異世界での出会い その1
-異世界にて霧須斗碧は目覚める-
…暗っ。うん?何が起こってるんだ? 俺は一体? えっと、名前は…思い出せる。で、…ああ死んだんだった。とするとここは死後の世界?じゃあ閻魔さまでもいるのか?…何もわからないが、とりあえず歩こう。…いやどこへ?
もたれかかっていた石から離れ、とりあえず歩こうとした。 …この石、なんか変だな。お墓みたいだ。地獄ってこんなのがうじゃうじゃあるのか?もう死んでるのに? …そんなものに構うな
光刺す方へと歩いていく さっきは地獄かと思っていたが こんな何もないところが地獄な訳ないだろ
…なら異世界だろうか?いわゆる異世界転生ってやつか。
ちょっと待てよ。転生ってことは。死んだと思ったらまたやり直し? 嘘だろ? もう懲り懲りなんだが? 死んだら終わりじゃないのか?…ああこれもどうせ神の仕業だろ。どうして俺にこんな罰を与えるんだよ。何か恨みでもあるのかよ。だったら面と向かい合って言えよ。こんなネチネチとしたやりかたじゃなく…
「あれ~?」
暗い洞窟から抜け出した先に一人の少女がいた。その少女は鮮やかな髪、可憐な瞳を持ち、少し大柄ともいえるその体を支える足、そしてそれを纏う制服、そこから分かることは一つ。健康的な女子高生だ。
「あなたも、もしかして異世界転生しちゃった感じ?」
暗闇に刺す一筋の光のような子だ。いや実際に明るいところにいるんだけど。
「ん、ああ。多分そんな感じ」
「ああ~よかった~。ずっと暗いところに一人でいたからさー。おんなじような境遇の人に会えてとりあえず安心♪ 私、松永莉愛。高校2年生。気づいたらここにいて。君の名前は?」
やっぱり触れてくるよね。口頭じゃ伝わらないだろうから、地面に書かないと。
「…霧須斗碧って書いてきりすとあ。変わった名前だろう?」
名前には触れて欲しくなかったがさすがに仕方ないか。まあ初対面でいじってくるような子じゃなさそうだし良いか。 ひとまず今はこの子と行動した方がよさそうだ。でもどこに向かえばいいk
「いい名前だねえ!まず斗っていう漢字は北斗七星を思い浮かべちゃうよね。そして碧っていうのは深く青い色を表す漢字でしょ。つまりこれは宇宙に輝く星空を意味してるんじゃないかな?んー!君の名付け人、すっごくいかしてるね!さらに名字の霧須と相まって…っとごめんごめん。今はそれどころじゃないよね。ここが安全な場所かどうか分からないんだし。うーん、とりあえず、あの建物に行ってみない?」
…すごい子だ。今の一瞬でここまで言葉が出てくるなんて。それにさらっと言ってくれたけど名前にここまで関心を持ってくれるとは。何か返答しないと。
「ああ。ひとまずそうしようか。」
家族とすらまともに話をしていなかったからなあ。簡素な言葉しかでてこない。俺とは正反対な子だ。
「うん!よーし、そうと決まれば早く行こうか。走るよ!」
? この子は何を言ってるんだ? どこに走る必要性があるんd
松永は霧須の手を握り、目標物へと一気に走った。彼の言う通り、走る必要性なんて1mmも無かった。彼女は走ることで親睦が深まると思っているらしい。彼女は思慮深い一面がある一方、単純なところもあるようだ。 そしてこれが彼らの冒険の始まりとなった。
-少年は彼女と仲良くなった-