#6
「はぁ~い。これでもう終わり。じゃ、今からルールのおさらいねっ」
「んなのいらねえよ。応募した時に、目がチカチカして痛くなるほど何回も見たんだから」
「へえ、そーゆーとこはヒヨって確認するだぁ。でもね、追加したルールもあるんだよぉ? もし、それを知らずに一勝君が違反をして、脱落になっても知らないからねぇ? それでもいいのかなっ?」
「チッ、わあったからさっさと言え」
「はいはいっ♪ それで、追加のルールはね、嘘をついたらいけないってこと。それだけだよっ。まあ、」
「はぁ?」
一勝が理解できないといった顔をすると、マギワはじぃっと皆の顔を見渡した。
「いまさら嘘をつく奴なんていない、って思ってんでしょ! 実はね、もう二人もいるんだよ。その嘘をついてる子っ☆ ほんとは、今私が言ったからとはいえ、即脱落なんだけど、ノロイマギワは優しいので、特別に今回は見逃してあげるっ♪ 感謝してね」
そこまで偉そうに言われると、感謝しないと思うけれど……。
「明日からゲームが始まるよ。今はみんな適当に話したらどうかな?」
そう言って、マギワは去ろうとした。
「ちょっと待って!」
僕は叫んでいた。
「ねえ、僕は応募なんかしてないんだけど」
「ああ、うん、そうだね。ほら、君はゲームを美味しくするためのスパイスだから、攫って来ただけだよ」
つまり、それってただの面白くするための「材料」に過ぎないってことじゃないか!
「じゃあね~。一月君のその絶望、最高だよ☆」
マギワはニヤッと笑って去って行った。
僕は力が抜けて、思わず座り込んでしまった。
「そんな……」
僕はぼうっと前を見ていた。涙も出ていないのに、どんどん部屋やみんなの服の色が混ざって、滲んで見えた。
すると、綺羅がフッと現れた。
「ねえ、絶望している暇、あるの?」
「え……」
どういう意味なのか分からなくて、顔を上げてじっと綺羅を見ていると、僕の目の前に何かが落ちた。
「それ、あんたの生徒手帳でしょ。さっき落としてた」
「あ、ありがとう……」
「礼なんていらない。あなたに返すべきものを返しただけだから。それと、感謝されるの嫌いだから。じゃ」
そう言って、また壁に寄りかかって考え込んでいた。
マギワの言った通り、本当にクールな子だな。
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