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私と彼のその後

閑話てきななにか



今日は基礎体力の授業の課外授業のために受講者全員が昼食持参で、近くの平原にいる。


生徒の二倍の数の基礎体力訓練用の風狼を平原に放ち、攻撃を禁じられた中、とりあえず死ぬ気で逃げろという基礎体力の担任教官の言葉と共に走らされまくった地獄が終わり、待ちに待ったお昼休みのことである。


ちなみに、犠牲者は半分。かみ殺されるとかいうグロい感じになるかと思いきや、ちゃんと牙に催眠効果を仕込んでくれていたらしい。めちゃくちゃ痛そうだが。“インモータル” を使うと緊張感がなくなるということで使ってはいないので、最初に捕まった奴は断末魔のような叫びをあげて気絶。めでたく、補修という名のしごきが決まった。




「最近、お金回りがよろしいですわね。何か高額依頼でもこなしましたの?」


目立たない所でお弁当を広げながら、オリビアが聞いてくる。どうも、最近続けてデザートを頼んでいるのが気になっていたみたいだ。目ざといぞ、このこの。


そして何故目立たない所かというと、担任教官ランドルフ・ベイゼはオリビアの担当教官に振られ続けているので、最近は教え子であるオリビアを使って近づこうとしているらしく、見つかると絡まれてめんどくさいからである。


「割りのいいバイト?を始めたからかな」


ちょっとした縁で始めたバイトのおかげてちょっぴりリッチなのだ。


お金の余裕があるならば、毎日でもデザートを頼みたい。だって女の子だもん。摂取したカロリー分ぐらいは余裕で動く。だから、太らない。太らないったら太らないのだ。


授業と戦闘で心身共に使う学園生活においてカロリーは大事。よって、学園の生徒たちは総じてよく食べる。


隣に座ってるオリビアさんなんて、楚々とした雰囲気の持ち主のくせに、二人前、ハードな日なら三人前くらいたいらげてます。しかも、学園の生徒用にボリュームたっぷりな定食を。これはこれでおかしいんだけどね。


くだらない話とか、午後はどうなるかとかくだらない話をしていると、近づいてくるひとの気配。もしや、ベイゼ教官かと思って構えたが、見知った気配と知ってご飯を食べ続ける。


「サラ、捜したぞ」


現れたのはレイモンドでした。

突然の有名人の登場、そして、私に親し気にはなしけているのを見て驚きの表情を浮かべる二人。


そちらを気にしつつも、約束していた例のブツを取り出す。


「へい、旦那。約束の品ですぜ」


「なんだ?そのしゃべり方は。気持ち悪っ」


ノリが悪いな。そして、素直だからって何言っても許されると思うなよ。たとえ、オリビアとエリックもひいてたとしても、だ。


「確認してよ。それで、出すもん出して」


「今回もなかなかの出来栄え。本物の神々しさや偉大さは半分も表れていないが、まあ仕方ないな。兄様をたかが写真くらいで表せるなんてそもそも思っていないしな」


いつもながら、うっぜー。そう言いながらもきちんと報酬は出しているので、仕方なしに許す。いちいち怒ってるとキリがないしね。


そう、私が渡したのは教官の写真 数枚。


決闘の後、私たちは定期的に写真のやり取りをするぐらい仲良くなりました。そう、私のバイトはこれなのです。写真を何に使うのかは怖くて聞いてません。


教官を隠し撮りするのは大変ですよ。だから、隠し撮りはやめて堂々と撮ることにしました。文句言われたけど、焼きまししないし、変な奴には渡さないし、決闘に巻き込んだんだからと言うと言葉に詰まったようなのでよし。このブラコンの弟が変な奴ではないとは言い切れないけど、身内だから自己責任と思うことにしている。


昨日の夜、メッセージで明日には写真が出来ると伝えるとすぐに受け取ると言って聞かなかった。いつものことなので、失念していた私が悪いわけだが。

今日の実習が一緒だと分かったので、昼休みを受け取りに指定した。そういう意味でも目立たない場所にいたっていうのもある。


ぽかんと固まったままの二人を置いて行きぼりに話し続ける。


「じゃ、いつもの口座にいれといてね」


「ああ、分かってる。そんで、一緒していいか」


そういや、こいつ友達少なかったな。崇拝者とか彼女になり隊とかはいるらしいけど、対等な友達は少ないらしい。これは教官からの情報。なんだかんだで、弟のことをちゃんと気にしているらしい。ツンデレかと思ったけど、今この言葉は私の中で禁句なので、何も言わなかった。


「ここなら、いっか。ねぇ、二人ともいいでしょ?」


誰にも見られないから、妬まれる心配もないしさ。二人ともいい加減動こうよ。






「えっ、それじゃ、サラが勝ったの?どんな卑怯な手を使ったんだ?」


一通り説明し終わったあとの第一声がこれである。もう少し言うことはないのか。

エリックはとりあえず、殴っとく。


「見事な魔術だった」


「魔術でしたの。確かにサラの魔術は厄介ですからね」


オリビアの魔法の方が厄介だよ。私の魔術は小手先だからね。組み合わせないと使えたもんしゃない。


魔法とは自身の魔力を使って起こす現象を指し、魔術は、力ある言葉と世界の力を用いて使う。


魔法は魔力さえ使えばすぐに発動できるが、魔術は、世界に願うために魔術式や陣を書いてからでないと使えない。そして、式や陣は複雑極まる。


だから、魔法を使える人間にとって、魔術は使い勝手の悪いものとして認識されている。学園でもみんな最低単位だけとって終わりというのが当たり前だ。


私は魔力量に左右されない、努力によって使える魔術が好きなので、結構授業を受けたりしているわけだが。


「もう勝てないけどね。同じ手は効かないだろうし」


「そんなことはないだろう。また、再戦を申し込むつもりだ」


「んなことすると、君の大好きな兄様の情報も写真も渡さないよ」


「それは、卑怯だ」


ぐっとつまるレイモンド。ほんと、扱い易いわー。


「ブラコンだったんだ」

「ブラコンでしたの」


ようやく気づいたようだ。









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