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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第一章

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6/20

重要なタイプのサイドクエスト

「やっぱりね、村を助けるのって大切だと思うんですよ」


「あら、勇者様風邪でもひいたのかしら?」


 四天王を倒した勇者一行。その次の日にあの勇者が急に真面目な事を言ったものだがらマネは心配してるようだ。


「酷い!いやさ……正直この旅は目的地のために一本道で進んでもいいんだけど困ってそうな村の依頼を引き受けてもいいかなって……報酬も貰えるし」


「流石お師匠!勇者としてカッコイイです」


「まぁ、資金面を考えるのならそうね。ただ何処へ行くかは決まってるの?まさかいくつもの場所にいくなんて無いわよね」


 村から勇者への正式な依頼ともなれば、そこへ何日か滞在して解決しなければならない規模のものも多い。村を救うのはもちろん大切なことだ。

 しかし、魔王を後に回せば被害は逆に増えるかもしれない。


 全てを救うことはできない。旅に犠牲は付き物なのは勇者もよく知っていることだろう。


「まぁ、緊急性が高い場所に限りますよ。リウの修行もマネのお金も、それに世界の平和も兼ねてる」


「……そう。勇者様って千里眼でも持っているのかしら」


「お師匠ですからね。持っていてもおかしくありません」


 どうやら既に目処のたっていた勇者とそんなやり取りをして、一行はとある村へと向かった。


 ◇


「ここ!ツイカサレター村です。ここはやばいです。危険が危ない村」


 ツイカサレター村。自然豊かな村であり、木上や中に家がある。森に住まう動物と共生し、木の実を分け合うような平和《《だった》》村。


「これは……中々ね」


「周辺の木が魔力をおびています!」


「……早速村長さんのところに行って村を助けに来た事を伝えよう」


 勇者一行は村長の所へ向かった。


 村長、及び全村人がいたのは木が生えておらず家もない場所だった。広場と言える程の広さもなく、井戸と乾燥した木の実の入った壺くらいしか無い。


「このツイカサレター村に人が来るなんて……ここは危ない。森を抜けるにも一苦労、目的地は分かりませんが戻って違う道を通ったほうがいい」


 勇者は足を一歩踏み出して言う。


「この村を救いに来ました!勇者です!」


 すると村長の目が丸くなった。


「勇者……!?本当ですか?しかしなぜこのような村に、天からの救いか……奇跡だ」


「天じゃなくてお師匠の救いですよ。ところでおじいさん、この村の森……すごい魔力がこもっているんですけどどうなってるんですか?」


「えぇ……辺りの木に近づくだけで冷や汗が出そうになるわ」


 あのマネすらも冷や汗をかくような呪いがこの森にはかかっているようだ。


「はい、それが森に魔王を名乗る存在が現れまして……森全体の木を生命力を奪う呪われた木に変えてしまったのです。だから私たちは長い間家に入ることも出来ません」


「魔王が……?勇者様、この村に魔王がいるとは思えないのだけど、どういうことかしらね」


「……魔王は居ない。けど魔王を名乗れるくらいの魔物がいるんだ」


「でも、お師匠なら大丈夫ですよね?」


 リウは勇者を信用している。


「うん、大丈夫。村長さんこの村の問題俺達が解決しますよ」


「おぉぉっ……ありがとうございます!」


 村長や他の村人が感謝を述べる中、ただ一人髪がピンク色をした少女だけが俯いていた。


「無理だよ……どうせ、無理……」



「―――さて勇者様、この問題どうするの?木を切り倒そうにも魔法は効かないって村長さん言ってたけど」


 勇者達は村人から離れたところで3人作戦会議を始めていた。


「じゃあ私の攻撃の出番ですね?」


「リウ、あなたはダメよ」


 リウが自分の仕事だとばかりに言うが即座にマネが止める。


「そうだよリウ。リウの攻撃法じゃ木に生命力が奪われる」


「私の隠された手も魔法だから何も出来なさそうだし……今回は勇者様がどうにかするしかないけど」


「うん、まぁそうだね」


 勇者は余裕がありそうだ。何か戦略があるのか。そして、そんな勇者の方に隠れた視線があり……その人物が勇者達に姿を現す。


「―――あの、どうか今からでも依頼は取り下げてください」


 村でただ1人、ピンク髪であった少女だ。


