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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第三章 この世界は定められている

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敵が心を開き始める展開は熱い?(2)

「―――あ、起きた!ねぇ君…大丈夫?」


「……?」


「あ、ごめん…自己紹介を忘れていたよ。僕はプリスト!」


「……!!」


「あっ、いきなり起きたらダメだよ!さっきまで君は意識を失ってたんだから」


 ◇


「うぅ……ん…」


 目を覚ましたフィリアさんが手を上に伸ばした。


「あぁ、起きましたか。おはようございます」


「おはようございます……」


 ……まだ少し気だるげだ。野宿じゃ疲れは取れないか。


「…ッン…ススッ…」



 ヨーの様子がおかしい。

 目から……まさかこいつ泣いてるのか?


 その様子は、こいつが邪悪な存在である事を忘れような物だった。


「……この子って、本当に魔物なんですよね?なんだか、こうして見ると普通の子供みたいで…」


 フィリアさんがヨーの顔を近くで見る。


「子供……」


 まぁ、見た目だけなら、確かに5歳程度の子供にしか見えないことも無い。


 え……なんでフィリアさんが、ヨーの頭を撫で初めて…?


「フィリアさん何してるんですか」


「あ、えぇと……なんだか辛そうにしていたので」


「危ないですよ」


「……私、この子が危ないなんて思えません」


「危ないです。こいつは…、人を簡単に殺してしまう魔物なんだから」


「…ヨ?」


 起きたか。


「ヨ!?なんだヨー!お前何してるんだヨー?」


 ▶勇者のビリビリ

 しかし、フィリアが庇おうとして不発に終わった


「待ってください!あの……私、この子の話を聞いてみたいです」


「は……?」


「……確かに、魔物は怖い存在です。でもさっきの様子を見ていたらこの子……それだけじゃない、なにかがある気がして」


 何を言っているんだ。


「ヨ?お前なんなんだヨ?ヨーの何がわかるんだヨー!」


「そうだ、こいつはただの人殺しの魔物です」


「ヨ!?ヨーは人を殺した事なんてないんだヨ!」


「私もこの子の事は分かりませんけど……昨夜気になることを聞いてしまって」


 ……確かに、見張っていた間に変な寝言を言っていた。

 だが、それがなんだと言うのか。


「うるさいヨー!人間なんか嫌いなんだヨ!お前も消え……ヨ!?」


「大丈夫…、怖くないです…」


 フィリアさんがヨーを優しく包み込んだ。


「お、お前なんだヨ!何んでヨーを抱きしめるんだヨー!」


「……だって、震えているから」


「やめて!優しくしないで!ヨーはもう人間は信用したくない!」


「……大丈夫、大丈夫だから。私は貴方の敵ではありません。ただ、知りたいんです」


「なんなんだヨー…お前なんかがプリストみたいなこと言わないでヨ!」


 ヨーが攻撃しようとしたら即座に意識を落とそうと身構えていた。


 けれど……これは、なんだ。

 ヨーから殺意が消えてる。攻撃する気が無い。


「貴方にとって、プリストって人は大切な人なんですよね?よければその人について話について聞かせて貰えませんか」


「……お前はヨーの事が怖くないのかヨ」


「怖いかと聞かれたから怖いのかもしれません」


「じゃあなんで逃げないんだヨ。どうして殺そうとしないんだヨ」


「おかしな話なのですが、貴方の魔法に私……感謝しているんです。だって、もうずっと会えてなかった人に会えたんですから。……それが例え夢でも嬉しかったんです」


 ……フィリアさん、そんな事を考えていたのか。


「変なやつ」


「変な奴じゃなくて、フィリアです」


「……フィリアは変な奴だヨ。分かったヨ……話してるやるんだヨー」


 ◆


 ヨー君は心を開いてくれたのか、静かに自分の過去を語り始めました。


「ヨーは昔、たくさんのヨーくらいの小さな人間と一緒に暮らしていたんだヨ」


「……孤児院に居たという事ですか?」


「多分そうだヨー。……ヨーは、同じ種族の中でも弱かったんだヨ。だから、強くなりたくて、他の奴らに挑んだ。けど負けて、追い出された先で最終的に大きな人間に拾われたんだヨ。それでヨーが目を覚ました時に最初に話しかけてきたのが、プリストだったんだヨ」


「プリストさんはお友達だったんですね」


「……友達。そうだヨー。プリストは友達。ヨーと一緒にいてくれて、色んな事を教えてくれた」


 プリストさんの話をしているヨー君の表情は優しい。大切な存在だったのが言葉の節が伝わってくる。


「……ただ、プリストはヨーと同じだった。たまに来る強い奴らにバカにされていたんだヨ。プリストが、昔から身体が特別弱かったせいで。それがヨーは許せなかった……だからそいつらに魔法を使って仕返ししたんだヨ。……そうしたら次の日にたくさんの人間がやって来てヨーを攻撃してきたんだヨ。

だけど、プリストも、ママも、他にも、ヨーを庇って、逃がしてくれたんだヨ……!だけど!その時にプリストが人間に刺されたんだヨ!プリストは自分が刺されたのに『逃げて』って言った!けど結局ヨーは逃げきれなかった」


「ヨー君……」


「ふふ……けどヨーは魂だけが残ったお陰で完全に消えることはなかった。それもあの方にたまたま触れたおかげで強くなって蘇ったんだヨ!この力を使ってヨーを否定して…プリストを殺した人間達に復讐をするんだヨ!そのためにヨーは世界を支配する!」


「……ヨー君は、本当にそれでいいんですか?」


「え?」


 世界に復讐すると言っていたヨー君だけれど、その時の顔はとにかく悲しそうに見えた。


「ヨー君が今しようとしているのは、悪い事です。……そんな悪い事をするヨーくんを、プリストさんは見たいと思いますか」


「そんなの分かってるヨ……」


「それに、ヨーくんはプリストさんが死んだと言っていますが、死んだとは決まってません」


「プリストは刺されたんだヨ?もう死んでいるに決まって……」


「ヨー君、人間は意外と強いんですよ。絶対にダメだと思っていたことすらも乗り越えてしまう。私の大切な人がそうだったように。……私は今その人を探すために旅をしています。だからヨー君もプリストさんを一緒に探しませんか?」


「そんなの……一緒に行きたいヨ。だけど裏切ったら、他の四天王が許さない…ヨーは、四天王で1番弱いから、殺されちゃうヨ」


「……いえ、こちらにも凄く強い人がついているので大丈夫ですよ」


 そう、先程からこちらを何を言うでもなく心配そうに見てくれている凄く頼もしい人がいる。


「あいつ……怖いヨ」


「いい人ですよ。私も彼のことはまだよく分かりませんが、優しいのは間違いありません」


「……まぁ、フィリアさんに危害を加えないならヨー、お前も守ってやる」


 ……言い方はぶっきらぼうだけれどやっぱり優しい。


「分かったヨー!その……これからよろしくだヨ!」


 ▶ヨーが仲間になった


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