第7話
スマホのアラームが鳴り、いつもの様に準備をして自宅から出る。
ところが、天気は雨で傘さし運転はできなかった。
「お母さん。あまがっぱある。」
「はいはい。あったわよ。」
「ありがとう。」
それを渡され着用する。
急いで玉岩倉庫に向かい、途中でコンビニに寄り、朝食を購入したのだ。
玉岩倉庫に到着し、更衣室で着替え、朝食を取る。
「朝礼を始めるぞ。」
高田班長の声でロビーに集まった。
「本日の天気は雨で倉庫内の床が滑りやすいから細心の注意を行うように。以上。」
「「「はいっ!」」」
「田中君は、今日も佐藤君と作業に入ってくれ。」
「わかりました。」
佐藤さんを探して事務所に入る。
「失礼します。田中入ります。おはようございます。」
「ああ、おはよう。班長から言われたのか。」
「はい。一緒に作業に入ってくれと言われました。」
「じゃあ、今日のスケジュールと伝票を確認するように。」
「確認します。」
言われた通りに確認し、伝票の間違いがないか照らし合わせた。
「準備はいいか。」
「はい。いつでも行けます。」
「「「失礼しました。」」」
と事務所を出る。
ロビーから作業スペースの倉庫に入り、当日が雨で床も濡れていた。
朝礼で班長の注意があって物損事故のリスクを防げるのである。
「はーい、オーライオーライ。」
作業員がトラックを誘導し、出入口を着けたのだ。
「ストーップ。」
と大きな掛け声で止める。
コンテナに積まれている荷物を取り出し、決められている場所に集め始めた。
「おし、これで最後だな。ドライバーおつかれさん。」
ドライバーは一礼し、トラックを動かして、作業員が後ろのコンテナの扉を閉める。
「床は少し濡れているのかもしれないが、荷物に濡らしてしまうと物損扱いになるからくれぐれも注意するように。」
「「「はいっ!」」」
作業員は荷物に貼られている伝票を確認し、出荷予定の日付を分けて積み込みやすい作業を行う。
「すまんがまだ作業が長引きそうだ。」
「大丈夫です。まだ、行けます。」
「このまま続けるぞ。」
昼休みの時間が<11:30>だったが、荷物の量が多かったため、積み直しもあったのだ。
積み直しの作業が<14:30>頃に終わり、それぞれの一同は休憩に入ったのだ。
「今日はおつかれ田中君。」
「はい。おつかれさまです。」
「今日はさ、オーナーがみんなの弁当を取ったんだって。」
「僕にももらえるの。」
「ああ。もらえるさ。それにするか。」
「はい。」
遅くなった昼食となり、弁当を受け取った。
それぞれの作業員は、ロビーか更衣室か倉庫の床で昼食を取っている。
当時も大雨で大変であろう。
原オーナーの配慮と心遣いがあるから外の店に足を運ばせない様に気を配った。
休憩時間が終わり、残った荷物の整理を作業再開することになる。
「おし、全員作業再開だ。」
高田班長の合図で作業に戻る。
岩谷主任が倉庫に入り、バインダーと伝票を持ちながら、出荷の日時を確認していた。
作業は進んで<18:00>に回っていた。
「はいっ、今日の作業はここまで。全員作業おつかれさま。」
と岩谷主任が声をかけられる。
「大体のところ整理されていて順調に進んでいます。そして、今月の給料明細表を渡しておきます。」
そう、本日が24日で給料明細表を渡される日なのだ。
夢人の通帳に振り込まれるのが毎月25日である。
「引き続きの作業は、明日にしますので全員身体を休ませるように。」
岩谷主任の指示通りに全員あがってしまった。
「田中君、今日の作業おつかれさま。ちょっと長引かせてしまったな。」
「はい。ありがとうございます。」
「おう。明日も出勤だからがんばってくれ。」
「わかりました。」
夢人も着替えて帰りも雨で自宅に戻る。
「ただいま。」
「おかえり。今日は遅かったね。」
「荷物が多く届いたからみんなバタバタだった。それと今日給料の明細書をもらったんだ。」
「どれどれ、ちょっと見せて。」
明細書を破いて開いた。
7日間出勤して8万円分与えられていた。
日給が7,000円でその位働いていたのだ。
さらに、勤め始めた分で4万円程加算されている。
「あらまあ。良い仕事じゃない。今日の食費と免許の代金はいいからね。」
「えっ、いいのか。」
「免許取ってからなにもお祝いしてなかったから、来月から頂戴ね。」
「わかった。」
そう言われ、来月から厳しくなる。
いつもの様に夕食を済ませて、時間になるまで音楽を聴いて就寝する。
明かりはすでに消灯していた。
夢の視界に映り、視界は低くなって身体を眺める。
「これって僕が猫じゃないの。」と驚いていて、使われていない神社で動き出す。
