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プロローグ
これといった産業も資源もなく、耕作できるような肥沃な大地もない。魔物の襲来も多い。
ないない尽くしの国が最後に希望を見出したのは人材資源であった。
幼い頃から武芸と魔法を叩き込み、言葉通りの一騎当千の人間に育て上げ、他国からの依頼をこなし、外貨を稼ぐ。
戦争に討伐、暗殺、さがしものに護衛。依頼されたことを忠実に遂行するその優秀さはやがて噂となり、結果としてこの試みは成功をおさめ、武芸国家サルディンと呼ばれるまでになった。
そんなサルディンにとって、武芸者の育成は何よりも優先されるものであるのは必然で、国には大小様々の武芸学校が存在する。
その中でも王立メルセナリー学園は、国中から特に秀でた者たち、簡単に言うならばエリートが集められ、将来を担う人材を育てている。この学園を卒業した者は、特にサルディーネと呼ばれ、国の名を背負う。この国で武芸を学ぶ者は一度は夢見るものである。