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夢のタクシー♂
2月24日の夜
正確に言えば25日になったばかりだ。
私はタクシーの運転手をしている。
いつもは耳に入ってくるハスキーボイスも今日は聞こえづらい、というより聞こえない。
「おそらく雪のせいだろう…」
心の中で自分に言い聞かせるように呟いた。
でも今日は何か違った、そう何かが違った。
翌日、起きた時にはストーブの時計は朝の6時半だった。
暑かった。今日は暑かったんだ。汗をかいていた。
ここは北海道しかも冬、汗なんかかくはずないのに…
起きてから30分ほど経っただろうか。
今日は、幼なじみの28回目の誕生日、パーティーをやるらしい。
予定時刻は5時。
まだまだ時間はある。
タクシーのエンジンを温める。
そろそろ仕事開始だ。
いつも通り家を出てコンビニの角を曲がる。
ふと昨日見た夢の事を思い出した。
カーラジオから流れてくる天気予報に耳を傾け、タクシーを運転する。
吹雪のせいでよく見えなかったが、向こうから誰か走ってくる。
その人影が顔のない女性のものだとわかった時には、目が覚めていた。