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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第三章 この世界は定められている

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分かり合えない時はある

「やっぱりお師匠は凄いです……2人がかりなのに手も足もでないなんて!」


「本当になぁ。魔王のやつよりもずっと強いな!勇者ってか化け物だな!」


「さっきまで歩いてたのに戦い続けるなんて3人とも化け物だヨー……」


「本当に……ですがそんな方々が味方で心強いです」


 祭りを楽しみ元のロボロボ遺跡へと向かう途中の道。案の定鎧を着なくなったサンで基本《《野宿しかできない》》こともあり……その疲れを露わにするヨーとフィリアさんが休憩する、という時間に2人と組手をしていた。


 組手なんかしている間にヨーとフィリアさんが魔物に襲われる……なんてことは無く、むしろ俺たちから離れていく。


 普通の魔物は四天王であるサンを恐れる習性がどうやらあるらしい。まぁ当然といえば当然の事だ。


 ……まぁ、ヨーは道中の魔物にさえ舐められているのか普通に襲われているが。


 ―――いや、そんな事よりも、次に出会すボブの事を考える必要がある。


 ボブと相対した場合、どうするか。

 本来は負けない勝負……けれど今回は生かさなければならないハンデがある。


 そうなればいっそエリクサーをアイツに渡すか……?


 アイツがエリクサーを使うのはルシフェルなのだからフィリの居ない今回は、それが出来る。できて、しまうのだ。


 あくまでも今回の旅の目的はルシフェルに力を取り戻させること。

 情なんて必要無いのだから…目的の時まで自分を……抑えろ。


 ◇


「ウォォァォォォォオォ!誰か助けてくれぇぇぇぇ」


「シンニュウシャハイジョ」


 ついに辿り着いた、ロボロボ遺跡。

 そうして聞きなれた悲鳴と共に今回もまたビルさんが姿を現す。


「なんだなんだぁ?機械が人間を追っかけてやがる……まぁいい機会だ!行くぞリウ!」


「修行の成果を見せる時―――さぁサン来て!」


 ▶リウとサンの連携技鬼砲台(オーガほうだい)勢いよく飛んだサンがロボを破壊した


「すごい強い!2人ともすごいヨー!」


「へっ、俺が使われる側になるなんてな……」


「サン、使いやすいですよ!」


 ……この2人相性いいな。でもサンは使われ方それでいいのか。


「―――あ、危なかった、死ぬかと思った……おぉぉ、おい、お前ら凄いな!いや本当に色々と」


 それから、道中のロボを破壊しつつビルさんに続きエリクサーの元へと向かった。


 もちろん、これ以降は壁破壊に繋がってしまうサン砲台は使われなかった。


 しかしビルさん、さっきから顔が真っ青だな。


 理由は……、砲台の時にサンにぶつかりそうになってたからだろうか?


 兎にも角にも、ようやくエリクサーの前に着いた。つまりアイツが……きた。


(シュッ!)

「ふっ、人間にこの秘宝は渡さないぞ…っててヨーにサンじゃねぇか!帰ってこないと思ってたら……裏切ったか。まさか2人も裏切っちゃうなんてねぇ」


「っ、ボブ……」


「ボブはとんでもなく強いんだヨー!」


「悲しいけど裏切り者には早く速く鉄槌を!」


 ▶ボブの攻撃

 反復蹴り

 しかし、勇者に防がれた


「残念、こいつらは俺が守るって決めてるんだ」


「いいねぇ!早い判断だ!」


 ……臨戦態勢。どうやら、ヨーとサンを前にエリクサーだけ持って帰るなんて事は起こらなそうだ。


「うん、うん、俺ちゃんよりも強い奴が来たのなら……こう!」


「は、消えたヨ!?」


 消えた訳じゃない。ヨーには早すぎて見えないのだろう。今ボブは周囲を走り回っている。錯乱目的か、それとも……。


(バン、バンバン!)(ギィィィィイ)

(パァァァア)


