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陽子さんと自己中な支配者たち

陽子さんと自己中な支配者たち



支配者1が言う。


俺たちは、今まで、ずっと自分たちの望むをかなえるために、力づくで世界支配をしてきた。


そのために、努力してもきたのだ。


それを、、、陽子が、蹂躙してきたのだ。


俺たちは、被害者だ。


なんとか反撃する必要がある。


支配者2が答える。


そうだそうだ、その通りだ。


我々の願いと努力の結晶が、あっさりと侵略されるなど耐えられん。


何かいい方法はないだろうか?


支配者3が言う。


噂では、今まで陽子に抵抗できた者は、いないというとだ。


かの世界全部を侵略するであろうと噂されていた魔王様すら、今では陽子さんの隔離世界に引き込まれて、あまりに楽しすぎてそのまま戻らなくなってしまったという話だ。


え!あの魔王様でもだめだったのか!


支配者1がうろたえる。


しばらくの沈黙が支配者たちの間に広がった。


その後、支配者2がおそるおそる言う。


でもなあ、、、魔王様が、楽しすぎて戻らなくなる陽子の隔離世界って、一体どんな世界なんだ?


支配者3が答える。


俺の調査では、なんというか、なんでもありの世界だということだ。

信頼できる部下に調べさせたから、間違いないと思う。

そして、最後にその報告を俺にした後に、そいつは、戻らなくなってしまった。。。


主様、、、私は、もう、主様のもとへは戻れません。。。。陽子様の隔離世界は、素晴らしすぎるのです。。。申し訳ございません、、、

だの抜かしやがってよ。。。

今まで、俺のどんな命令にも背いたことがない最高に優秀な下僕だったのに。。。


支配者1は、青ざめて尋ねた。


なんで、戻れないのか、その理由はなんだ?


支配者3は、答える。


俺もそれを聞いたんだがな、、、それが、体験してみないと本当のところわからない、、、とぬかしやがったよ。


ふざけんなって怒鳴ったけどな、まったくビビることもなく嬉しそうにしてやがったよ。一体どういうわけなのか、俺にもさっぱりわからんよ。


とにかく、わかったことは、なんでもありのありとあらゆる魂にとって最高に自由で素晴らしい世界だと奴が判断した、、、ということくらいだ。


支配者2が言う。


ということは、、、なんだ、、、あらゆる魂ということは、俺たちも一応、つか、まあ、魂だから、俺たちにとっても最高に自由で素晴らしい世界ということか?


支配者3が答える。


まあ、奴の言う感じでは、そういう意味に聞こえたが、、、普通あり得ないことだろう。


支配者2が言う。


しかし、、、陽子の巷の噂そのものが、すでにあり得ないような話ではないか。

そのために、我々が、こうも心配しておるのだろう。


支配者3が答える。


まあ、そうだがな、、、得体の知れないことだ。

俺の危険感知能力が、混乱して役立たずになっているしな。。。

俺ももうわけがわからないんだ。


陽子が、、俺たちにとって敵なのか、味方なのかすら感知できやしない。。。

こんなことは、今までかつてなかったことだ。

100%間違ったことがない俺の危険感知能力が、こんなことになるなんて。。。


支配者たちは、途方に暮れたまま結論を出せずに、それぞれの支配する世界に帰って行った。


その後、、、、


支配者1は、未知なる陽子への恐れと不安に耐えきれずに、独断で、自らの遠隔攻撃能力を全発動して、陽子抹殺に動いたらしい、、、


結果は、わかりきったことであった。。。


支配者1は、その瞬間、自らの支配する世界から消えて、二度と戻ってこなかった。


僕の抱える、いたずら依頼書の中には、彼のそれも当然あった。。。


いつものことだ。。。


どうやら、現在、支配者1は、陽子さんの隔離世界で、陽子さんとの支配者ごっこに夢中らしい。。。


覗き見はできないが、一体、そこで何が起こっているのだろう。。。


支配者2は、賢明にも、いや、愚かにもだろうか、、、危険性の高い賭けには出れないと、、、今までの自己中心的な世界支配を、劇的に改めてしまった。

それゆえに、陽子さんを求める市民の声が、下火になり、、、

結果、まだ、陽子さんの侵略を受けていない。


それが、彼にとって賢明だったのか、愚かな選択だったのか、、、僕には、どうとも言えないが、、、


きっと、最終的に彼は、その選択が自分にとって失敗だったと、思うであろうことは、予想できた。


もっと早くに陽子さんに食われればよかったと、、、誰もが僕に言うのだから。。。


で、支配者3はといえば、陽子さんと話し合いをしようとした。


彼は、陽子さんについて、かなり理解できていたので、自分の力では、どうにもできないと思ったのであろう。

それに、陽子さんの隔離世界に興味も持ち始めていた。


当然、陽子さんは、対話に応じた。

彼は、隔離世界体験の安全なお試しを求めたという。

巷の噂の情報収集でそういうことが可能だと彼は知ったようだ。


当然、陽子さんは、それを最大限に歓迎した。

当然、彼は、二度と彼の支配世界にもどらなかった。自らの願いで。。。


今では、陽子さんの弟子のひとりになって お茶目ないたずら教室 にかよっているらしい。。。


ちきしょう!自己中支配者のくせに、うまくやりやがって! と、僕は思った。


陽子さんは、自己中支配者であろうが、そうでなかろうが、わけへだてなく歓迎するようだ。。。


好き嫌いなく、差し出されたものは、なんでも喜んで食べてしまう陽子さんだ。。。


これは、きっと、褒めるべきことなのだろう。

今度、褒めて頭を撫でてあげよう。。。絶対喜ぶだろうから。。。

ごろごろと甘えてくる猫のように。。。

まったく!陽子さんは、、、、世界独裁支配者のくせに、、、、威厳もくそもあったもんじゃない。。。


それにしても、お茶目ないたずら教室。。。いいなー。


あ、まあ、そのような感じで、、、自己中な支配者たちは、自発的に、、、または、陽子さんによって、あらゆる世界から消えて行った。。。


そして、ありとあらゆる世界とそこに存在する魂たちが、陽子さんに食われたがるようになり、陽子さんの中で消化され、隔離世界としての魂の選択肢という安全な形で再生した。


まあ、それはあたかも、無限に選択肢のあるテレビチャンネル、もしくはテレビゲームみたいなものであった。

陽子さんからの嬉しいいたずら付きの。。。


このようなことは、意識世界にかつてない現象であった。


このたった一人の陽子さんのために、意識世界全体は、あらゆる魂にとって、パラダイス化していった。。。


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