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ともだち  作者: 猫野 朔
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目がさめたら

 



 ひどく熱い虫のようなものがうごめいていました。皮膚の上を這い、肉をえぐり、骨をきしませながら、それは体に居座りつづけました。耐え難い痛みと苦しみの波は次々と押し寄せてくるのに、逃げるための羽根はなく、足を動かそうにも黒いどろどろとした塊が絡まりついて動けません。喉も熱で焼けてしまったのか、声も出ませんでした。


 熱にうなされながら、何度も何度もひどい夢を見ました。赤と黒が混ざり、ひしめき合い、ただただ悲鳴をあげるのです。恐ろしいのに、悲しい夢でした。


 何度、お日さまがのぼったのでしょう。どれだけお月さまが満ちて欠けたのでしょう。


 虫のようなものが少しずつ減って、波が穏やかになり始めた頃、ぼやけた視界のはじっこを、見たことのあるネズミが白い羽根をくわえて通りすぎていきました。

 呼び止めましたが、声は声にならず、ネズミはそのままいなくなってしまいました。

 ゆっくり目を閉じました。

 まぶたがとてもとても重くて、もう一度開けるまでに時間がかかりました。

 次に目を開けられた時は、少し固い毛に包まれていました。なんだか温かくて、時々、誰かがカラスの体を撫でました。それがまた心地よくて、つい目を細めるとそのまま閉じてしまいました。

 

 次に目が覚めた時、敷き詰められた笹の上で寝ていました。どこかの穴ぐらの中のようですが、誰もいないようです。


 熱も痛みもありません。ただ、ずいぶん動いていなかったようで体がとても重くてしかたありませんでした。

 起き上がったところで、はたと違和感に気づきます。

 生え始めの小さな羽根が黒いのです。

 抜かれたはずの羽根が生え変わるほど寝込んでいたことに驚きでしたが、色が変わったことのほうがはるかに衝撃でした。

 カラスはぎこちない動きで体を隅々まで確認していきます。傷ついた白い羽根はそのままだったので、白と黒のまだらなカラスになっていました。 

 

 

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