『侵入者!侵入者!』


 ▶ロボが現れた

 ▶ビックリ玉が破裂した

 ▶落とし穴が作動した

 ▶勇者とリウとビルが別空間に飛ばされた


 ◆


「ひ、落ち……」


「ヨー君頑張って!」


 突然、破裂音が鳴り響き、かと思えば大きな穴が開いた。


 混乱していたが今は目の前で針穴に落ちそうになっているヨー君の手を掴み引き上げる。


「あ?……師匠とリウ、それにヒゲが消えやがったな」


 背後から、サンさんの驚いた声が……え、待って。3人が消えた……?


「油断大敵!俺ちゃんを前に混乱してる暇なんかねぇんだよなぁ!?」


「なんでお前はここに居るんだよ……ついてねぇ!けどお前から逃げない。真っ向から来いよ!」


 サンくんが敵と戦ってる間に早く引き上げないと。


「早い判断!け、ど、サンじゃ俺ちゃんに勝てないことくらい早く理解しろよなぁ!」


 ▶ボブの攻撃

 高速5連パンチ

 しかしサンは堪えた


「っ―――、効くけど師匠の攻撃に比べりゃあなんでもねぇ!」


「そうか!なら追加でたくさんやるよ!」


 ▶ボブの攻撃

 高速ツイン6連パンチ


「いっっっっ!だあああ!けど興奮してきたァ俺を倒してみろよ!」


 よし、ヨーくんは穴から持ち上げられた。

 けどこの状況で、どうしたらいい?

 無闇に逃げるのもきっと危ない……。


「サンやるようになったな!」


「お褒めに預かり光栄だよコノヤロウ」


「だから、お前は後回しだねぇ」


「あ!?逃げるのかよ卑怯者!」


「俺ちゃんに卑怯も何も無いさぁ」


 ▶サンの高速移動

 ヨーの元に駆け寄った


 いきなり……近くに。


「じゃ―――」


「待ってください!」


「人間に用はあるっちゃあるけど……ないっちゃない!大人しくどきな!俺ちゃんは優しいから助けやるよ」


「お断りです!」


 ヨーくんを包み込むようにして、守る。

 ヨー君は、震えていて……動けそうにない。だからあの人が来るまでヨー君を守らないと。


「そう?じゃあ気絶行っとこう!」


 ▶ボブの中速パンチ

 背中の骨に、ヒビが入った


 っ―――背中に電流が走るように……、痛い、痛い痛い痛い。こんなに痛いのに声が出ない、苦しい。


「ありゃ、気絶しないねぇ?加減って難しいなぁ。ってかヨー、人間に守られてるって仮にも四天王の癖に恥ずかしくないのかぁ?」


「それは……」


「元々お前は能力だけの奴、強者を前にすれば何も出来ない!……いや、長話は無用!いっそ女を引き剥がして―――なんだ?こいつ意外と力あるな」


 痛いけど……このくらい。勇者様みたいに私はすごく強いわけじゃないけど、こんな時くらいは……誰かを守りたい。守らないと……!


