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その十三
――少しだけ月面をお借りしました。それではグッバイ。貴国の宇宙開発に幸運あらんことを。日本はアメリカの月面での挑戦を、心より応援します。
――少しだけ月面をお借りしました。それではパカー。貴国の宇宙開発に幸運あらんことを。日本はソ連の月面での挑戦を、心より応援します。
一人が時計を見ながらつぶやく。
「ちょうど三分でしたね」
「律儀というか、何というか・・・・・・。どうも日本人というのは理解しづらい」
険しい顔をする者たちがいる一方で、
「月面ロボット『クーマモート・ジョー』の必殺技、『花火シュリケン』をくらえ! どどど、どーん、ど-ん、どーん!」
「むむ、すごい威力だ! しかも美しい! これはかなわん! やーらーれーたー♪」
などと遊んでいる者たちがいる。
前者は呆れて、後者のことを怒る気にはならない。
それどころか、少しだけ羨ましくもある。さっきの花火大会、自分たちももう少し肩の力を抜いて、楽しんでおけば良かった。