周りを確認すると神社の祠が崩れていてなんとも言えないのである。
誰かがいたずらでもしたのか、地震で崩れたのかもしれない。
先を進むと薄気味悪い夜になっていて、ほんの少しの照明が照らされている。
残っている照明を辿って町が見える。
ビルの空き巣に野良猫がたくさんおり、入るのも抵抗があった。
だが、身体も凍える様に寒くなり、早く隠れれる場所を見つけないと倒れてしまう。
戸建ての真下の隙間を見つけて寝床にした。
他の猫に見つからず安心して一夜を過ごした。
朝になり、目を覚ます。
戸建ての住人が外に出て、車に乗りエンジンを立ち上げた。
その音にびっくりして跳ね上がった。
隙間から出ないでそのまま耐える。
発進して見送った。猫になると世の中がしんどいようだ・・・・・・
アラームが鳴り起床する。
今日の天気はまた雨だった。
朝の準備をし、あまがっぱを着て通勤する。
いつもの様にコンビニに寄って朝食を確保する。
玉岩倉庫に到着し、更衣室で着替えて朝食を取る。
「朝礼を始めるぞ。」
ロビーで高田班長の声がした。
班長の指示に従い、全員集まる。
「昨日の荷物整理おつかれさまでした。今日も雨でくれぐれも慎重に作業を行うように。以上。」
「「「はいっ!」」」
原オーナーも朝礼に参加した。
「昨日はおつかれさまでした。ダンボールに被害がなかったのでよく注意するように作業にあたってください。今日も一日頑張りましょう。」
「「「はいっ!」」」
夢人は事務所に入る。
「失礼します。田中入ります。おはようございます。」
と挨拶をする。
スケジュール表を確認して、本日の作業を一緒に行う先輩を探している。
「田中君おはよう。」
「はい。おはようございます。」
「今日は、俺と一緒だ。伝票はそろえたから事務所を出よう。」
「わかりました。」
佐藤さんから声をかけられ作業にあたる。
昨日の分の荷物を確認し、入荷予定の日付を確認し別の場所に移した。
作業は黙々と進み、安全作業でダンボールを台車に積み、出荷しやすいゲート近くに移した。
さらに、当日が雨だったので濡れていないとこに置いたのだ。
「俺たちの仕事は終わったな。まだいけるか。」
「はい。」
「よし、トラックの積み込みに行くぞ。」
「はい。」
ゲートの出入口で積み込みが始まっている。
「佐藤君の分は終わったのか。」
「はい。班長の積み込みの応援に入りたいと思ったからです。」
「そうか。後ろの荷物があるからそれを持ってきてくれ。田中君も頑張れ。」
「はい。」
班長の指示通りに荷物を運んで、コンテナに積み込む。
「一旦積むから次の荷物を用意してくれ。」
「「「はいっ!」」」
夢人も床が濡れていないか注意し、台車を利用してゲートに近づけた。
コンテナの積み込みも終わり、トラックが発進して後を去った。
丁度<12:00>頃に回り、昼休みの時間となっている。
「よし、全員休憩だ。昼食を取ってきて来い。」
「「「はいっ!」」」
「昼食はラーメンにするか。」
「はい。傘は持ってきてなくて。」
「なら問題ない。玄関の傘立てを使っていいぞ。」
「わかりました。」
佐藤さんのアドバイスで玄関の傘を利用し、ラーメン店に足を運んだ。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか。」
「2名で。」
「こちらの席にどうぞ。」
と誘導されたのだ。
夢人もこの間の豚骨ラーメンを注文したのだ。
佐藤さんの場合はラーメンセットを注文していた。
注文したラーメンが来て、食が進み、夢人は替え玉を注文した。
まだ、腹に入るのだからだ。
「これから戻るけど大丈夫か。」
「はい。いつでも行けます。」
昼食とお勘定を済ませて倉庫に戻った。
倉庫に入り、すでに作業に入っていた。
事務所に入り、伝票を確認し整理したのだ。
高田班長の朝礼のおかげで作業は進んだのだ。
「これで終わったな。」
「はい。おつかれさまです。」
岩谷主任が現れて夢人に近づく。
「田中君、今日は上がっていいぞ。」
「はい。ありがとうございました。」
めずらしく<15:00>に終わったのだ。
指示通りに更衣室に入り着替えて自宅に戻る。
玉岩倉庫から出て、銀行に寄る。
夢人のお財布がピンチなのだ。
通帳を取り出し、残高を記入する。
そして、2万円程おろしたのだ。
後は、寄り道もせず自宅に戻る。
「ただいま。お母さん、今日はいないのか。」
夕飯になる前だったので、先に風呂に入り、上がって寝間着に着替えた。
シフトを確認して明日が出勤だった。
夕飯になるまでテレビを見ていた。
