第2話
夢人は呼ばれて、指定の普通車に乗って検定に挑んでいた。
他の教習生も一通り実技も終わったのである。
「実技の検定の結果を発表します。ああ、全員合格です。次に筆記試験を行いたいとおもいますが、本日の14:00頃から始めたいと思います。時間前までに復習すること。次の試験頑張ってください。」と講師からは言い残したのである。
筆記試験が始まる前に夢人はテキストを開いて見落としている部分を確認し暗記していた。
仮免許取得が待っているのである。
時間になり、筆記試験が始まった。
終了時刻になるまでに全員黙々と進んでいる。
すなわち、せっかくの合宿を無駄に出来ないからだ。
「時間になりました。試験用紙を後ろから取ってください。」試験管の指示に従った。
夢人は、緊張が抜けたみたいにへこんでいる様子だった。
「はああああ。あんまり自信がない。」
「そう気を落とすなよ。俺も落ちたらそれまでだ。」
勇人も分かち合う様に声をかけていた。
試験官が戻り教卓にたった。
「それでは、結果を発表します。全員合格です。本日の試験おつかれさまでした。」
「「「えっ!?」」」
「「「やったー。」」」
全員の安堵が出て一段落した。
続けて仮免許の厚紙用紙を交付したのである。
施設から出て日常生活に戻った。
「なあなあ。これから遊んでいかねえ。」
勇人は立ち直った感じで解放したのである。
「あんまり遅くならない様にしないと」
「わかっているよ。夢人も少しは解放すればいいんじゃね。コンビニでエロ本買って自室で読もうぜ。」
「え、ええ、エロ本!」
「だろ。性欲どころか溜まった分出しちまおうぜ。だが、こっそり隠れてヤろうぜ。」
夢人も言われたとおりにエロ本を購入して、自室戻る間に何事も無いような感じで素通りしごまかしたのである。
見つかればすぐ水の泡となるだろう。
「やっと戻れましたね。」
「ああ、そうだな。」
「まず、大浴場に行って戻ります。それとエロ本買ったのを読んでも大丈夫です。」
「おう。読ましてもらうぜ。読みたくなったら呼んでくれ。」
難しい難問を抜けて、大浴場で疲れと赤を流して自室に戻ったのである。
「戻ったのか夢人。このエロ本おもしろかったぜ。」
「そんなでかい声を出したら聞こえてしまう。」
「あっ、いけね。」
夢人と勇人も見つかればやべーなと自重したのであった。読みふけって消灯時間となる。
夢人は眠りの中夢を見る。
辺りは暗闇の中で揺れを感じる。
視界は窓ガラスがあって照明が通り過ぎた。
そう、地下鉄の車内だった。
しばらく走ってて駅に到着するまで待っていた。
一段落到着し、降りるべき駅ではなかった。
扉は開いたが、降りなかった。
また次の駅で降りようと考えていた。
しかし、なかなか駅にたどり着かない。
どれだけの長い道のりなんだ。
これじゃ埒が明かない。
永遠と止まらない停車駅である。
すると、光が差し込み地上に出た。
光景は腐敗している様なひどいありさまな廃町であった。
車内に出ると僕までが危ないと判断したのだった。
先ほどの駅で降りれば安全だったのだろうか。
いや、降りても同じだ。
どうしようもなく運転室の様子を見に行ったら、骸骨姿の運転士が運転していたのであった。
気が付かない様にそそくさと席に戻ると乗客も骸骨姿で乗車していた。
囲まれて襲われて・・・
はっと覚めた夢人は3:00を回っていた。
隣の勇人がすやすやと眠っている。
すぐ眠りに就いた。
仮免許
起床時間になり、準備を済ませて朝食に出向いた。
いよいよ路上コースの実技が始まるのである。
スケジュール通りに講義と実技を行い積み重ねていった。
つまり、最後の卒業検定も受けなければ卒業とも言えなかった。
夢人には新しい仕事先を見つけなければならなかったのである。
講義の数が少なく、安全運転の理論を受けて、次の実技に向けて路上に出た。
「路上に出ると雰囲気が違いますね。」
「そうだな。だが、免許を取るとこの先はただ事では済まされないと思うように。前を見ながら安全運転を怠らない様に」
実技講師も言っていることは正論だ。
実技も終わり自室に戻り直接ベッドに倒れこんだ。
