないと思うけど… 服装をみる限り野盗で間違いなさそうなんだけど、これで一般人だった時が怖いのよね。

 もし、野盗なのなら、この場に置いて行って次の人が襲われるのは避けたい所をだけど、一般人なら目を覚ましたあと何を言われるのか…

 ん… 野盗だと思うだけど… どうしたらいいの…

 目を覚まし暴れられても困るから一応、麻痺の拘束魔法を少しかけておくけど… 」

レイ先生が頭を抱え考え込んでしまった。


 まずい… このままこの場で立ち往生していては、今日中に帝国への入国ができないのではないかと、私も考え込みながらグルグルと歩き回っていた時、乗馬した人達が私のもとにやってきた。


「失礼! お嬢ちゃん! 我々は帝国で騎士をしているものだ。 ここら辺で野盗の被害が相次いでいるのだが、何か情報を持っているだろか? 私達が聞いた話では、茶色いヒゲを肩まで伸ばした小太りな男が率いている集団で、10〜20人程で動いているらしいんだ。 お嬢さん達もここら辺で野宿をするのは危ないから早く離れたほうがいいとおもうぞ。」

乗馬した先頭の人が話しかけてきた。


 茶色いヒゲで小太り? さっき運び寝かせた人達の中にいたような?

「…もしかしたら、テント前で横になっている人達関係ある…かも? 見てくれませか?」

思い出しながら、話しかけてきた人に言った。


「テントの前で横になっている? と、取り敢えず行ってみるよ。 お嬢ちゃんも早く親御さんの所に行きなさい。 ここは危ないよ。」

優しく騎士の人が言った。


 それもそうだね。 乗馬した騎士さん達を抜き去り、レイ先生のもとに戻った。 数人の騎士さんは目を丸くして私を見ていた… 馬より速いのは流石におかしかったか?

 私が騎士さんと話し戻って来た訳だが、レイ先生は変わらず頭を抱え考え込んでしまっている。

 やれやれ…騎士さん達が話しかけてくれて助かった… 1日中この場で立ち往生するのは避けたかったから騎士さん達には感謝だね。

「レイ先生! もう少ししたら騎士さん達が来るって〜。 その人達に確認してもらえることになったからそんなに考え込まなくてもいいと思うよ〜」

レイ先生の横まで行き大きな声で言った。


「…………… …………………………  ん? イブちゃんちょっと待ってね。」

レイ先生はブツブツと何かつぶやきながら、流されてしまった。


 「もう… 騎士さんたちもうきちゃうよ~ レイ先生のスッピン見られちゃうよ~」

動かないレイ先生をテントの中に引き戻した。


 散歩でかいた汗を拭いたり、動かなくなったレイ先生の髪をブラシで整えたりと、私とレイ先生の身なりを『私が』整える。 ここ大事! レイ先生考え込むとここまで周りが見えなるんだね。 全く、レイ先生の過剰すぎる心配症には困ったものだよ。 

 それにしても…レイ先生の髪綺麗だね… 昨日野宿だったから、シャワーはもちろん水浴びもできていないのにサラサラだ。 実は私、他の人の髪をブラッシングすることが現実世界含めて、人生初めての経験だったのだが、上手に出来た気がする。 私の腕がいいのか、レイ先生の髪質がいいのか… まぁ、恐らく私の腕だよね。こんなところにも才能が発揮されてしまうのだね~ と一人鼻を伸ばしているとテントの外から声が聞こえてきた。


「しょ、小隊長!! ここに倒れている奴ら、聞いていた通りの野盗連中と特徴が一致しますよ! あの少女一人でやったんでしょうか?」


「いや、あの若さでこの人数の大人相手に1人では無理だろ。  親や保護者がいるはずだろ?きっとその保護者がやったんだろ。」


「いや、俺たちから去っていく時の速さお前も見ていただろ? きっと見た目よりずっと大人なんだろ。 でなければ、乗馬した俺たちより速いのは説明できないだろう?」


「大人であったとしても、馬より速く走れる人なんて聞いたことあるか…?」

テントの外で騎士さん達が横になった野盗を見ながら口々に話していた。


 レイ先生も外の声を聞き、ようやく我に返った。知らない人達の声がテントの外から聞こえて来たら怪しく思うよね。


「あの… 貴方達はいったい… え? 帝国の騎士団員の人達!? どうしてここに?!」

テントから顔を覗かせたレイ先生は外にいる騎士さん達に声をかけた。


「失礼! テントで休憩中に騒がしくしてしまった。 少し尋ねたいことがあるのだがいいだろうか? ここに横になっている野盗の集団は誰が制圧したのだろうか? 外傷も見当たらず、まるで眠っているようにすら感じる。 どうやったか教えて貰うことは出来るだろか?」


「それはね! 私の相棒達で優しく叩いただけだよ!  後ろからのニ撃。 散歩で収穫がなかったから、退屈してたんだよね〜」

私もテントから出てきて説明してあげた。

 後ろから襲った連中は野盗だったのだから私の行動は罪にならないよね!


