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書物修復師5
「ああ、それ出来上がったんですね。」
言われて、持ち帰ってきてた書物を渡す。
「結構酷く破損してたのに、よく直しますよね。
糊の痕も見当たらないんだから、一体どうやっているんだか。
あれ?
紛失してた頁も揃っている。
気色悪い位に完璧な修復だな。」
「え?
紛失してた頁まで修復してるんですか?」
あり得ない事なのではと思う。
同じ書物を見て、複写しているのか?
「こう、完璧な修復だと気味が悪いよね。
便利ではあるけれど、付き合いたくは無い人種だよ。」
紛失した頁も直せる?
そんな事が本当に。
心臓がドキドキする。
そのような事が可能ならば、あの書物も、、、。
「ランドル殿、次は書庫の整理に行きますよ。」
同僚に連れられ、ここでの仕事を覚えるべく向かうが、気持ちは先程の人物に会いに行きたかった。
書物修復師に。