24.イブちゃんの様子が…
投稿日2025/10/10
美波海の心配していたようなことは起きず、無事家に帰宅できた。
「今日1日で、普段抑えている感情が溢れたね。 私が私じゃないみたい。」
一人になり、落ち着いて感じた。
私…本当に涙もろくなったね。 働いている時は、感情を抑えて過ごしていたけど、最近の私本当に子供に戻っちゃったみたい。
「沢山涙流して想像以上に疲れちゃったな。 ちょっと早いけど今日は寝ようかな。 一日寝たらスッキリするでしょう!」
てことでおやすみなさい~
***AM5:00***
「わかってました。」
時計を見ると秒針は5時を指していた。
やることを済ませたが、特にやることがない…『NLDW』でも開きますか~。 そういえば昨日一日開いてないのかな?一日開かなかったら30日進んでいるんだっけ? 一か月程度で何か変わるとは思わないけど大丈夫だよね?
「パチパチ… ここはベッドの中と…時間帯はまだ日の出前。 『NLDW』の中も朝方か…」
ログインした時間が朝方ということもあり、今から外に出ても……ねえ?流石にタイミングが悪い。
結界を使っているから、日の出の直射日光を浴びても前みたいに動けなくなるとかはないけれど、本能的に日光を嫌がっているのは変わらないのと、もう少ししたら、お母さんが起こしに来る時間になるということもあり、自分の部屋でストレッチでもして過ごそうかな。
「ん…? 体が少し重い?」
ベッドから起き上がろうと体を起こそうとした時、いつもより体が凝っている気がしたが…気のせいだろう。
1日ログインしないだけで感覚が鈍るのは、私がフルダイブ型ゲームに慣れていないからか?などと考えながらストレッチを開始した。
「イブちゃん… ずっと部屋に閉じこもってないで、一緒にご飯食べましょ? 今日はレイと私でイブちゃんの好きそうな朝食作ってみたのだけど…どう?」
お母さんの声が部屋の扉前から聞こえた。
ん?…んん? いつもなら「イブちゃ~ん、ご飯よ〜」の一言、少し離れたキッチンから呼ばれるのだけれど…今日は色々違った。
「ずっと部屋に閉じこもってないで?」ってどう言う意味? なんだかいつもと違うくない?
「何か困ったことがあったら、相談してくれてもいいのよ? きっと力になるから…」
心配そうなお母さんの呼びかけが再びあった。
この1日…ここでは30日か! この30日で何があったのか分からないけど、これ以上お母さんに心配をかけることは避けたい思い一心で扉を勢いよく開けた。
「お母さん…? 何かあった?」
扉を開けた先には、不安そうな顔をしたお母さんがいた。
「あれ? もう大丈夫なの??」
私の反応を聞いて、ポカ〜ンとした表情に変わったお母さんが尋ねてきた。
「お母さんのその表情はよく分からないけど、私の好きそうなご飯なんでしよ? 早く食べよ?」
お母さんを置いて私はダイニングルームに向かった。
一体、この30日間で何があったんだ? よくわからないけれど…私の好きそうなご飯を作ってくれたのは嬉しいことだね。
ダイニングルームに着くと、レイ先生も、お母さんと同じ表情になっていた。驚いているような?安心したような?何とも言えない表情… 私本当に何をしたんだ?
「あの集まりから帰ってから、イブちゃん…貴方一度も部屋から出て来なかったことは覚えているでしょ? 私達がいくら声をかけても、一言返事も返さないで…本当に心配していたのよ?」
私の後ろからダイニングルームに入ってきたお母さんが言った。
ん?ん??…ん?…… 私…この30日間部屋に引き籠もっていたの? なんで?
「俺が説明しましょ〜」
お母さんでもなく、レイ先生でもない声が私に聞こえた。
「誰?」
反射的に声が聞こえた方を振り向く。
お母さんや、レイ先生の頭上に『?』マークが浮かんだような顔で見てくる。 それもそうだろう…あれはプレイヤーである私にしか見えないのだから。
「前に一度説明はあったと思うっすけど、もう一度説明するっすね!
