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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第三章 この世界は定められている

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脳筋同士は筋肉で繋がってるんだぜ

『―――サン、お前は強いオーガだ。そりゃあ、娘と結婚するって言われた時はムキになっちまったけどよ……、俺はなんやかんやお前の強さを分かってる。 力は傷つけるものの事だけじゃない。お前には、特に並外れた耐久力もある。大切な俺の娘を守ってやってくれ』


『もちろん!俺はどこまでもどこまでも強くなってアンタの事まで守ってやる』


『相変わらず生意気な奴だ。サン、お前も俺みてぇに心まで強い鬼になれよ』


『……ん?おう!』


 かつて、お義父さんとした会話だ。

 しかしこれは間違っていた!

 圧倒的な力を前に俺は誰も守る事なんて出来やしなかった!


 俺は大切なヤツとの平和な暮らしのため、争いのいざこざからのがれるため魔王に逆らった。


 それが間違いだったのだ。俺は力でアイツに勝つことはできなかった。それどころか大切な存在を俺は失ってしまった。


 俺に力さえあれば救えたはずなのに。


 守るだけじゃ奪われる。……力がほしい。どんな物にも真っ向から抗える力が!


 ◆


 フィリアさん、リウさん、ヨー、サンを連れて次に向かうのはロボロボ遺跡だ。


 そこでエリクサーとボブを手に入れる。


「……溶けるヨー」


「ふぅ、本当にここは暑いですね。ヨー君、水分補給はしっかりしましょうね」


 歩くは武道砂漠。暑かったファイターストリートを超えた暑さに加え、果ての見えない道はフィリアさんとヨーには少々厳しいようだ。


 しかし、街で予め水分と食料の補給、それに武具も新調したから急に暑さでバテることも脱水も起こることはないだろう。


 そして隣を歩くリウさんの様子はすごく元気だ。元々住んでいたのがあのファイターストリートだ。暑さに慣れてるのだろう。


 サンを担ぐ俺の代わりに荷物も持ってくれているし、やはり連れてくるのは正解だったと思える。


 家から持ってきたらしいスパイスを使った料理も美味しいし―――と、そんなことを考えていたら数日間ずっと意識を失っていたサンが目を覚ましたようだ。


「んっ……あぁ?」


「生きてる武器!?」


「いや、武器じゃないです。こいつ四天王です」


「……なんだ?強そうな奴が1人、2人!って、なんだヨーもいるじゃねぇか。お前何してるんだよ?」


 サンが目覚めたことで、ヨーがフィリアさんの後ろに隠れるようにする。

 そして肝心のサンは、闘技場での記憶が飛んでいる様子だ。


「……とりあえずお前ら2人とも魔物になれ!それか、俺と戦え!」


 抱えているサンが、そんな事を言うが……俺の腕から外れる事ができないままもがいている。


「……おい離してくれ!戦えないなんて生き殺しはやめてくれ!」


「無理、断る」


 さぁ、このまま絞めて意識を飛ばしてしまおうか。


「―――なんてな!俺は攻撃されるほど興奮し!強くなる!」


 ▶サンのPowered by excitement

 サンの力はみなぎる……、

 しかし抜け出せない


「うごぉごごご!負けない!俺は負けられない!」


 ……サンが暴れる程、首の締まりは強くなる。首が締まるほどサンの力も強くなる。


 まぁ、サンがどこまで強くなっても負ける事は無いだろう。むしろ、このままサンが息絶える方が困る。


 ―――ドサッ


 仕方が無いので1度地面に放り投げると砂埃が舞った。


「ふぅ……ふぅ、や、やるじゃねぇか」


「私のお師匠ですから!」


 息を苦しそうにするサンの横で鼻を高くするリウさんがそんな事を言う。……師匠。


「ひぃ、ふぅ、……まぁ今のはあれだ。俺を離したお前の負けってことでいいんだな?」


「な、お師匠は負けてません!」


「だが、離したのも事実!俺は勝った!」


「お師匠の勝ち!」


「俺の勝ちだ!」


「お師匠の勝ち!その発言、撤回してください!」


 そんな不毛な言い合いを前に、ヨーとフィリアさんが遂にその場に座った。

 ……本当に、何を見せられているのか。


「……分かった。じゃあ弟子であるおめぇが俺に勝てたらまぁ、認めてやってもいい」


「臨むところ!お師匠に教わった極意、今ここで見せてあげます」


 ▶しかし勇者は、何も教えていない


