その十五
今回もミニチュアが動き出していた。が、前回よりも数が少ない。
ということは、巨大ロボットではない? 新たな「月面初」を達成しようとしているのか?
ミニチュアは何やら一つに組み上がっていき・・・・・・。
米ソ首脳は月面の映像を見て絶句した。
完成したのは、『こたつ』だ。
今まさにリストに追加したばかりだというのに・・・・・・。
これにて、日本が月面初の『こたつ』を達成。
しかも、こたつの上部がゆっくりと開閉していく。
何かがせり上がってきた。
みかんを盛りつけた、木のお盆である。
さらにさらに、猫のロボットまで出てきた。といっても、ほとんど動かずに、みかんの隣で丸くなっている。
米ソ首脳は開いた口がふさがらない。
そして一分後、『こたつ』は再びミニチュアへと分解していき、やがて月面は静かになった。
日本からのメッセージが届く。
――少しだけ月面をお借りしました。それではグッバイ。貴国の宇宙開発に幸運あらんことを。日本はアメリカの月面での挑戦を、心より応援します。
――少しだけ月面をお借りしました。それではパカー。貴国の宇宙開発に幸運あらんことを。日本はソ連の月面での挑戦を、心より応援します。