今回の路上コースは厳しかったと思えた夢人である。
でも、ふと思った。
(最初は、AT1かMT1のどちらかを悩んでいたが、申請の書類に目を通して夕方くらいに父親が帰ってきた。父親は大型トラックのドライバーをもっていてそう言われていたのである。「おまえ、免許とるのか。だったらMT1を取った方がいいぞ。社会にでると就職先が思いやられるからな。」無茶な言葉をかけられたのであった。決意してMT1を申請した。)
「おい、夢人、身体流さなくてもいいのか。夕飯食わんと力が付かないぞ」
「あっ、ごめん。すぐに行くよ。まず大浴場から食堂に行く。」
10分位眠りこけていた。
勇人の声掛けがなければ夜があけるのであろう。
夕飯を済まして自室に戻り、先日に隠していたエロ本を取り、消灯時間までに読みふけっていた。
感心しているかの様に面白いと夢中になる。
「夢人そろそろだぜ。」
「そうですね。」と声をかけられた。
ベッドに入り目を閉じた。
(僕は、また夢をみてしまうだろう)
眠りについて視界が見知らぬマンションに自家用車が目の前にあった。
車に乗り行く当てもない外出をして、途中の駐車場に停めた。
街がたくさんある店と狭い商店街を運んだ。
通り道に小さいお地蔵様が立っていて通り過ぎた。
しかし、神社の柱をくぐると景色が変わり昔懐かしい昭和の街となっていた。
振り向くとくぐったあとの柱がなくなっておりどうしようもなかった。
西暦を確認するためにどこかの新聞売り場を探し見つけて唖然とした。
1970年5月14日と記されている。
店員から「そこ、新聞買わんのか。」と言われ、「失礼しました。」と後を去った。
「おいおい、まじかよ。財布は、えっ!?」ポケットに財布はあったがカードと免許証も無くなっており、現金が3万円ほど入っていた。
ところが、警察官が追いかけられて逃げることになり、行く当てもなくただ逃げていた。
途中でつまずいて捕まってしまい連行される。
一般人から不審人物と通報され、見知らぬ顔と判断されたのであった・・・
「はっ!?」と目が覚め3:30回っている。勇人に起こさない様に目を閉じた。
起床時間となりいつも通り朝の準備をして朝食を取る。
仮免許を取りスケジュール通りに実技を進ませて、2つ程の講義があった。
「いや~、やっと終わったよな。」
「そうですね。検定も近いですし。」
「今夜さ、テレビで映画が放送するんだって。ロビーで見ようぜ。」
「気持ちはありがたいけど、まだテキストで見落としている部分もあるから。」
「そうか。残念だな。」
「気が向けば自室のテレビで見てみるよ。」
「おう。たまには息抜きしなよ。」
「はい。」
そう言われ自室に戻った。
夢人はテキストを開いて交通ルールの見落としがないか復習していた。
せっかくだから無駄にすることができなかったのである。
キリのいいとこでテレビを点けてみる。
途中でタイタニックの映画が放送されていた。
放送が終わり、勇人が戻ってきた。
「順調かな。」
「なんとか頭に入った。」
ちょうど消灯時間になり、どちらもベッドに潜り込み消灯した。
合宿免許では自由時間も限られているのだからだ。
検定もあと2日で目を閉じた。
夢の中で視界が見える様になり、少し揺れてて窓が並んでいる。
明るい景色で夕方の色となっている。
「ああっ、僕って列車に乗ってるんだな。」と納得した。
だが、駅に近づく瞬間に放送のアナウンスで場所が秩父鉄道と言われたのである。
つまり、蒸気機関車に乗っていた。
「嘘だろ。僕の出身地だ。」生まれの埼玉県を映し出されたのである。
到着した駅には降りず発車したのだった。
しばらく進んでトンネルに入った。
少しの違和感を感じ、トンネルを抜けると山の中で進んでいた。
最寄りの駅に近づきアナウンスで人吉駅と告げた。
「ええっ!ここって熊本じゃん。」
車内から降りて車体を目視してたら、SL人吉号をいつのまにか乗っていた。
人吉に着いたら温泉めぐりも悪くなかった。
でも、ポケットの中を確認すると切符を持っていて、駅員に渡したらそのまま駅から出れた。
駅から歩いて近くの温泉施設に入り、歩いた分の疲れと身体を洗い流したのである。
