死んで生まれ変わって
ー少年は神を恨んだー
別に過酷な環境に生まれたわけじゃない。犯罪が常々起こるような町に生まれたわけでもない。ただ名前がちょっと普通の人とは違っただけだった。
霧須斗碧 きりすとあ なんて名前だったからか壮絶ないじめを受けてしまった。
名前が少し変だからっていじめを受けるなんておかしいけどこれも神の所業なんだろう。
何故か昔から神様のせいにしたがるくせがあったが最近はひどくなったものだ。
こんな風に全て神様のせいにしてしまうようになったのも神様のせい…… ああおかしくなってしまったようだ。
もうなんで生きているのかも分からない。死にたくはないが生きていたくなんてない。
そんなことを考えているうちに正門が見えた。こんな高校、通わなければよかった。そんなことに思考を巡らせていた時、後ろから排気音が。最近な物ってもっと静かに走るんじゃ…ってえ?
空を飛んでいる感覚は初めて味わった。なんで俺は飛んで… ああそうか、都合がいい。今なら楽に死ねる。これは神がくれた最初で最後の幸福かもしれない。
…しかし何故神は俺にこんな仕打ちを与えたのだろうか?逆鱗に触れるようなことをした覚えはないんだけどな。違う世界だったら幸せに過ごしていただろうか?見てみたいな。
神は、罰を与えるのならそれに匹敵する能力をくれたって良かったんじゃないか?努力もしたくなくなるような環境になってしまったんだから、そんなものしなくてもいいようなちかr
くだらぬ御託を並べていた間に霧須斗碧は死んだ。しかし彼の願いは今叶えられる。それは神の所業か否か。そんなことは分からないが。そして彼はいわゆる、異世界転生をするのであった。
…奇しくも同時刻、同じくこの世界で死に、異世界転生の最中である少女がいた。その少女が霧須斗碧の救世者さながらの存在となるのはまた先の話だ。
そうして、少年 霧須斗碧と少女 松永莉愛は異世界へと転生した。