『NLDW』の世界は、プレイヤーがログアウトしている時でも時間は止まるんすよ。プレイヤーがログアウトしている時は、AIが亜里沙さんの今までの行動を分析して、亜里沙様らしい行動行うようプログラムされているっす。
どうも! ナビゲーション『AI』の愛ちゃんを動かしている『運営』っす。 今日は亜里沙さんに謝らなければならないことがあり、会いに来たっす。
亜里沙さんは『NLDW』公式から新しく出たPVをご覧になったすか? ご覧になっているなら恐らく気が……」
急に現れた愛ちゃんは私が話す隙を与えず話を続けようとした。
「ちょっとストップ~!! 私がログアウトしているときAIが代わりに動いていることは、思い出したけど…私の行動をどう分析したら、私らしい行動が引き籠もりになるのよ!!」
と、叫びたくなったが…今思い出せば心当たりは何個か出てきたので…抑えた。
現実世界、ママを亡くして仕事付けになった数年、心の中はずっと虚無感に苛まれ、何もせず引き籠もりになりたいと考えていた過去… 当時の私は確かに引き籠もりなりたいと心から思ったことはある。
しかし、この過去をどうやってAIが分析したのかは分からない…分からないが…私の変わりに動いてくれる『AI』は引き籠もりという、事実は変わらないのだと悟った。
「何か…対策しないと…」
今後ログインした時、毎回体が凝り固まっているのは嫌だし、お母さんやレイ先生に心配をかけるのはもっと嫌だからね。 愛ちゃんのおかげで原因は理解できたけど同対策するべきか… これはもう…
「ちょっと!聞いてたっすか? 新しく出したPVに亜里沙さんの許可なく上げてしまった件に関しての謝罪は受け入れたくれたってことでいいですか? いいですよね? クレームだけはやめてくださいよ? 亜里沙さんのクレーム一つで俺、プロジェクト降ろされる可能性があるんすよ~… お願いしますよ?」
私が考え事をしている間も止まらずしゃべり続けている愛ちゃん… 愛ちゃんって呼んでいいのかな?
「もう…わかったから! 今日はもういいから! これ以上私を困らせないでよ~!!」
愛ちゃんに向けて放った言葉は、愛ちゃんを見えないお母さん、レイ先生の顔を更に曇らせた。
今は愛ちゃんに気を配っている場合ではない。 今は誤解を解かなければいけない。多少は無理やりでもいい!
「お母さん!レイ先生! 私はどうやら極度に疲れがたまると、引き籠もりたくなるようです。 しかし、そんな私を甘やかすのではなく普段通りの生活を共用するようにしてください!
特にレイ先生!私の態度が変化した時こそ、心を鬼にして接して下さいね!
最後に! 私今みたいに虚空に向かって話をする時が今後もあるかもしれません、そんな私は無視しちゃっていいです!」
言い切った…無理矢理の説明だが、今後は私がログアウトしている時でも、お母さんやレイ先生が何とかしてくれるだろう。
「イブちゃん… ホントに大丈夫?」
今まで以上に不安な顔してお母さんが私の顔を覗き込んできた。
「その甘やかしがダメって言ってるの~! もう!ご飯なんでしょ?早く食べよ? 長い間引き籠っていたから身体も固まっているんだから! レイ先生、食後の授業は実技でいい? いいよね?!」
この気まずい雰囲気から早々に抜け出したく美味しいご飯をかきこみダイニングルームからそそくさと逃げ出した。
「二人とも普段の態度に戻ってよ~」
心からの叫びは屋敷に響き渡った。
~レイの視点~
***1ヶ月前***
イブちゃんとお母さん、2人が吸血鬼の集まりがあると家を後にして2日間、特にやることも無かったので広い屋敷の掃除をしたり、イブちゃんの授業の準備をしたりとゆっくりとだが、時間を無駄にすることなく過ごしていた。
2人が帰ってきたのは、3日目の朝。 疲れて寝ているイブちゃんを背負いながらお母さんは帰って来た。
「出迎え?フフッ 嬉しいわ。 レイ、この2日間私達がいない間留守番ありがとうね。
疲れて寝ちゃっているイブちゃんをベッドまで運ぶわ。 この2日間色々無理させたかしらね? もう朝だけど今はそっとしておいてあげましょ。
レイは朝食もう食べた? イブちゃんをベッドまで運んだら朝食作るから少し待っててね。」
自身も疲れているだろうに、私に気を使い朝食を作ってくれるみたい。
