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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第三章 この世界は定められている

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フィリアちゃんはついて行きたい(2)

よし、撒いた。


 これで余程のことがない限りは追いついてくるなんてことは無いはず。


 ……ということで、酒場に入ろう。


 扉を開けて、ソルドさんの方へと向かう。


「ソルドさん!」


 いつものように、そう声をかけた。だが、その反応は期待していたものではなかった。


「……なぜ俺の名前を知っている?」


「え……な、何を言ってるんですか?俺です!勇者です!」


「すまないが……俺の記憶では君と出会うのは初めてだ」


 え、なんで?どうして忘れられて……。


「おい!このガキってあの紙にある勇者様じゃねぇか?」


 ビーさん。


「話は聞いてたぜ!青髪の代わりに俺を旅に連れてかねぇか?」


 エーさん……顔が赤い。


「すみません。無理です」


「なんだと!?こう見えても強いんだぞ?実際に見せてやるよ!」


 ▶エーの攻撃

 ノロノロのパンチ

 しかし、勇者に受け止められた


「なんだこいつ!?つ、強ぇ」


「勇者ってのはヤベェんだな!全員でいこうぜ!」


 ▶勇者の攻撃

 エー、ビー、シー、ディー、イー、エフ、ジーは気絶した


 ダメだ。頭が痛い。落ち着け少し、頭を冷やそう。絶望しては、いけない。


 ▶勇者は、酒場を出た



「はぁ……」


 外に出て、ため息をこぼす。

 なぜソルドさんは俺の事を忘れてしまったのか……。


 いや、ソルドさんだけじゃない。前回もフィリは俺の事を覚えていなかったはずだ。


 何故覚えていないのか、と思うが……まず今まで記憶と力を引き継いでいた事がおかしかったんだ。


 俺が引き継いでいるのは、《《勇者として》》天使であるカイエルに授けられた祝福のろい


 けど他の3人はそうじゃない。


 今まで引き継いでいたのかを探るために、早くルシフェルと記憶を共有させる必要があるんだ。


 今までの事を説明すればきっとついてきてくれるだろうけど、力を引き継いでない状態じゃ、ただ危険に晒すだけだ。


 同行は厳しいだろう。そうなると……また一人旅の再開。大丈夫、何も問題なんてない。


 ◆


「―――ということがあった。……何が起きたか、目の前で起きた事なのに俺にも分からなかった。それと申し訳ないが、彼がどこへ行ったかまでは俺にも分からないんだ」


「いえ、参考になりました。ありがとうございます」


 青髪の男性から、彼の話を聞いたけれど……突然姿を消したことと言い、酒屋であった事から分かる。


 彼の実力は、本物だ。


 それはより旅へ彼と共に行きたいという願いを強くさせる。


 彼の居場所は分からないけれど、魔王城へと続く道を辿れば何処かで落ち合う事も可能かもしれない。


 それは無謀な事なのかもしれないけれど、きっと不可能では無いはずだ。


 ―――酒屋を出て、草原を渡る。スッライムであれば私でも渡り合うことは出来るけれど、それ以外となると少し怖い。


 修道女として身につけたゴッツ様より授けられた人を癒す為の力は、魔物には毒。私にも抗う術はある。


『パカッラ!パカッラ!』


 ……な、なに?


 歩いていると、背後から聞いた事のないそんな鳴き声が響いた。


 声につられて、後ろを振り向く。


 ……12足で走る大きな魔物!?どうしてこんな所に大型の魔物が。


「おーい危ないぞぉー?」


 えぇ……?魔物から歳のとった男の人の声を発している。


 人語まで喋るなんて一体どういうことでしょう。それも、私を心配してくれている。


「パッカラーン」


 そうして魔物が近くまで来るとそれは止まり、中からは老人が現れた。


 先程の声もこの人のものだったのね。


「その格好……こんな所で神職の娘が何をしておる?」


「あ、えぇと……」


 なんと答えるべきでしょうか。


「まぁ良い。ソナタのような女子おなごにここは危険、街まで連れて行ってやろう」


 ……!何ともありがたいお誘いが。これもゴッツ様の導きでしょうか?