「あー人間1人くらい消えても大魔王様の復活には関わらないしやっちまうか」


 って……あれ、なんだか目が重たくなって―――


 ◆


「や、……やめるんだヨ!フィリアを傷つけないで欲しいヨ!」


「お?出てきた出てきた!わざわざ寝かせてやったんだねぇ。じゃ終わりだ!」


「終わらないヨー!」


 ▶ヨーの魔法

 しかしボブ、には当たらなかった


「そんなの素直に喰らうわけが無い無い!」


「や、やめて!こないでヨー!」


 ▶ヨーの魔法

 しかしボブには当たらなかった


「連発……近寄れないな……だけど、俺ちゃんは近距離だけが武器じゃないんだなぁ!」


 ▶ボブの攻撃

 真空パンチ

 空の刃がヨーの頬を擦る


「血が……やめてヨー!助けてヨー!」


「うーん残念あの方の復活への裏切り者は許せないんだ。ってことでどんどん攻撃行こ―――」


 そうして、ボブが再度攻撃を放とうとした時だった。その体は、がっちりと掴まれる。


「……おいおいサンよ邪魔してくれるなよぉ?」


「……」


「なんか言えっての」


 ▶ボブの攻撃

 高速金的蹴り

 しかし、サンは微動だにしない


「は、効いてねぇってのか?離せ!おい!」


「……スヤァ」


「サンは今眠ってるヨー!ヨーの操り人形だから痛みに屈しないよー!動けないならとびっきりのあげられる!これでも喰らえー!」


「お、おい待てよ!あ―――」


 ◆


 ……遺跡の場所が入れ替わった。


 秘宝のある部屋は入れ替わらないって話を昔ビルさんから聞いたけどあそこではトラップで起こる魔法……?でランダムな場所に飛ばされるんだ。


 最悪だ。サンとフィリアさん、ヨーとはぐれた。


 何よりもビルさんの地図情報で分かったことだが3人とボブが秘宝のある部屋にいる事が最悪なのだ。


 サンなら多少時間は稼いでくれるはず……少しでも早く向かわなければ。


 ―――そうしてビルさんに続いて、秘宝の元へ戻るとそこには想定外の景色があった。


 足をバタバタとさせながら寝息を立てるボブ、涙を流しながら……眠っているのか、意識を失っているのか分からないサン。


 そして倒れているフィリアさん。フィリアさんの横にはベッタリとくっついたヨーがいる。


「勇者ーーー!待ってたヨー!フィリアの治療して!!」


 フィリアさんが怪我を……。


 ▶勇者の痛いの飛んでけ

 フィリアの痛みは飛んだ

 ▶勇者のヒール

 フィリアの骨は再生した


 致命傷でなかったから治せたけれど、ここで一体何があったのか。ヨーだけが起きているのは……。


「ヨー、お前がボブをやったのか?」


「そう!怖かったけど頑張ったヨー!」


「それは、頑張ったな。それに、2人を守ってくれてありがとう」


「あ、……ヨーだけの力じゃないヨ。フィリアとサンが守ってくれたからヨーは頑張れたんだヨ!それにサンを守ったというよりも…もごもご……うん、どういたしてだヨー!」


 とりあえず、良かった。皆生きていて、ボブを捕らえる事が出来たのだから。

 とりあえず意識を失っている間に両足切断くらいはしとくか。


「何してるんだヨー!?」


「足の切断」


「なにそれ!勇者怖いヨー!」


 そうは言っても、万が一逃げられれば困るなんてものでは無いのだ。


「お師匠の言う通りにした方がいいと……」


「いーや、足を折るのでも甘い。こいつは危ねぇ魔物だ。俺は殺すべきだと思う」


「殺すのは……」


 ビルさんからしたらそう思うのも無理はないけど目的を達成出来なくなってしまう。


「正直おめぇがそのデッケェ魔物連れてる時、正直ビビった。けどアイツは助けてくれたし良い奴だったからまだ気にしなかった。けどよ……ソイツは間違いなくヤベェやつなんだ」


「はい」


「その……まぁ、俺が決めることじゃねぇけどな!それじゃあ秘宝もあったし出口まで行くか!」


 ―――それから、眠ったサンを俺が、フィリアさんをリウさんが抱える形で遺跡の出口までビルさんと向かった。


 しかし今回、ビルさんがこちらに同行しようと言い出すことはなく、そのまま俺たちは別れることになった。


 ……仕方がないのだ。危険な魔物と一緒に居たい方がおかしいのだから。


 とりあえず、次の目的地、ラブケーンに向かおう。


 きっとあそこにある風龍の紐ならボブも縛り付けることは、可能だろうし。


 それにしても結局「ヨーとサンがそうだったようにボブとも分かり合えるかもしれないヨー」と言われたから足は折ることも無かったな。


 我ながら甘い選択だ。


 本当()()()()()が不安になるくらいに、甘い。

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