「お母さん! 私、この2日間何もしていないから、朝食くらいは私が作ります。 お母さんはイブちゃんをベッドまで運ぶだけで良いですよ」
お母さんに少しでも休んでほしく、私が声をかけた。
この2日間何もしていない私とは違い、お母さんはこの森から見て、北にある山を越えた場所に位置する新皇国を2日で行き来するという常識からかけ離れたことをしているわけであって、疲れていないはずがない。
その証拠として…普段、私の前で弱っている所を見せにないお母さんが朝食を食べ終わった後テーブルに突っ伏して寝てしまった。 起こさないように、静かに片付けを済ませその他の家事を済ませた。時間がたち起きてきたお母さんには感謝されたがこれくらいはやらせて欲しい。
***1日後***
「レイ! ちょっと起きて! イブちゃんが何かおかしいの!」
お母さんに呼びかけで作業中の手を止める。
「何かおかしい?」とは? よく分からないが、お母さんに引っ張られてイブちゃんの部屋の前まで来た。
確かに、普段なら一度『ご飯』と呼べは返事を返し少ししたらダイニングルームに来るはずなのに、今日はお母さんの呼びかけに返事を返さない。
「まだ寝てる?中の様子見たしたか?」
お母さんに聞いてみると…
「えぇ… 部屋の鍵は空いていたから、心配で入ってみたけれど… 毛布にくるまって出てくる気配がしないのよ…」
とお母さんは答えた。
起きてはいるけれど、布団から出てこない… あの食い意地は強いイブちゃんが朝食を抜くとは思えないけれど、何かあったのかな?
「今日もそっとしておきます? 時間が解決してくれるときもありますし。」
そう提案してみる。
「そうね…まだ疲れが溜まっているのかしら… 今日は様子をみましょう。」
お母さんも賛成した。
しかし…1日、2日…5日…10日と時間が経ってもイブちゃんは部屋から出て来ず、部屋の鍵を閉め引き籠もってしまった。
お母さんが言うには、集まりで少し怒りすぎたのが原因かもしれない…とのことだった。
普段家にいる時もイブちゃんの奇行はよくあることで、その都度お母さんが説教している場面を見るが、その説教で不貞腐れているイブちゃんを見たことはあるけれど、今回のように引き籠もってしまうほど傷ついてしまったことは無かった。
何時もなら、お母さんに怒られ不貞腐れている時のイブちゃんは、私に同調を求めてくることが多いのだが、今回はそれもない… 私が話しかけても返事が返ってこない…
そんなイブちゃんに私達ができることと言ったら、心を開きやすい環境を作ってあげるくらい。 そんなのことしかできず…30日が過ぎたある日。
イブちゃんが部屋から出てきた… 正直目を疑ってしまった。 昨日までは部屋に引き籠もっていたイブちゃんが今日はお母さんの呼びかけに返事を返しダイニングルームにやってきた。…返事を返した?!
と…思ったら、1人で何なら喋り出し考え込んでしまった。
何が何だか分からず、お母さんをみると…お母さんも状況を把握できていないようで、私の方を見てきた… そんな目で見られても、私にもわかりません…
「お母さん!レイ先生! 私はどうやら極度に疲れがたまると、引き籠もりたくなるようです。 しかし、そんな私を甘やかすのではなく普段通りの生活を共用するようにしてください!
特にレイ先生!私の態度が変化した時こそ、心を鬼にして接して下さいね!
最後に! 私今みたいに虚空に向かって話をする時が今後もあるかもしれません、そんな私は無視しちゃっていいです!」
イブちゃんがそう言い放ち、ご飯を素早く食べ終えダイニングルームから出ていった。
私とお母さんはその姿を黙って見届けることしかできなかった。
お疲れ様です。 杯の魔女さんです。
今回は「NLDW」内でのお話です。
ゲームを1日ログイン出来ない日はよくあることだと思いますよね? しかし、この「NLDW」は1日ログインしないだけで30日過ぎてしまうという仕様… 社会人にとっては到底プレイし続けることが難しいしようのところ、亜里沙はどうこのゲームと向き合っていくのか?
こんな前置きをしておいて何ですが…正直な話…亜里沙視点の現実世界の話は書くだけで、「NLDW」の時間を計算して書かなければいけないの…大変です… 心からの叫びでした…
これからも頑張って更新していくので応援してね。。?