「ちよっと! イブちゃん!」

レイ先生が私の口を手で塞ごうとしてきた。

 私何かした?!


「ハッハッハ 頼もしいお嬢ちゃんだ! しかしだお嬢さん、勇敢と無謀を履き違えてはいけないよ。 今回は寝ていて抵抗してこない相手だったが次も同じとは限らない。 危ないことしないのが長生きの秘けつだぞ!

 それで、お母さん実際この野盗達に何をしたのです?」

小隊長と呼ばれていた、私に最初話しかけてきた騎士さんが言った。


「おか、お母さん… わ、私、イブちゃん…この子の家庭教師であってお母さんではないです…

 魔法で一応拘束している状態なので、拘束していない訳ではないです。 もし、野盗のような一般人だった場合、一番被害が出ないようにと思いまして強い拘束出ないので、そこら辺は騎士団に任せます。」

レイ先生が恥ずかしそうに言った。

 確かに、レイ先生が後から魔法使ってたけど、ここに転がっているのは私の手柄でしょ〜 と不服そうにレイ先生の服を引っ張った。


「イブちゃん。 3歳くらいの少女が1人で野盗の集団に勝てると思う? イブちゃんなら余裕かもしれないけど、普通は手も足もでないの。 今はまだ目立つべきじゃないと思うの。いい?」

私の耳元でそっとレイ先生は囁いた。


 レイ先生がそう言うなら…恐らくそれが正解なんだろう。 何はともあれ、野盗達は騎士さん達が回収してくれるらしいので、私達もようやくテントを片付け出発することが出来る。 帝国は見えているとは言え、今日中にたどり着けるのだろうか? 昨日のペースで歩いていたらまた日が暮れてしまいそうだからね…


「俺たちは運が良い! まさか、任務に着いて1日で解決してしまうとは! これより帝国に帰還する。私と数人は先に戻り騎士団に報告。残りは野盗を拘束したうえで、野盗を帝国に連れ帰る。 行動開始!」

小隊長さんが中心に立ち指示を飛ばしていた。


 …今、先に帝国に帰るっていてたよね? もしかしたら… もしかしたりするのでは?

「ねぇ〜ねぇ〜 小隊長さん。私達野盗退治協力した報酬貰えないの〜?」

小隊長の側に駆け寄り、鎧の端を掴みながら言った。


「すまないな、お嬢ちゃん。 野盗を事前に制圧してもらった事に関してはとても感謝しているのだが、私に報酬を与える権力はないんだ。 ノーザンモスト帝国に来てくれるのであれば、騎士団長に掛け合ってみるが…来るか? 観光名所は少ないが、こんな所で野宿するよりかは楽しいと思うぞ。 興味があるのなら、騎士団の訓練を見学させてあげてもいいぞ! まぁ、俺ができるのはそれぐらいってことだ。」

小隊長さんは、苦笑いを見せ身体を翻し乗馬しようとした。


『逃がすと、思った?』 握る手の力を強めた。

 報酬として、帝国まで送ってくれるだけで、充分ありがたいと思い、言ってみたが…騎士団の訓練を見学? 普通ならできることではないはず。 それに、見学していれば、騎士団長に会える機会もあるかもしれない。 この機会を逃す訳には行かない。


「お嬢ちゃん… そろそろ出発したいんだが、手を離してくれないか? よくわからないが、体が一歩も進まないんだ。」

格好良く去るつもりであった小隊長さんは、情けなさそうにそう言った。


 勿論、聞き入れて上げないけどね。

「レイ先生〜 騎士団の人が帝国まで奥で行ってくれるって〜!! 今日は騎士さん達に甘えようよ〜。」

小隊長に向けてではなく、レイ先生に向けて言った。

勿論、小隊長の鎧からは手を離さずにね。

 

 「本気で来るのか?! まぁ、男に二言は無いってやつだ。 いいだろう。2人くらい増えた所で問題はない! …あの、送ってあげるから…そろそろ手を離してくれないか?」

驚きつつも、送ってくれると言ってくれた小隊長だった。


 そうと決まれば、テントを片付けたり、レイ先生に説明をしたりと少しやることができたので、小隊長さんの鎧から手を離してテントの方へ駆けていく。

 「レイ先生。 小隊長さんが帝国まで送ってくれるって言ってたよ。 速く片付け済ませよ。」

と言いに駆け寄ったが、その場にはもうテントがなかった。 どうやら、既にレイ先生が片付けてくれていたらしい。

 流石レイ先生。 心配性なだけで、普段は仕事が速い凄い人だと改めて感じた。


「遠くからイブちゃんが私に対して何か言っているのが聞こえたけど、何かあった? 小隊長さんに迷惑かけて無いよね?」

レイ先生は心配そうに言った。


「大丈夫! 小隊長さんが言い出したことだから。 私はその言葉に甘えただけ。

 私の気まぐれが騎士さん達を助けて、助けられた騎士さんは自国に戻るついでに私達をおくって行ってくれるだけで、お互い何も悪い事ないでしょ?

