その十四
数日後、米ソ首脳は再び秘密会談を行っていた。
前回は日本の京都だったが、今回は南極だ。
「当面の間、我々は協力し合った方が良さそうですな」
「ですな」
建物の外は極寒なので、こたつに入って、米ソ首脳はコーラとウオッカで乾杯し合う。
この会談の目的は、今後の月面開発競争についてだ。
ハンバーガーとピロシキを食べながら、秘密のリストを作成していく。
その一番上に載っているのが、『寿司屋』だ。日本よりも先に、月面につくってやる。
さらに、月面最初の『大相撲』と、『忍者屋敷』と、『流しそうめん』と、それから・・・・・・。
とにかく、日本が悔しがりそうなことを、先にやってしまうのだ。今は米ソで争っている時ではない。
「そうそう、この『こたつ』もリストに加えましょう」
「異議なし! 日本の泣きべそをかく姿が、目に浮かぶようだ♪」
米ソ首脳が和やかな雰囲気になっていると、それぞれの本国から緊急連絡が入る。
「どうした?」
「またもや、日本からメッセージが届きました」
――ハロー、アメリカ。こちら日本。今から一分間、月面をお借りします。
――ズドラーストヴィチェ、ソ連。こちら日本。今から一分間、月面をお借りします。
前回と同じ内容だ。しかし、前は三分だったが、今回は一分?
急いで月面の映像を確認する。