「ただいま。あら夢人もう帰ってきたの。」
「うん。主任から言われた。」
「そうだったのね。夕飯を手伝って。」
「はいよ。」
身体を起して、母親の料理を手伝う。
調理も終わり、テーブルに並べた。
「いただきます。」
「はいはい。召し上がれ。」
本日のメニューが魚の煮物である。
味付けが醤油だ。
魚をつまみながらご飯も進む。
「ごちそうさま。」
済んだ食器を台所に運んだ。
寝る前に歯を磨いて、ベッドに飛び込む。
眠くなるまでスマホで音楽を聴き、すでに消灯していた。
夢の視界に映る。
映った先に青暗い景色と数本の紫のラインが揺れている。
つまり、夢人の身体が浮いているのだ。
ゆらゆら揺れながらも一部小さな枠が映り、現実の歴史にあった戦国時代と異世界が映っているのである。
まさにタイムトラベルの感覚だ。
しかし、夢人が行きたくても動けなかった。
すると、異世界が映る小さな枠から吸い込まれて異世界に飛ばされたのだ。
「いってぇ。なんだここは」と周囲の様子を確認する。
空は濃い雲で覆われて薄暗い感覚だった。
夜空に星一つも出てこない。
地上では薄く見えるが緑の草原である。
さらに、大きな足跡もあり、恐竜の足かと思っている。
まさか、異世界に恐竜なんているはずがないだろう。
先を進んでまだ何もなかった。
まだまだ長い道のりでとにかくは進むしかなかった。
そこで、大きな湖を見つけて一休みしようとするが、湖の中から恐竜風な魔物が現れる。
すぐに走り出し逃げようとした。
懸命に走っても追いつかれる。終いには、鋭い爪で捕まり食われて・・・・・・
夢から現実に戻り、身体を起して目が覚める。
「はぁ、はぁ、はぁぁ。」
呼吸を整えて時刻が<4:00>に回る。
起床時間までがほんの少しであった。
(こんな夢いつまで続くのだろうか)と心に思ったのだ。
再び身体を仰向けになり寝直す。
アラームがなり、いつもの様に準備する。
スマホで天気予報を確認し晴れだった。
自宅から出て、自転車に乗り、コンビニで朝食を確保する。
玉岩倉庫に到着し、更衣室に入り着替える。
「朝礼始めます。」
と岩谷主任が声をかけた。
全員ロビーに集まる。
「毎日の作業おつかれさま。必ず伝票も確認していてしっかりしているのだと思う。」
当日は高田班長ではなく休みだった。
「本日、また新たな荷物が届きますので物損と労災事故を起こさない様注意するように。以上。」
「「「はいっ。」」」
本日も佐藤さんと作業することになる。
当日コンテナに積み込む荷物を取り出して、積みやすい様にゲート付近に運んだ。
数日前の荷物の枠に移すことがあったのだ。
<10:30>にトラックが出て、ゲートに着けた。
当日出荷する荷物を積み込み作業は進んだ。
「今のところは終わったから、余った時間で応援に入ってみようか。」
「はい。わかりました。」
倉庫内の違う場所で作業を進める。朝礼で午後に荷物が届くからだ。
<12:30>頃にトラックが到着して、荷物が入荷した。
日付の枠に置かず、積み込まれる。
「おつかれさん。荷物はこれで全部かな。」
「はい。これで全部です。」
「ゲートを閉めますので前に出してもらえますか。」
「前に出します。」
ドライバーは、トラックを動かし、前に出す。
作業員がゲートを閉めた。
「ありがとう。それじゃ。」
一言を残し、そのまま発進した。
まだ、作業が続いて、岩谷主任はスケジュールと伝票を確認している。
岩谷主任が倉庫に現れ、作業員全員に声をかける。
「全員14:30だから休憩に入ろうか。」
「「「はいっ!」」」
岩谷主任の指示で休憩に入り、それぞれロビーか倉庫か休憩室を利用し、遅めの昼食となる。
夢人は、佐藤さんに話しかける。
「おつかれさまです。佐藤さん。」
「おう。おつかれ。俺は、予めコンビニで買ったパンがあるから大丈夫だ。休憩時間が無くなるから今のうちにコンビニに寄って買ってきた方が良い。」
「わかりました。早速買いにいきます。」
休憩が30分しかなく、急いでコンビニに行った。
運が良く菓子パンを購入して倉庫に戻り、ロビーで昼食を取る。
休憩が終わり、再び作業に入る。
新たに届いたダンボールを出荷出来る様に仕分けして1日の業務が終わる。
<18:30>に回っていた。
岩谷主任が現れ、倉庫内のダンボールの整理が終わった様子を確認する。
岩谷主任の指示があった。
「よし、今日は片付いたから上がろうか。」
「「「はいっ。」」」
全員作業が終わり、帰り支度をする。
もちろん、夢人も更衣室で着替えて仕事が終わる。
そこで、岩谷主任に声をかけられる。