10.洞窟の主
一本道の洞窟を進んでいると、さらに開けたドーム状の空間が広がっていた。どうやら洞窟の主は不在のようだ…残念
生き物の気配はしないが、突き当りに何かあるかもしれない、宝箱とか隠し部屋とか…ゲームならもってこいの要素だよね!
そう思い気を取り直し壁伝いに一周してみることにした、見落としを避けるため丁寧に見て回ると…何と!そう!……何もなかった!強いて言うなら大きな魚の鱗のようなものが所々に落ちていた…大きいこともあってか結構硬かったが、私が欲しいのは硬い鱗ではなく、ワクワクするようなお宝!心を震わせる戦闘!ゲームなのにイベント要素少なくない!?
そう、ブツブツと文句を垂れ流し、広い空間を後にしようとした時、後ろの空間が歪みそれは現れた。
先ほど拾っていた大きな鱗が体中にびっしりと覆われ大きな翼に鋭い牙、オマケに長い尻尾と角…これは間違いない、これは俗にゆう「ドラゴン」だ!
私の体は考えるより先に動いていた、戦闘を直ぐに終わらせるにはやっぱりあれだよね! 魔法(血)による血管破裂死! 魔法を発動しようとしたが途中で魔法が霧散し発動出来なかった…しかし、身体強化スキルは使用することが出来ているので魔法、スキル無効エリアという訳ではないと思う、試しに、自身の血を魔法で操り槍のような形にしてドラゴンに飛ばした。 それまで動かなかったドラゴンはこの魔法を避け、私の魔法は発動していた。
この数回の動作で分かったことは、直接相手に干渉する魔法は無効化されてしまうが、物理的な魔法の使用は無効化されないということだ。しかし…私の魔法もう少し強かった気がするんだけど……そんなことより、魔法が通じない、通じにくい敵、この状況今日入手した短剣スキルが生きるときでは?!
お母さん特製短剣…((後で名前決めよ))の出番だよ!
〜ドラゴン視点〜
我は三百年生きたドラゴンの『フィアス』!
少し前までは人間の国を襲って、全国各地から討伐依頼が来るほど遊んだものよ!
ここ百年、氷山に引きこもっていたが…暇、暇になった…
おっと!引きこもっていた理由は教えないぞ!少し恥ずかしいからな…
最近、山から見て、南の方向にある森に住むアングリーベアーの数が減ってきていると噂を聞き、近くに人間の国があるみたいだから、また久しぶりに遊ぶために今までいた住んでいた山の頂上は常に雪が降っているだけの退屈な場所を捨て、気分を一新させるつもりで南の森に新居を構え始めたのだ!
しかし、数日後…家に帰ると目の前に小さな女の子がいた、おい不法侵入だろ!
新居に不法侵入とかないわ~子供だからってありえないでしょ〜親の顔が見てみたいよ!
とは声に出して言えず…少し呆然としていたらどこからともなく赤い禍々しい槍が飛んで来た…フッ所詮小娘の魔法、我が龍鱗スキルの前には無力よ!と思い避ける動作を余りしなかったのだが…その為少し切ってしまった…
「私が小娘ごときの魔法で怪我を負った…?」
当たらなかったように平然を装っだけど内心焦ってしまった。致命傷にはならない気はするけれど…龍鱗スキルを突破してくる魔法の使い手…侮れない
〜イブの視点〜
槍を撃ってからドラゴンの雰囲気が変わった気がする。
正直関係無いね。私は新しく覚えたスキルを目の前敵に試すだけ。身体強化スキル発動!&最近覚えた魔法(血)を、武器や身体に纏い、普段の威力を底上げする方法を使い私のステータスは普段の倍以上!短剣スキルの補正を受け全力で参る!
