2月13日 2月15日
こんにちは。今回は何かちょっと長めです。いつのまにかこんな量になってました。上手くまとめるのって難しいですね、、、まあそこは、「所詮はシロウトの作品」と割り切って読んでいただけたら幸いです。ではどうぞ。
2月13日
「大屋先生マジウザくない?クルちんもそうおもわん?」
そんなレナの愚痴に、愛想笑いで返事をする。中学校に入ってから、休み時間はこんなことばかりしている気がする。ちなみに、大屋先生とは真子たち3年5組の担任の先生だ。30代くらいの男の先生で、なんというか”覇気”が無いことで有名である。そのため生徒からはナメられまくりで、少々可哀そうな先生だ。
「さっきもさー、授業中喋ってたくらいで説教してきてさー、イミわかんない」
唇を尖らせて話すレナに、真子は内心「まず授業中喋るな」と毒づく。が、カオリやリカはうなずくばかりで、仕方なく真子もうなずく。彼女らは友人ではあるが、気の許せる友達ではない。こういう時は、肯定を繰り返すだけのほうが波風が立たない。三年間の経験から、真子はそのことを知っていた。口は災いのもと。今まで、余計なことをしてグループを追い出された人もいた。真子だけはそうならないようにと、必死にレナたちの機嫌を取ってきた。だが、私はそんな私が大嫌いだ。レナたちに媚びへつらうのも、人の愚痴に付き合うのも好きではない。だが、先ほどの大屋先生のように陰口を叩かれるのが怖く、グループを抜けられない。グループを抜けるのは怖い。でも、好きでもない人といるのも嫌。そんな我儘な自分がますます嫌になり、また一つ、汚れた息を吐く。
2月15日
大きな水たまりを飛び越えて、慎吾のいる方へと足を進める。この道は古く、アスファルトがデコボコしているので、水たまりができやすい。踏まないように気を付けて歩いていると、ガードレールと、その上に座る慎吾の姿が見えてきた。いつもと何も変わらない光景だったが、一つ、いつもと違うことがあった。慎吾の前に、一人の女性が立っていた。歳は40代くらいだろうか。落ち着いた色のズボンとコートを着て、慎吾の前で手を合わせている。近づいてみると、その女性も私に気づき、女性と目が合う。
「真子ちゃん、、、」
「文実さん、、、」
その女性は、真子もよく知る人物だった。
「ありがとう、忙しいのにきてくれて」
慎吾に似て柔らかてく笑うその女性は、宇木本文実、慎吾の母親だ。慎吾とは幼いころよく遊んだため、真子は文実さんとも仲がいい。
「いえ、今はあまり忙しくないので」
「あら、そうなの?真子ちゃんは要領がいいから、慎吾みたく一日中塾にいたりしなくっても大丈夫ね」
「そうなんですか?」
「そうよ。それでもちっとも成績上がらないし、お父さんに似て馬鹿なのね」
「本人の前なのにひどいなあ。。。」
慎吾がボソッとつぶやいたので、視線を向けると、慎吾は少しふてくされたような顔をしていた。
「私たちより先にいっちゃうなんて、、、」
そう言う文実さんの目は、真っ赤にはれていた。真子は思わず、「慎吾はまだいます」と言いそうになってしまった。慎吾も真子の言いたいことを察したのか、首を横に振っている。思わず下を向くと、そこには大きな水たまりが、私と文実さんの姿を映していた。錆びたガードレールは映っているが、そこに慎吾の姿はない。自然と、目から涙がこぼれた。
「真子ちゃん、、、」
彼はどうしてこうなってしまったのだろう。彼が何をしたというのだろう。私の涙が水たまりを揺らしても、慎吾の姿が映ることはなかった。
いかがでしたでしょうか。何かしらコメントを残していただけたりするととても嬉しいです。ではまたお会いしましょう。お読みいただきありがとうございました。