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私とブラコン

「ぜったいに、ぶっ潰す」

剣先をこちらに向けながら、宣言する美丈夫。

あぁ、何でこんな面倒なことになったのか。

それは、昼休みに始まる。



◇ ◇ ◇



いつものように、入学当初からの友達でかつ寮の同室者であるオリビア・パーカーとオリビアのいとこという関係から知り合ってつるむようになった、エリック・バートンと共に食堂でお昼を食べていると、突然騒ついた食堂。

あー、誰か有名人でも来たかな、でも関係ないわー、とか思っていた時もありました。そいつが話しかけてくるまでは。

「お前がサラ・ハーミッドか?」

これはこれは、同期生で一番の有望株レイモンド・イグランド君ではありませんか。そんな、有名人が何の用ですか、できれば、もっと人目のないところで声をかけて欲しかったです。もっと言うなら私なんか捜さないでほしかった。

「違う違う。メアリー・スミスです」

考える前に、するっと口からでまかせが出てきた。横で呆れたように見てくる二対の目は気にしない。

だって、名指しで聞いてくるとか、絶対に面倒ごとだよ。しかも、成績はそれなりに優秀だけど、目立つことのない顔と雰囲気をもつ私だよ?そんな私を同期生の中で一番優秀な奴が捜してるんだよ?そりゃ、嘘もつきたくなっちゃうよね。

「そうか。すまなかったな、スミス。サラ・ハーミッドを知らないか?」

信じちゃったよ、この人。しかも、あっさりと。半分くらい冗談だったのに。

周囲に埋没するスキルに感謝。嬉しいのに、なんでこんなに虚しいんだろ?

「いやー、知らないですー、ははは」

「見つけたら俺が捜していたと伝えといてくれ」

この人こんなに素直で大丈夫かな?騙されそう。現に騙した私が心配することではないけど。

颯爽と去って行ったが、騙されてるからねー、その堂々とした姿が逆に笑いを誘う。

「お前、性格悪いな」

笑っている私に、引いたように告げるエリック。よし、覚えていろよ。

「それでこそ、サラですわ。あんなに流れるように、嘘が言えるなんて」

何事もなかったかのようにお茶を飲んでいるオリビア。それ、褒めてないからね、オリビアさん。

「ま、これで引いてくれると嬉しいんだけどねー」

最後の一口を口にいれながら心から願う。


◇ ◇ ◇



はい、やっぱり、人生思う通りいきません。思いっきりばれました。

今回は人通りの少ない廊下だったので、その点は評価してもいい。だが、私のことを放置してくれなかったので差し引きでマイナス。

「お前がやっぱりサラ・ハーミッドじゃないか !! 」

肩を掴まれたので振り返るとすごい剣幕でまくしたてる、よく言えば素直で、悪く言えば馬鹿なレイモンド君がいた。

なんでそこまでして私を捜してるんですか、全く心当たりがないんですけど。

「そうだけど?人の顔と名前が一致してなかったのに、声をかけた君が悪いんじゃないかな。その様子じゃ、どこかで私の顔を確認してから、来たんでしょ?それなのに、私が冗談で違う名前言ったぐらいで、あっさり引き下がるとか」

正面を向いて、目をあわせて堂々と開き直る。暴論なのは自覚ずみだけど、往生際が悪いのも私の特徴です。

「そ、そうかもしれないが」

……、すっごい素直ですね。こっちが罪悪感を覚えるほどに。

「それじゃ」

なんか誤魔化せた気がしたので、どろん (古い) しようと思ったけど、はっと我に返ったレイモンド君に止められた。ちっ。

「ちょっと待て。俺はお前に用事があるんだ」

「私はないです。それじゃ」

くるりと回れ右をして、離脱しようとすると、またしても肩を掴んで止められる。そして言い募る。

「ちょっと待て。なあ、兄様に担当教官してもらうなんて、どんな卑怯な手を使ったんだ」

兄様?私の担当教官はイグランド教官。彼はレイモンド・イグランド……。

えっ、兄弟だったの?あまりの似てなさ加減に偶然名字一緒なんだーとか思ってた。だって、性格に癖のある教官とあまりにも素直なレイモンド君。教官の性格は絶対幼い頃からのものだと思うし、ほら、三つ子の魂百までって言うじゃん。だから、そういう性格を形成する家庭で育ったんだろうなって思ってたのに。同じ家で育って何故こんなにも違う。

唯一似ているのは顔が整っているところくらいかな。

教官の方は着痩せのする怜悧な美貌だが、弟の方は体格のいい、精悍な美丈夫だ。

「俺は避けられているのに。俺が頼んだ時は考える間もなく断ったのに、なんで。あの顔も頭も良くて、強くてけど優しくて……」

これは、世にいうブラコンという奴なのか。レイモンド・イグランド、残念なイケメンという言葉がこんなにもふさわしい人物はいないんじゃなかろうか。現に私がこうやって考え事をしている間も教官に対する賛美が続いている。

「……光輝き、直視することを躊躇うような、それでいて……」

帰ってもいいでしょうか。

そんなに輝いてるなら、電球のかわりにでも飾っとけよ。



◇ ◇ ◇



あー、部屋で誰にも邪魔されずに読む魔術書は格別だわー。

あの後?ああ、気付く様子もないし、放っておいて帰ったけど?


夕食を食べに寮の食堂に行こうかと思ったけど、ブラコンに突撃されそうなので外で適当になんか買って食べました。けど、いつまでも部屋でご飯食べたくないから、関わりたくないし、近づきたくもないけど、決着つけるしかないのかなー。私の平穏無事な学生生活のためにも。


と思っていたら、機会は向こうがつくってくれました。

私の望まない形で。

長くなったのでわけます


キャラのを忘れた…こんなだっけ?

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