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大小川帝国奮闘記  作者: 河童技研
18/24

転生15日目 同盟締結

どうもお久しぶりです。河童技研という者です。今回はやや長めとなっております。


 ルシア王国視点


 ここはルシア王国の軍港、マギア。


 ここは普段なら行き交う水兵たちと商店の喧騒に包まれているが、現在は別の意味で喧騒に包まれていた。


 「よう、あんちゃん。一体これはどういうことだい?いつもとこう···嬉しい騒がしさがあったと思うんだが?」


 「ああ。港を見てみろよ。そうすりゃこの騒ぎの原因が直ぐわかるぜ。」


 「ああ?一体なにがあるってn···」


 その男は港を見て絶句する。いつもならばルシア王国の誇る戦列艦が多数停泊しているはずなのだが、今日は作戦のために主力の艦隊は出払っている。


 しかし、代わりに見たこともない鉄の船が3隻 (輸送艦を含まない)も沖合いに停泊しているのである。しかも大きさが尋常ではない。ルシア王国の最大の戦列艦のおおよそ4、5倍もあるのだ。


 当然、市民達はたちまち大騒ぎであった。


 そして今に至る。


 「なんだよ···あれは?」


 「さあ。全くわからん。昼ごろにやって来たと思ったらあそこに一時間以上居座り続けているんだ。」


 「一時間以上?なんも動きがないのか?」


 「ああ。全く以て不気味だが警備船の連中も怖がって何もできてねえ。」


 「一体何をしに来たんだ?」



 小川帝国軍視点


 「で、結局どうやってコンタクトを取ります?」


 「うーんどうしようか···」


 「もういっそのことフツーに接触してみるのは?」


 「でもなあ···」


 その時、会議室のドアが開き、数人の男が入室する。ルシア王国の使節だ。


 「コンタクトなら我々にお任せ下さい。あなた方には我々を救助して更にはここまで連れてきて下さったご恩がある。恩返しさせて頂けませんか?」


 「あっそれはとても助かります。是非ともお願いします。」


 「わかりました。」


 そう言ってルシア王国の使節は会議室去って行った。


 「さて、じゃあ自分等もいきますか。」


 「じゃあ輸送艦から御車を···」


 「え?やだよ?車は。」


 「え?じゃあ徒歩ですか?」


 「いや、歩きたくはないなあ。」


 「じゃあ何で行くんです?」


 「勿論戦車だけど。」


 「···は?」


 「え?防御もバッチリだし我が国の技術を見せつけるいい機会じゃん。」


 「···さいですか。」


 「あ、勿論三式チヌで。」


 「···」



 こうしてルシア王国との接触の準備が完了した。



 再びルシア王国視点


 「おい!なんか出てきたぞ!」


 先ほどの男が輸送艦から出てきた大発(上陸用舟艇)と高雄型から下ろされた内火挺を指差して言う。


 「いったいなんなんだ···」


 「おい!砂浜にのりあげたぞ?」


 「おい、とりあえずご領主様に伝えようぜ!」


 「ああ、そうしよう」



 領主の館にて


 「何?先ほど報告にあった鉄船から砂浜に上陸したとな?」


 「はい、どういたしますか?」


 「とりあえず行ってみよう。衛兵達を集めよ。」


 「はい。」


 「一体何が起こっているんだ?今戦争しているザメギア帝国のものではないだろう。ヤツらなら上陸する前にバリスタを撃ってくるだろうからな。では一体何物?」


 領主が考え事をしていると先ほど衛兵達の準備を命令した衛兵長が戻ってきた。


 「ご領主様。衛兵達の準備が完了しました。」


 「わかった。すぐにいく。」


 こうして未知の国家との接触が始まる。


 

 砂浜にて


 健治達が上陸を終え、接触の準備をしている時であった。見張りの兵士が健治達の方に向かってくる騎兵隊を発見した。


 「陛下!こちらに向かってくる騎兵隊を発見しました!数は約2-300騎ほどです。」


 「ダルダ使節団長。あれは?」


 ルシア王国側のダルダ使節団長に健治は尋ねる。


 「おそらくこのマギアを治めるマギア公爵でしょう。」

 