湯船に入り全身を癒しているのであった。
前を見るとタオルを巻いた女性の姿があった。
「えっ!」
長湯している間に混乱しているかの様に気が動転していた。
ラッキースケベの夢を見ている。
湯気が多くなり・・・
自室の目覚まし時計が鳴りすぐ目が覚めた。
少し顔を下げて心の中で(ああ、こんな夢を見ていたんだな)と少し損をした。
いつものように支度して朝食を取るため食堂に向かった。
残りの実技を本日中に終わらせようとする夢人であった。
あと1日でほとんど講義と実技も終わっている。
終わったら限られた時間で遊びほうけると思っていた。
実技も終わり、講義1科目も進んで講義全てが完了していた。
「勇人さん。今時間ありますか。」
「わりぃ、実技で6つ残ってて、今から実技を受けないとやばいんだ。」
「わかりました。健闘祈ってます。」
「おうよ。あんがとな。」
勇人の一言を残し、残った数を済ませようとした。
夢人は暇になり、スマホで地図アプリを開いて近くのスーパーやコンビニとゲームセンターを探していた。
あるとすればミス・ママックスのお店に足を踏み入れた。
商品もたくさん並んでて、選ぶのも悩んでいた。
しかし、懐にも限界があった。
2万5千円分残っている。
諦めてこの間のコンビニに寄って、雑誌を立ち読みしながら時間を潰したのである。
ふと気が付き試験会場で試験に落ちたらシャレにならない。
合宿施設に戻った夢人が自室の入り、テキストを開いて前回講義を受けた大事な部分を復習して理解出来る様に頭に入れたのである。
試験会場で落ちる訳にもいかないよな。
「おう夢人そろそろ晩飯の時間が来たぜ。」
「あっ、もう時間か。集中してたらあっという間だ。」
「とりあえず行こうぜ。」
勇人の掛け声で食堂に向かい、食事が終わった後、大浴場に入り自室で同時に戻った。
「俺、あと2つで実技が終わるんだぜ。」
「良いですね。僕もあと1つ実技も完了です。」
「ま、近場の店とかあんまり良い店が無かったからロビーでテレビ見たり、娯楽室で卓球しかなかったんだよな。また、マンガもずらっとあったんだぜ。」
「明後日は、いよいよ検定になりますね。」
「そうだな。時間だぜ。」
同時に消灯時間となり同時に就寝した。
夢の視界が見えてきて数多い窓が並んでいて宙に浮かんでいた。
周囲はスーツを着た男性客とドレスを着た女性客がたくさん並んでいる。
テーブルには豪華な食事があり、ドリンクとワインも手に持っていた。
(えっ、まさか。大型気球なのか)とそう思っていた。
己の手に持っているワインを飲み、味はブドウジュースみたいな感覚だった。
飲み続けて酔い始めたが、瞬きした瞬間に一変した。
同じように窓の外を確認したら周りが海だった。
つまり、豪華客船に変わったからだ。
室内を出ようとすると外回りがプールと明るい青空が映したのである。
バーカウンターで適当にドリンクを注文し、空いている席に座ったのだ。
船が進行して気持ちの良い風に当たってくつろいでいるのだ。
なかなかの無い贅沢を満喫する夢を見ていて、ロマンを感じる。ゆっくりと船旅を・・・・・・
目覚ましが鳴り起床した。
「ああっ、もう朝か。」
背伸びをする夢人はベッドから降りた。続けて朝の準備を行う。
さらに、勇人も同じく準備していた。
それぞれの教習生達は、明日のために検定の準備に取り掛かっている。
路上の地図を確認しルートを覚えて卒業したかったからだ。
先に勇人が午前中の実技を受けてすべての項目が完了していた。
<11:30>頃に夢人も最後の実技を受けて完了したのだ。
「夢人全部終わったか。」
「うん。終わった。」
「よっしゃ、チャリンコ借りてゲーセン行こうぜ。」
「まじで、駐輪場とか自転車1台も無かったよ。」
この間の夢人も屋根の駐輪場を見かけたが一台も残ってなかった。
検定と筆記試験の勉強をしていて正解である。
「おっ、あったぜ。チャンスだ。」
駐輪場には2台残っていて、それを利用し目的地まで移動していた。
ゲームセンターに到着し、自転車に施錠をし、店内に入って音も半端なく轟音だった。