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序章
どこからともなく悲鳴が上がる。
どこからともなく涙は落ち、すすり泣く音が聞こえる。
どこからともなく人々の絶望は広がってく。
抗いたくても抗えない。
抗うための術を知りたくても、学べる場所がない。
人類は、このまま絶滅の時期を迎えるしかないのだろうかという声も上がる。
勇気を出して、と言う者がいるが、その者が自ら行動に出ることはない。
そんな者が現れてほしいという者がいたとして、自分がそれになろうとはしない。
保守的な国。一言で表すとそんな国だ。政府の人間は、皆、臆病者だと人々は言う。
そんな国に、一人の男児が生まれた。
名をレオ。彼がこの保守的な国の英雄と呼ばれる勇者となる男である。