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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第三章 この世界は定められている

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祭りは計画的に

 ドンカドンカ!ドンパチドンパチ!

 とても大きな音がする


「すごいヨー!派手派手だヨ!」


「ドンパチトンパチしてるなぁ!気分が上がるぜぇ」


「今日はきっとお祭りなんですね!お師匠、遊びましょう!」


 四天王2人と弟子1人が街の様子に気分を上げている。


 一体俺たちは何故ここにいるのか。次の目的地は真っ直ぐ進んだ先にあるロボロボ遺跡だった。


 ……しかしサンが「俺は真っ直ぐ以外の新しい道を見つけたい!」などと意味の分からない事を言った事で道中で初めて来る街を見つけたのだ。


 名前をアゲアゲの街テンションアガルナと言うらしい。


 ちょうど何かの記念日の日に来てしまったらしいが……どうしようか。


「せっかくだし遊んでいきませんか?」


「フィリアさんも……」


「たまには息抜きも大切ですよ」


 ……まぁ、そうだよな。ヨーとサンは味方になってくれたし今はまだ気を抜いていられる。


「それじゃあ遊びましょうか」


 俺たちは祭りの中へと身を投じることにした。

 最初に防具屋で全体を覆う鎧を買った。

 これを着ればサンが魔物であることもバレない。


「おいおい……なんだよこれでガチャガチャしてなんか嫌だぜ」


「文句言うな。わざわざ買ってやったんだから感謝しろ」


「サン、鎧は高いんですからね!お師匠に感謝してください」


 全体装備なんて店の食べ物よりもずっと高い。

 ……どうせ街を出たらこの鎧も脱ぐだろうし勿体ない感が否めない。


「勇者、ヨーあのジュージューしてるやつ食べたい!」


 そう言ってヨーが指さした場所ではバンダもどきのステーキを焼かれている。


「お肉か、分かった」


「俺も肉!肉を食わせろぉ!全部の肉を喰らわせろぉ!」


 サンは声がでかい。


「私は天然果物ジュースが気になります!」


 リウさんは果物ジュースか。


「それじゃあ、順番に行きましょうか」


 最初は一人で行くはずだった。一人で直ぐに終わらせる予定だった。なのにいつの間にかまたこんなにも騒がしい旅になっていた。


 ◆


 私たちは大きなお肉の塊を売る場所に来ました。その場で切ってくれるものだと思いましたが、どうやら大きな塊を自分で切り分けるようです。


 私には1つだと大きいのでヨーくんと1つを分けることになりました。


「ヨーくんは食べ方が綺麗ですね」


 丁寧にナイフとフォークを使って食べてる。


「普通だヨ。サンが汚いだけだヨー」


「あぁん?なんだとぉ!鎧の隙間から食うの難しいんだよ。それに肉は手づかみだろ!なんで道具を使うんだ!」


 ヨーくんもサンくんも恐ろしい四天王のはずなのに、こうしていると小さな子供のよう。


「お師匠、お肉美味しいですね」


「そうですね。でも俺はリウさんの作る料理の方が好きですよ」


「えへへ……そう言ってもらえて嬉しいです!」


 リウさん達も楽しそうに笑っています。

 それに彼の言うようにリウさんのお料理は本当に美味しいんですよね。私も1人で暮らしていた頃は家事を一人で行っていたけどそれよりもずっと。


 ―――それから、私たちはとても甘い木の実ジュースを飲み、不思議な味の摩訶不思議キャンディやポップアップコーンの7種混ぜ等を食べました。


「ヨーもうお腹いっぱいだヨ。こんなに食べたの初めてだヨ……」


「俺はまだまだ食い足りねぇぜ」


「私もまだいけますよ!」


「よく食べるな。食べるのはいいけどお金使いすぎないように」


 そう言いながら彼はお金を2人に渡した。

 ……本当に沢山のお金を。


「よしリウどっちのが多く食えるか勝負だ!」


「ふふ、負けませんよ」


 すごい、あんなに食べたのに。


 ……こんな風に外で食べるご飯というのはどこか特別に感じるし私もたくさん食べたけどあそこまではいけそうにない。


「俺たちはどうしましょうか」


「ヨーはフィリアがしたい事がしたいヨ!」


「え」


「だってフィリアまだ自分がしたい事いってないヨ?」


 そういえばそうかもしれない。


「確かに……すみません気づかなくて」


「いえ大丈夫です。ただ、私こういう体験が初めてで何をしたいか分からないんです。今だけでも本当に楽しくて。今は少しゆっくりしたいです」


「ゆっくり……分かりました」


 私たちは音を鳴らしている人やそれに合わせて踊っている人達を見ることにした。


「……旅を初めて、もう長い時間が経ちましたよね。教会を飛び出した日が懐かしいです」


「そうですね。まさかバニーの街に追いつかれるとは思いませんでした」


 バニーの街……。あそこでは少し恥ずかしい記憶があります。


「たまたま移動を手伝って貰えたんです」


「へぇ……そうだったんですか」


「はい」


「ヨー君と会ったのもあそこだったんですよね」


「……そうだったかヨ?」


 あれ、ヨー君覚えてないのかな。


「実はちょっと記憶が飛んでるんだヨ」


 ……私は理解した。


「ここまで来て聞くのは変なんですけど、貴方は……勇者ですよね」


「はい、勇者です」


 そう、この人は勇者様。私もこれまででよく分かっていた。


()()()。私は兄であるルミリさんを探す為にこの旅についてきました」


「はい」


「けど……私の兄も勇者なんです。同じ世代に勇者は2人存在しません。私の兄はどうなってしまったんでしょうか」


 私は、彼に無茶を聞いてしまった。


「フィリアさんの大切な人が……そうですか」


 それが彼に分かる訳はない。

 それでも、この人ならどうにかしてくれるんじゃないかって思った。


「きっとまた会えますよね」


「会えるヨ!フィリアもヨーも大切な人とまた会うんだヨ」


「うん」


 きっと、諦めなければ大丈夫。


「勇者様、ヨーくん。一曲踊りませんか?」


「踊るヨ!」


「踊りましょうか」


 早くに襲われ、長く奪われてきた人生。初めてのお祭りを私は楽しんだ。


 いつか、ルミリさんとも一緒に行きたいな。


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