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①創造主は星を作る

今ボクのいる世界を君たちの言葉で言うならば、

「天国」「神界」「仙界」


人間界では色んな言われ方をされているが、

手っ取り早く言うならば「創造主の世界」が一番正しいだろうか。


そう、僕たちは神様。

これは一人の神が一つの星を育てていく物語。


神々が住む都市「天ノ石森」の小さな宮から話は始まる。

-------------------------------------------------------


「坊っちゃんーーーーーーーー!!坊っちゃんーーーーーーーー!!!」


けたたましく宮内に鳴り響く初老の声。

絶望した顔で駆け回っているのは、

ボクの世話役を務めている通称「じぃじ」。


しかし、その声に驚き、振り向く住人はいない。


「今日も爺様は大変ね・・」

「テラ様は今日も研究に明け暮れてるのか・・」


他の世話役のぼやきからも、この光景が異質ではなく

日常茶飯事なのがわかるだろう。


ボクの名前はテラ。

ボクも多くの神の中の一柱(神の数え方)。

趣味は研究・発明。

周りはボクの発明を「ガラクタ」というが、

常人(神)にはこの価値がわからないみたい。


「坊っちゃん!!!!」


自己紹介なんてしてる間に、

ぶっ壊れる勢いでじぃじがボクのドアをこじ開ける


「あー・・隣の宮にミサイルぶっ放したのはボクじゃないよ」


「ちがーーーーーーう!!!それはもう既知の事実で都市中の住人が知っております!!

 今日は成神の禊の日だと口酸っぱく言ってるでしょう!」


「あれ、そだっけ?笑」


「とにかく急いでお着替えください!!大教会までの移動の手配は済んでおります!!」


そう、今日は成神の禊の日。


僕たち神の子は13歳のタイミングで正式に神となる。

その禊が今日行われる。


ところで君たちは神様の仕事を知っているかい?

この禊が行われると神一柱一柱にも仕事を与えられる。


神の仕事は、宇宙という空間に「星」といわれる惑星を作り、

その育成をする。


その星の繁栄度によって神のクラスも区分され、

もちろん待遇も変わってくる。

神々の世界も成果主義の塊なんだ。


そして今日、この禊で僕たちは

初めて星を渡され育成が始まる。


大教会までの移動の最中もじぃじの説教は続く。


「良いですか坊っちゃん!今日は神としても

 とても華々しい記念の日なんです!毎日毎日ガラクタばかり作っている

 日とはおさらば!ついに坊っちゃんの星が出来上がるんですよ!」


「ボクの発明をガラクタ呼ばわりするのは止めてほしいね。

 ボクは星なんて作りたくないし、宮で一生研究をしていたいよ。」


「じぃじはあなたのガラクタで発生した被害の賠償を背負うことが

 無くなると思うと、ようやく余生をゆっくりと楽しむことが出来て

 嬉しいですけどね!!!」


「賠償ではなく投資って呼んで?」


「戯言はそこまでにしてください、もう大教会に着きますよ。

 ・・あと、毎度のことではございますが、大教会にいるのは

 少しの辛抱でございます。どうかいつも通り、周りの声は気にせぬよう・・」


「・・うん。」


じぃじのこの言葉は、僕が大教会訪問で中枢都市に出向く度に、

枕詞の如く使う言葉だ。


実はボクの柱系(家系)は神の中でも忌み嫌われる柱系で、

大都会に言っては冷たい視線を向けられ、

中立な立場である神官にもぞんざいに扱われるほどの待遇だ。


もともと中枢都市に構えていた宮も、

今は「天ノ石森」の端っこも端っこ、

人目につきにくいエリアで暮らしている。


なぜここまでボクが嫌われているのか。

それはボクの父に原因がある。


ボクの父も例に漏れず神として星を作り育てていた。

じぃじ曰く、神としてのランクは

最高位にあたる「最大天」に届きうるほどで、

多くの神の憧れの的であったと言っていた。


しかし、突如反映していた星は

父の思惑により神の世界をも侵しかねない、

一大事を起こし、父は神の世界を永久追放された。


父はボクが生まれてすぐ追放されたため、

会ったことも話したこともない。


母はその後身一つでボクを育ててくれたが、

疲弊からか、ボクが6歳の頃に宮を出ていった。


ついでに一大事の内容は神の中でも

タブーとされており詳細は聞かされておらず、

じぃじもボクに教えてくれない。


こうして残ったボクは、今もその大問題が原因で

迫害され続けているわけだ。


冒頭でボクは、成神の日だったことを忘れてたかのように

じぃじには振る舞ったが、こんな大切な日を忘れるはずがない。


ただ、どうしても自らの足で大都会に行くのが生理的に受け付けないんだ。

ましてやこのボクが星を持つなんてことになったら周りから

どんなことを言われるか・・


---------------------------------------------------------------------


そうこう考えている内に、ボクの大嫌いな大教会へと到着したわけだが、

中枢都市についた瞬間に向けられる周りの冷たい視線は、

何度経験しても冷たく心に突き刺さる


(あの子も今日成神の日を迎えるらしいわよ)

(あの親の子が・・?おいおい、最大天様は正気か?

 また我らの世界が侵されなんてしたら・・)


都市の住人がボクを見ながら、ヒソヒソと話している。

ボクが星を持つことへの批判・中傷なのは聞かなくてもわかる。


「坊っちゃん・・・。」

「大丈夫。慣れてるよ。

 ただ一つ聞いときたいんだけど、

 なんで【このボク】が星を持つことを許されたの?」

「それは、」


「おおう!!テラ!来るのが遅ぇぞ!」


じぃじとの会話を遮るには大きすぎるほどの

大声が大教会内に響き渡る。


「・・なるほど。あの人の思惑か・・。」


彼の名前はダイダロス。

大柄で褐色の肌は神の姿でも異形で、

周りの目が一気に彼に集まりざわつき始める。


また彼の星は最上位3つに入るほどの実力者だ。

八百万いる神の中でも最上位ともなると、

常柱の神では迂闊に話せないほど正に「天上の人」。


父とは大親友だったらしく、

父に下された死罪を永久追放まで下げてくれ、

その後ボクの柱族を守ってくれた恩人だ。

ボクが何だかんだ周りから直接的な迫害を受けないのは

この人のおかげそのものだ。


ついでにボクの発明好きは、

このおじさんの入れ知恵のおかげ(せい)でもある。


「おじさんでしょ。ボクが星を持てるように最大天様を

 説得したの。」


「はっはっは!なんのことかわかんねぇな!」

こんなに恍けようとしない恍けも珍しい。


「まぁ何はともあれ、お前も立派な成神だ!

 お前ならオヤジに似た破天荒な星作れるだろう!

 楽しみにしてるぞ!」


「子供のボクでも笑えない冗談だよそれ・・」


「これから式典が行われたあと、すぐに星作りだ!

 今のうちにどんな星にしたいか考えておくんだぞ!

 じゃあ俺も式典の準備で呼ばれてっから!あばよ!」


そういっておじさんは嵐のように去っていった。

忙しない人だ・・


おじさんが去った直後ある疑問が湧く。


「そういえば、じぃじ。

 そもそも星作りってどうやって始めるんだ?」


「坊ちゃん本当に発明に関わること以外は無知ですな・・。

 星づくりは通称ガチャから始まります。」


「へぇ、ガチャか。・・・ガチャ?」


「そう、ガチャシステムでございます。」


その初めて聞く言葉の響きに、

なぜかボクは悪寒がした。





ボクが小学生のときからアタマで作っていた作品を、

書き残していきます。


見ていただければ励みになります。

宜しくお願い致します。

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