表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ともだち  作者: 猫野 朔
3/19

黒いカラス



 クマと出会ってから、白い羽根のカラスは考え込むことが多くなりました。


『あなたにとって友達とはなんでしょう?』


 ずっとひとりぼっちだったので、あまり考えたことはありませんでした。


 けれど、今は友達がいます。


 小さなネズミを思います。

 大きなクマを思います。


 カラスは、一度きりの出会いを大事に大事に思い出します。


 では、答えは?


 考えごとはそこまででした。


 となりの枝に一羽のカラスがとまったので、カラスは顔を上げました。うっとりするほど夜のように黒く、大きく立派な翼のカラスでした。

 

 カラスは、他のカラスに見つかりたくなくて離れようとしましたが、黒いカラスが呼び止めました。


「どうか、そのままで。君はいつもひとりですね。そこでどうでしょう。わたしと友達になりませんか?」


 黒いカラスは優しく微笑んでいます。

 けれど、カラスは狼狽えています。


「わたしは、白い羽根をしています。あなたから見れば、さぞ、醜いことでしょう。気持ち悪いでしょう。わたしはいなくなりますから、どうか、おゆるしください」


 カラスは白い羽根をはばたかせ、姿を隠してしまいました。


 黒いカラスは、どこかにいる白い羽根のカラスに聞こえないよう、小さく、小さく、溜息をつきました。


 醜い。

 気持ち悪い。

 どちらも、群れの他のカラスらが散々浴びせてきたものです。心に染みついたものは、とても根が深そうです。


 願いを叶えてくれる。


 こんな魅力的なことを簡単に諦めるわけにはいきません。

 でも、黒いカラスはあまり気が長くありませんでした。


 さて、どうしようか。


 黒いカラスは考えを巡らせました。


 白い羽根のカラスは、白い羽根を取って、友達になったものの願いを叶える。


 ネズミとクマを見た限り、それは確かです。


 では、友達にならないと願いは叶えられない?

 羽根を取るのは、願い事を言うのは、白い羽根のカラス自身ではないといけない?


 確かめることは、無駄ではありません。


 次にすべきことは、誰にやってもらうか、です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