 「ほう。総員、お迎えが来たぞ!ダルダ使節団長、お願いしますよ。」


 「お任せ下さい。マギア公爵とは結構な仲でしたから。」


 「じゃあ任せましたよ。」


 そう言って健治は三式中戦車に乗り込む。


 そして騎兵隊が健治達の元に到着した。


 「そこの者達!我はこのマギアを治めるマギア公爵である!本日はなにゆえ我が領地に参られた!?」


 と、そこへダルダ使節団長が話しかける。


 「お久しぶりですな。マギア公爵。」


 「おおっ。お主はダルダ殿ではないか?!お主はソビート連邦に使節団長として派遣されたはず?!」


 「はい。本来ならソビート連邦に使節に向かうはずだったのですがな···。とんでもない未知の国家と接触できましたよ。」


 「ほう。で、お主の後ろにいる軍勢と沖合いにいる鉄船がそれか?」


 「その通りです。健治陛下、そろそろよろしいでしょうか?」


 ダルダ使節団長がそう言うと、後ろから鉄の箱車が近づいて来た。そしてその鉄の箱車の上から一人の青年が体を出す。


 「はじめまして。マギア公爵、でしたか?私はこの大小川帝国の皇帝をやっている小川健治、という者です。」


 「こっ皇帝?失礼するがあなたはずいぶんお若いようですが?」


 「まあいろいろありましてね。こちとら毎日大変ですよ。」


 「ほう、そして先ほどから気になっていたのですが、健治殿が乗っておられるそれはなんなのですかな?」


 「おおっ!やはり気になりますか?!」(キラーン!)


 「は、はい。(急に健治殿の目が光ったぞ!?)」


 「これはですね、我が大小川帝国陸軍の三式中戦車です!全面鋼鉄で覆われており、主砲は九〇式七·五糎野砲を搭載!車体には九七式車載重機関銃一挺!そしてこの洗練されたフォルム!どうでしょう素晴らしいでしょう?!」


 「···はい。(健治殿は技術バカなのだろうか···。ただ我が国のバリスタでは歯が立たないだろうな。鋼鉄にはバリスタの魔法矢は効かないだろう。)」


 マギア公爵はこの未知の国家の技術力を正確に分析しようとした。


 「そして健治殿、本来の質問だが、我が国に何用でいらっしゃったのだ?」


 「おっと失礼。我が帝国はルシア王国との同盟の締結に参りました。先日、我が帝国にダルダ使節団長率いる使節団が我が国に遭難したので救助等致しましたら是非大陸戦争に加勢してほしい、と言われたので本日はその同盟の締結に参りました。」


 「ダルダ使節団長、今の話は誠ですかな?」


 と、マギア公爵はダルダ使節団長に尋ねる。


 「はい。陛下の乗っておられる戦車ですかな?を見ていたたければおわかりでしょう。我が国にこんな兵器は作れますまい。更に陛下の帝国は人口百億という超巨大国家です。ザメギア帝国にはなすすべもありますまい。マギア公爵、是非とも国王様に同盟締結についてお伝え下さい。」


 「わかった。私の方から国王様に同盟締結については連絡しておく。」


 そうしてマギア公爵率いる衛兵達は戻っていった。


 後日、ルシア王国の国王が


 「ザメギア帝国に勝てる軍勢ならなんでもいい!とにかく助けて!」


 という内容の親書を送り、無事ルシア王国との同盟締結に成功。同盟の内容は、


 大小川帝国は現在の大陸戦争において、ルシア王国側として参戦する。

 ルシア王国の兵力はほとんど無いに等しいために、戦争は小川帝国軍が行い、その対価としてルシア王国の鉱山等の採掘権を小川帝国に譲渡する。

 また、魔法技術者を小川帝国に派遣する。


 という内容になった。


 そして先日、ついに大小川帝国はザメギア帝国に対し宣戦布告、戦闘状態に入った。



 ザメギア帝国視点


 現在、皇帝の住まう皇城では、新たに参戦してきた小川帝国について会議が行われていた。


 「皆の衆、よく集まってくれた。本日は我が帝国に対し宣戦布告してきた小川帝国とやらについてだ。ルシア王国に忍ばせた密偵の情報によるとこの国は人口百億、総兵力十億の国らしい。更にこの国は転移国家、だそうだ。これについて皆の意見を聞きたい。」


 ある貴族は言う。


 「人口百億?総兵力十億?そんなもの嘘に決まっているでしょう。陛下、気にする必要はありません。」


 一方他の貴族は、


 「確かに兵力、人口については嘘八百でしょう。しかし転移国家についてはその可能性はありえます。かの有名なマジリス魔法王国も転移国家です。ただしその小川帝国とやらがどの程度かによります。」


 「そうだそうだ!」


 「あと少しでルシア王国を落とせます!気にする必要はないかと!」


 あらかた意見が出ると皇帝が口を開く。


 「うむ。皆の意見はよくわかった。ではこのまま戦争は続行、なおかつルシア王国との戦線への増援、とする!」


 「皇帝陛下万歳!」


 「万歳!」



 しかし彼らは知らない。その小川帝国は密偵の情報通りの軍隊を保持し、すでにザメギア帝国攻略作戦の実行段階に入っていることに。

というわけで次回からザメギア帝国攻略作戦です。お楽しみに!

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[良い点] 物語がすらすら進む事! [気になる点] もうちょい細かな表現が欲しい所、物語はすらすら読めて面白いのですが情景や主人公達の仕草等の表現がいまいち足りず、没入感に欠けると感じました。 [一言…
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