ドラゴンの動きを見つつ短剣で差し替えしを狙うも、ドラゴンの鱗に阻まれ上手くダメージが通っていない感じがする…
私は結界を常時展開しているとは言え、私の防御力では、一回でも攻撃を食らったら致命傷になるはずだ…
慎重に立ち回っていたら、どうしても決定打に欠ける。
幸いにも、初めに見せた「血の槍」を警戒して毎回大袈裟に避けてくれる。体勢を整えたいときは毎回「血の槍」を周りに展開しておくことで余裕を持って体勢を整えることができているため、今の処はピンチになってはいないが、「血の槍」をここまで警戒する理由がわからない…警戒する理由を理解した時、一つ勝利に繋がる気がする。
短剣でドラゴンを削り、ドラゴンの反撃を貰わないように安全な場所まで下がる。この、ヒットアンドアウェイを繰り返し行い時間は刻々と過ぎていき夜が開けようとしていた時…
ドラゴンは言い放った
「もうやめましょうよ〜命がもったいないじゃないですか〜
私がこの土地に居座ることがそんなに悪いことなんですか!
今はまだ平穏に暮らしているじゃ無いですか〜!!」
そう言い、ドラゴンは人化のスキルか魔法を使い、人間の姿になって私に言った。
私としてはまだまだやり合っていたかったのだが…あまり遅くなりすぎるとお母さんに怒られても困るので私も短剣を鞘に収めた。
とても楽しい夜の時間を、ありがとう!と声には出さず、心の中でそう想い、その洞窟を後にしようとしたイブの背中をドラゴン…「ヒィアス」が呼び止めた、その声は少し震えているかのような、涙を我慢しているかのようなそんな弱々しい声で…
「あの…つ、次は殺し合いではなく、遊びとしてまたこの洞窟に来てくれないか…? 私とやり合える【人間】は久々で…次は遊びとして…会いたいな…と… ここ最近1人は寂しいから」
私は「また来るよ!」とは返さす、代わりにこう答えた。「私の名前はイブ!貴方私の家に来ない?きっともっと楽しいよ!
後、一つ間違い…私は【人間】NO〜私は【吸血鬼】」(ニマッ)
そう言うと普段は背中に隠してある翼を広げ立派な八重歯を見せた。人化した「ヒィアス」も背中にキレイな翼を持っていた。人種に嫌われている種族同士共に暮らすことは不可能ではないはず。私もヒィアスとやり合っている時はとても楽しかったからね。
ヒィアスは【吸血鬼】と聞き一瞬引き吊った顔をした気もするが、すぐ了承し、「ヒィアス」と言う名前を教えてくれた。
家の屋敷はお母さん、レイ先生、私の3人で過ごすには少し広すぎたから多分お母さんも1人増えることについて怒ったりはしないでしょ!
〜ヒィアスの視点〜
私の攻撃は短剣で上手く逸らされるか、回避されなかなか攻撃を当てることが出来ない一方、少女は小回りがきくようで少しの隙を見逃さず確実にダメージを負わされる。 私も責められるタイミングは時々来るのだが、初めに使われた「血の槍」から懐かしい…私のトラウマである人物と似た魔力を感じ、2回目から避けることを徹底していた。しかしこれではジリ貧で私の自己回復を上回る攻撃頻度なので…対処方法を思いつかず、半分やけになり、降伏&逆ギレ!
何故か上手く行き、少女は短剣を鞘にしまい、そのまま満足げに私に背を向け洞窟…私の家を後にしようとした。安心したこともあるが、久しぶりに濃い夜を過ごした感覚になり、またこの楽しい時間を過ごしたい!また暇になるのは嫌だ!と思うと声は勝手に出ていた。
こうして、イブちゃんと話しイブちゃんの家に行くことになったのだが…イブちゃんが【人間】ではなく【吸血鬼】だったとは…まさか、まさか私が山に引き籠もる原因と関係していないよね…?
嫌な予感がする…
内心怯えながらイブちゃんの後ろについていき数日間過ごした家を後にした。