「リウさん頑張って下さい。応援してますよ」


「サンに負けたらだめだヨー!」


 ……2人がそう応援をするとリウさんが俺の方をじっと見つめてきた。


「頑張れー」


「ふ、どうですがこの声援。貴方には無いものです」


「おいおい!声援なんて関係ないだろ?ってかヨー!なんでおめぇが人間側なんだよ!」


「ヨーは目的を見つけたんだヨ!だから魔族を裏切ったんだヨー!」


「ッ……そうかよ」


 ……なんだ?サンが苦虫を噛み潰したよう顔をした。


「まぁいい!やるぞ!」


「返り討ちです!」


 ▶サンの攻撃

 懲懲こりごりラッシュ

 サンの猛攻がリウを襲う

 しかし、リウは後ろに飛んで避けた


「なっ……避けるなんて汚ねぇ!男なら正々堂々殴りあいだろ!」


「私は女の子です!」


 ▶リウの攻撃

 昇給拳

 サンの腹部に攻撃が直撃する

 サンは大ダメージを受けた


「くっ、いい技じゃねぇか!興奮してきたあ!」


 ▶サンの力が漲る


 ▶サンの攻撃

 懲懲散々《こりごりさんざん》ラッシュ

 更にスピードと威力を増した攻撃がリウを襲う

 リウ咄嗟に受け流したが、大きなダメージを負った


「くっ……」


「おうおう!止まってるならその隙にドンドンに行くぜ?」


 まぁ、強いな。

 けどリウさんなら勝てる。もう少し未来の彼女を知っているからこそ分かる。


「俺は!人間なんかに負けねぇんだよぉ!」


「……今!」


 ▶リウのぶん回す

 リウは襲いかかってきたサンの一撃を避けてから身体を掴むと勢いをそのままに、投げ飛ばした


 彼女もまた、天才的な武道家だ。その才能は俺なんかよりもずっと上にある。


「ぐ……女に、俺が吹き飛ばされた?」


 サンはボロボロだ。あの勢いで飛ばされれば流石のサンも意識を保つのでいっぱいな。


 だが今の分も力に変えようとするのなら……

 その場合は、サンの身体が耐えられなくなるかもしれないな。


 止めるべきか?


 ―――いや、その必要は無さそうだ。


「……いい勝負でした」


 倒れたサンにリウさんが手を差し出す。


「は?お前……なんだよ。まだ勝負は終わってねぇだろ!」


「終わりです。私の勝ちですよ」


「なんでだよ!命を掛けろよ」


「嫌!」


「はぁ!?」


「だって死んじゃったらもう強くなれないじゃないですか」


「確かに……そうだな」


「さ、手を取ってください。闘った後は、互いに素の健闘を称え合う。武道家として当たり前の事です」


 そう改めてリウさんが言うと、サンは大人しく手を取った。


「……人間ってのは、分かんねぇ生き物だな。だが面白い!そうか、お前は確かに強いみたいだ……力だけじゃなくて心も。あぁ、お義父さんの言うこと……そうか今更分かったよ。心の強いやつってのは」


 ◇


「お師匠!私勝ちました!褒めてください!」


「よしよし偉い偉い」


「えへへ」


 なんだろうか、リウさんが尻尾をブンブンと振っているように見える。


 このリウさんを見てると少し、元気が貰える。


「なぁ、ヨー」


 ……サンが、ヨーに。


「ど、どうしたんだヨー?」


「お前……魔王様を裏切ったって本当か?」


「う、怒ってる?でもこれもヨーの目的のため!譲れないんだヨ」


「変に威勢がいいな!それに、怒ってなんかねぇ……むしろ自分にムカつくくらいだ。お前みてぇな弱っちい魔物が抗ってんのに俺ときたら……結局また魔王の野郎にビビっちまって従ってた」


「……そうなのかヨ?」


「あぁ、俺はお前が羨ましい。その強さも、目的ってやつも。俺は全部忘れて力だけを求めるようになってた」


 ……こいつもこいつで、訳ありか。


「だったらサンも一緒に来るんだヨー!それで目的を見つけたらいいんだヨ!」


「……は?」


「勇者!それでいいヨねー?」


「あぁ、味方が増える分には」


 ……都合がいいんだ。


「フィリアもいいー?」


「……私は皆さんの決定に従います」


「じゃあ、リウはどうだヨ?」


「もちろん歓迎です!これでサンは私の弟弟子!」


「は!?俺がこの男の弟子になるのかよ」


「お師匠は凄いんです!弟子になれる事を光栄に思ってください!」


「……しゃあねぇ、よろしくな?師匠さんよ」


 これは……とんでもない事になったな。


 それでも事態は、いい方向に進んでいる。

 ……進んでいるはずなんだ。


 ▶サンが仲間になった


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