夢へ
初めて描きました。
体験談です。
同じような体験をした人がいれば教えてくださると嬉しいです。
散らかった部屋、少しずれたマットレス、キンキンに冷房をかけた部屋で微睡む深夜23時。
今日はいろんなことがあった。
ゲームをする気にもなれない。
目を閉じる。
頭がツンっと痛くなる。意識が遠のいていく。もう自分の体が自分のものではないみたいだ。
いつも通りぐらりと落ちていくような感覚が身体を支配する。
もう少しで…
…
…
…
…
…
ここは相変わらず変わらない。中学1年の頃から同じ光景を必ず見る。ここはたしかに自分の夢の中。
実家がある田舎とほぼ同じ風景。しかし、何かが少しずつ違う。家の塀はたしかに白壁だが、こんな形では無かったと思うし、お隣さんは現実では可愛らしい女の子だがここでは何も住んでいない。
町にはあるはずのない荘厳なビッグ・ベンのような時計台があるし、学校への道順が少し違う。
この光景を見だしたのはまだ実家で暮らしていた時のことだと記憶している。
最初、私はそこでエイリアンと対戦をしている夢を見た。ずいぶん突飛な夢だと思う。そういうのはよくある夢だ。
今日はまだ何も起きない。やることもなく、学校へ向かう。
夕暮れの中、家の前の道を東に10分歩き、小学校の横の坂を登り10分ほど行く。木立を抜けるとそこは母校の中学校。
何故かこの夢の中では中学校までしかない。
高校時代は自分ではあまり好きではないからかもしれない。大学までの学生生活は全て好きではないはずだが。
校内へは正門からより裏門から入る方が好きだ。
銀杏並木がとても綺麗に見える。
裏門の手前、木が生い茂る中、左手に古墳跡の記念碑がある。
母校は古墳跡に建てられている。これは夢の中でも変わらないらしい。
古墳跡に学校を建てることは昔はよくあった。昔は遺跡の重要さはあまり認知されておらず、古墳などはただの山と同じような扱いだったという。
しかし、大昔の墓は現代の墓地と同じように良い噂は聞かれず曰く付きの土地として放置されていた。
そんな場所を買い取るのは行政しかおらず、丁度ベビーブームで人口が急激に増えた折、古墳跡は小学校や中学校となったらしい。
そんな記念碑を横目に校内へ入る。昔から変わらない急すぎる校舎への坂道。遅刻しそうだった日は大変だったと思い起こす。
…
頭がツンとしてきた。視界が暗くなった。
…
急に場所が切り替わった。今度は階段の踊り場にいた。
ここは校舎内の2階と3階の間の踊り場のようだ。階段の蛍光灯は切れかけ。外は薄暗い。まだ階段は続いている。一段ずつ登り始める。
手すりはささくれの多い木、それを支える支柱の間は広く、小さい子なら間から落ちてしまいそうだ。
階段の壁は白く、触ると手に塗料がつく。
階段には黄色いライン。
もうすぐ3階だ。
今日の夢には誰もいないらしい。
中学校は田舎にしてはマンモス校だったために人が多い。いつもはそれを反映してか、この夢には見知った顔も知らない顔もたくさん登場する。
しかし、今日は誰もいない。珍しこともあるようだ。
誰もいない学校というのは、薄気味悪い。
私は学校というのは人がいるのがデフォルトなので、そう感じるだけだと思っている。
しかし、夕暮れの中忘れ物を取りに学校に来たあの日の雰囲気の異様さは忘れない。
へんな斑点模様の廊下を歩く。
ここは3階、2年生の教室。母校の廊下は異様に長い。立地上仕方ないことだが、横にずらっと教室が並び、真ん中が各学年の職員室だ。
3組の前まで来た時、視線を感じて横を見た。ただの電気を消した教室だ。何もない。
そういえば、この学校にも学校らしく七不思議なるものがあった気がする。しかし、ほぼ忘れてしまった。まだ卒業してから5年ほどしか経ってないというのに。
…「かーごめ かごめ かーごのなーかのとーりーはー………♪」
もう5時のようだ。市内で夕方に流される時報の音楽だ。しかし、何か違和感がある。
…「……うしろのしょーめんだーぁれ〜♪」
急に暗くなってきた。日が落ちてきたようだ。
長い廊下がことさら長く感じる。長い廊下の先は図書室のはずだ。
突然、なぜかここから出なければならないのではないかという気持ちになった。
踵を返し、階段へ向かう。
夢の中なのに心臓の鼓動がわかる。
ここにいてはいけないのではないか。
ここは自分の夢なのに異質なものに感じられる。
階段を駆け下りる。夕闇が照らす暗い階段を下りる。
なぜ帰ろうと思ったかはわからない。確か何か違和感を感じたんだと思う。
階段の踊り場をくるっと折り返す。
なんだか落ちそうな気分になり手すりを持ちながら駆け下りる。
もうすぐ一階だ。
その時ふと違和感の正体に気付いた。
そうだ、うちの市内の時報の音楽はかごめかごめではない。赤とんぼだ。
そう思った時、最後の段を踏み外し、盛大にこけた。
夢なので、痛いはずもないが痛いように感じる。ふらふらと立ち上がり正面を見た。靴箱があるはずだ。もうすぐ出れる。
しかし目の前は壁。
何かおかしい。振り返ると階段を確かに3階分降りたはずなのにまだ階段が続いている。
夢だからそういうこともあるだろう。
そう思って階段を再び下りることにした。
手すりの隙間から下を覗くと階段はあと1階分で終わっている。
安心した。数え間違いのようだ。
ふと上を見る。階段の隙間から上階が垣間見える。
………
……
…?