「あら、貴方さっきから隠れて見てたみたいだけど……今の発言どういうことかしら?」


「言葉通りです。あの木はあまりにも危ないんです……人間じゃ太刀打ちなんて出来ません。いえ、出来たとしてもそれで生命力を奪われてしまっては……」


「……え?いや……触れなくても風圧で粉微塵にするとかあるから問題無いけど」


 勇者の力は桁違いであった。


「嘘ですよね……?安心させるための。そんなの人間にはできませんよ」


 勇者の言葉だがピンク髪の少女には本当と思えないらしい。


「お師匠は嘘つきませんよ。大丈夫です、風圧で本当に粉微塵にしちゃいますから」


「……そうね。勇者様ならやってもおかしくないわ」


「俺の仲間二人も言うようにね、できるんですよ」


 しかしピンク髪の少女はまだ引き下がらない。


「それなら今すぐやってみてくださいよ」


「え……いやぁそれは」


「出来るんなら、迷う迷う必要はありませんよね?……無理なんですよやっぱり」


 そう言うピンク髪の少女の瞳に希望は無く、諦めきっているようだ。

 そんな余裕を見てか、勇者は慌てて反論をする。


「できる、できるから!ただ木だけ倒しても意味無いの。自称魔王倒さないと問題解決しないから。自称魔王は多分森の中にいるけど森の中入ると生命力がメリメリ減るから倒し方考えてるんすよ」


「……え?」


 どうやら勇者はちゃんと考えていたらしい。それも他には見えていない一手以上先のことが。


「だから……明日かな。明日までに自称魔王を倒す」


 勇者と思惑とは一体何なのか……どこからそんな自信が湧いてくるのか。

 しかし勇者には既に何か分かっているらしい。


 そんな事で勇者が自称魔王を倒すといった翌日のこと。


「はい、自称魔王をこれから倒します」


「倒します!」


 勇者の言葉をオウム返しするリウ。

 朝から元気な二人にただ1人ついていけない仲間がいる。


「……いや、勇者様?どうやって倒すのかしら私もまだ理解してないのだけど」


 マネはやることを理解できてないらしい。


「私も分かりません!」


 リウも理解出来ていなかったらしい。


「これはね……二人には任せられない。ちょっとね、本当ちょっとだけ俺の生命力が吸われる作戦」


「え、お師匠やめましょう!」


「いや、これが最善なんだ」


「リウ、勇者様の言うことよ。信じなさい」


「マネちゃん……うん。そうだねごめん」


 そして勇者の作戦についてだが……。


「まず、自称魔王は木に呪いかけられる凄い奴なんだけどそこまで現時点そこまで強くない。でも木を倒しちゃうと強くなる。木を倒しちゃうとそれまでに溜まった生命力がアイツの力になるんだ」


「……そうなのね」


「うん、だから今回はまず1本だけ木を倒します。すると自称魔王の力が上がります。これは絶対に隠せない。だから上がった瞬間に気配を感じ取るタイプのワープをして、一瞬で倒す」


「おー!凄い、凄い作戦ですね」


「うん、ってことでやるぞー」


 勇者は村の隅に生えた1本の木を倒した。

 すると微増ではあるが森のある場所にて魔力の盛り上がった自称魔王。

 その存在を見つければあとは一瞬。


「やったぞー」


 勇者によって自称魔王は消し炭となった。


 ◇


「お、おぉお……全体を覆うようにあった邪気が消えている……本当に全ての呪いが解けたのですか!勇者様、本当にありがとうございます!どうお礼をすればいいものか」


 自称魔王を倒した事で呪木は木へと戻った。

 長らく外で生活をしていた村人達も再び家で生活ができる。


「いやぁ、お礼は要らないかな。まぁ強いて言うなら村長さん達の笑顔でいることが俺にとっては1番なんだけど」


 ▶勇者のクサイセリフ

 村人達は感涙した


 そんな格好つける勇者の姿を見て、マネ達は会話をしていた。


「勇者様がかつてなく勇者しているわね」


「だね!お師匠かっこいい」


「本当に底の見えない不思議な人」


 そうして勇者による村の救済は幕を閉じた。

 しかし勇者の世界を救うための旅が終わることはない。勇者の目指す物は果てしないのだから。


 ―――ツイカサレター村を出る勇者一行。

 その後ろでは村人達が輪になって感情を分かち合っている。ピンク髪の少女もまた、黒髪の女性に抱きしめらながら涙を流す。

 そんな光景を見て勇者は誰にも聞こえない声で呟いた。


「救えなくてごめん」と。


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