 それに、本来の予定だったら、そろそろ入国できている時間だよね。 今日くらい自分に優しくしても良いんじゃない?

 小隊長さん待たせてあるから、急ごう!」

レイ先生の手を引き小隊長さんの下へ向かった。


「もう、片付け終わったのか? 速いな… もう少し休みたかったところだが、こっちも準備終わってるぜ!」

馬の手入れを終わらせ、一服している小隊長さんが声をかけてくれた。


「わぁ〜 立派な馬さんだね。3人でこの子に乗るの?それとも別々?」

私の何倍もある、馬を指差し言った。

 小隊長さんの横で休んでいる馬さんは、他の馬さんと比べ体格がよく見える… 気のせいだろうか?


「こいつの名前は『レッドダイヤ』だ。 俺が見習い騎士ときからの相棒何だよ。 どうだ、大っきいだろ!

 3人でこいつに乗るのかって言う質問には… 勿論『yes』だ! こいつなら3人くらい余裕で運べるからな。 レッドダイヤはすごいんだぞ〜」

小隊長さんは誇らしそうに見せびらかし言った。


「確かに、立派な馬… だけど、この子って『魔物』じゃないかしら? 確か…」

レイ先生は馬さんを見渡し言った。


「え!この子魔物なの?!  言われてみると…逞しさが他よりある…ような?」

再度、馬さんを見渡したが今一ピンとは来ていない。

 外見は、他の馬さんとの違いを見つけられないけど、レイ先生は何処を見て判断したんだろ?


「お! よく分かったね。流石は家庭教師をやっているだけはある。 こいつは『ストーンホース』と呼ばれている魔物の一頭だ。 額に赤い宝石のような石が付いているのがその証拠なんだが。 今は鬣で隠している。家庭教師さんは何処で判断したんだ? 

 おっと、嬢ちゃん。 確かにレッドダイヤは魔物だが、大人しい性格だから安心して乗ってくれ。」

そう小隊長さんは言うと、鬣をかき分け赤い宝石を見せてくれた。

 それにしても…レイ先生は何処で判断しのだろうか? 当てずっぽう?直感? …レイ先生に限ってそんなことは無いと思うけど… 後で聞いてみよ。

 今は出発が最優先。


「そろそろ出発しよ! 日が暮れたからの入国だと、雰囲気を最大限感じることできないでしょ!!」

小隊長さんとレイ先生の背を押し、最後に私もレッドダイヤに飛び乗る。

 レッドダイヤの走りは逞しく、ノーザンモスト帝国がどんどん近づいてくるのを感じる。


「どうだ! 嬢ちゃん!! レッドダイヤの乗り心地は! このスピード!眺め! 最高だろ!!」

少し走った所で小隊長さんが言った。


 正直に言ってしまうと、速さ自体は私の方が速く走れるので、流れる景色の速さも、普段より高い視点にも見惚れることはないのだが、レッドダイヤに乗っていて、楽しく無いわけではない…寧ろ最高なくらいだ。

 なぜって? レイ先生と一緒に乗馬を体験をできているんだよ? 初めての乗馬を私が尊敬している人とできているんだよ? 楽しく無いわけがないではないか!!


「そうだね… 控えめに言って『最高』。 小隊長さんありとね!!」

小隊長に向かい直り、満面の笑みを浮かべ言った。


「それは何よりだ。」

小隊長はそう言うと前を向き直し速度をあげた。


「このペースなら昼には入国できそうかな? 楽しみだな〜 『ノーザンモス帝国』!!」

1人小さく呟き、近づきつつある帝国での観光に心を躍らせた。


お疲れ様ですよ〜 杯の魔女さんですよ〜


 今回の話は、野宿明けのトラブル。 イブちゃんは何時も何か抱えてやってくる。 目を離してはいけないとレイ先生も分かってはいると思うけれど、イブちゃんの無尽蔵の体力に付き合うのはレイ先生がいくら優秀な先生だとしても無理があるってものですね。

 『NLDW』の世界で縛られず思うがままに過ごすイブちゃんの姿は羨ましくもあり、微笑ましい光景ですよね。


 イブちゃんに常日頃お世話になっている私ですが…最近悩みを抱えているのですよ… 聞いてくれます? 月末、仕事が忙しくストーリーを考えている時間が取れなず帰って来たら疲れてねてしまう毎日。 月初には半分以上書けていたのですが、中々続きを書く気力がでず、月末になってしまった。

 仕事と趣味の両立って難しいですよね〜 


愚痴はこの辺にしておいて… 次回もお楽しみに〜!


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