…何か視線を感じた。私の顔を確かに見ているものがいた。
すぐに視線を戻す。そんな気がしているだけだ。
しかし、背筋が少し震えた。
前方には一年生の少し下手な絵が飾ってある掲示板が見えた。上を見ないように、踏み外さないようゆっくり下りる。
大丈夫、今日の夢は何もいない。
自分を落ち着かせる。
一階まで降りた。もうすっかり日が落ちたようだ。
下駄箱へ向かう。
………
その時何かの視線を感じた。
確かに、何かが私の背中をみている。
冷たい視線だ。
空気が重く感じた。
しかし、振り返ってはいけない気がした。
すのこをコトコト鳴らしながら下駄箱から校舎の外へ出る。
校舎から出るとすぐに逃げたくなり、走った。
横には一階の窓、そこから何故かまだ視線が感じられた気がした。
坂を駆け下りる。
駐車場を走る。
東門から郊外に出ようとした。
しかし忘れていた、ここには段差があるんだ。
そう思った瞬間、足に衝撃が加わりバランスを崩す、やばいこける、目をつぶってしまった。てをつこうとおもった時…
急に心臓が痛くなる、息がつまる。
…
……
…………
……目を開ける。見知った天井が見えた。
夢だ。さっきまでのは夢だったんだ。よかった。
最低な目覚め。携帯のホーム画面を確認する。現在時刻は深夜3:34。
もう一眠りしよう。
そのまま目を閉じた。ぬいぐるみを抱きしめる。今度はちゃんと寝れそうだ。
だんだん頭がぼーっとしている。もう瞼はゆう事を聞かない。
…ガチャッ
扉を開けるような音が少し遠くで聞こえた。
よくある事だ。このアパートは夜に音がよく響く。
そういえば、うちの鍵は閉めていたのか気になった。私は抜けていることが多く、一人暮らし2年目でも時々鍵をかけ忘れる。
しかし、田舎ということもあり、何かあったことはない。それにこのアパートの入り口はオートロック。
……意識が遠のいてきた。
…ぎし ぎし ぎし
足音が聞こえる。うるさいな。
……ガチャッ
近くで扉を開ける音が聞こえる。
近く??
突然重さが私の体にのしかかった。腹あたりが痛い。息がつまる。
首が痛い。
息ができない。
何かで締められている。
抵抗しようとするが、手は何故かゆう事を聞かない。ただあるだけの義手のようだ。
目を開けようともがく。目やにのせいだろうか、うまく開かない。
体が自分のものではないようだ。
…うっ
息ができない、苦しい、、!
その時頭が少しツンとした気がした。
いつもの頭痛だ。
もがいていると目がようやく少し開いた。
…はぁはぁはぁ
息ができる。あつい、汗びっしょりだ。エアコンが切れてしまっていたようだ、、、
さっきの感覚はなんだったんだ…
手をゆっくりと握る。今度は動かせた。
ゆっくりとベッドから起き上がる。
さっきのは夢か、現実か。
私はどうしても確認しなければならない。
ドアを開け、短い廊下を歩く。
目を凝らし、玄関のドアの鍵がかかっているかを見る。
鍵はかかっていた。
さっきのはたぶん夢だ。
エアコンの電源を入れ直してから布団に戻った。
目をつむれない。怖い。
さっきのはおそらく夢。
今も夢……?
カチャという音が聞こえた気がした。
〜おわり〜
よくある夢の話です。