 私は心の中で静かに祈りを捧げた。


「ふむ、しかし神職の者が危険な魔物も出る草原に一人いるとは。もしかしてお主、迷い子か?」


「あ、いえ!違います……その、勇者様の後を追っていまして」


 私は抱いて当然であろう疑問をぶつけられ、咄嗟にそう返す。


「勇者に?それはまた変わった理由じゃ。しかし、今から丁度勇者が通るであろう街へ行く予定だから、そこでいいだろうか?」


「はい、ぜひお願いします!」


 事態は都合の良い方向へと進んでいく。


 ……そうして乗り物?なの?それとも魔物?の中に私は入った。。


「あの、今乗っているこれはなんなのですか?」


「これは特別製の乗り物。ウッマという魔物の素材から作った乗り物で、叩くと周りの魔物を威嚇する咆哮ほうこうをあげるのじゃ。これのお陰で安全かつ、迅速な移動が可能!」


 ……ウッマという魔物のことは分からないけれど、今乗っているこれがとても高価な物であることは分かる。


 それに、この老人の頭に付けている物は王冠。どうやら私は今、王様に親切にしてもらっているようです。


 ◇


「ついたぞ」


「はい、ありがとございました」


 乗り物から降りて、街の外装を見回す。


 街にある建物は見た事が無いものが多い。本当に見た事のない建物ばかり。

 この街はあの多くあるピンク色をした建物を中心にきっと栄えてきたのでしょう。


 それにしても、露出した服を着ている人がたくさん……この街はどうなっているのでしょうか。


 本当にここをあの人が通るの?


「あらおじ様!また来てくれたのね?」


 私とは正反対とも言えるような女性。

 あんなにはだけた服で王様にピッタリとくっついて……。見ているだけで顔が赤く恥ずかしく思える。


「バニラチャン、会いたかったヨ!❤♫今日ハ一日中サービス❤してもらおうカナ?」


 ……王様の言動に、何故か私の顔は青ざめた。


「もうオジ様ったらぁ」


 すごい服装の女の人と一緒に王様もピンク色のお店の中へ消えしまった。


 ……は!私は気づいてしまった。


 かつて配給に言った村で揉める夫婦の仲裁に入った時に事。


 妻の方が「私を差し置いてまた変なお店へ行ってたの!?私達の間にはまだ子供もいないのに自分が子供になりきって頭どうかしてるんじゃない」と怒っていた事を思い出す。


 あの時に、性的快楽を求め入るお店が存在することとその外観がピンクであることを私は聞いた。


 うぅ……理解すると急にこの街にいることが恥ずかしく思えてきた。


 けど王様が言うには魔王城へ向かうルートにこの街が入っているらしいしここで待機するべきなのかも。


 あの人ならこの街を滞在なんてないで、もう過ぎ去っている可能性も……先に進むべき?それとも……うぅ。


「あらぁ坊やお店に入りたいの?」


 ふぇ?という腑抜けた言葉が思わず口に出かける。だって探していた人がお店に入ろうとしているのだから。


「……入らせてください」


「もぉ、お金あるのぉ?」


「あります」


「あら本当。まだ小さいのにお金持ちなの。じゃあ行きましょ坊や」


 気のせいかと思って目を擦るけど、やはりそうだ。勘違いなどではない。


 え?男の人って皆こういう場所に来るの?

 もしかして私を置いて言ったのもこういう店に入るため……とか?


 ううん、それよりも呼び止めないと。


「待ってください!」


「……え、なんでフィリアさんがここに?」


「それは……いいじゃないですか!このお店、入るんですか?」


「え、いや、……入ります」


 男の人って……やっぱりそうなんだ。この人もそういう目的で来たんだ。ならいっその事ゆ、誘惑……とかをすればもしかして。


 だ、だめ!神に仕える身としてそのような事をするのは……でも、目的の為なら。


「あらぁもしかして恋人さん?」


「こ、恋人!?違います!」


 なに、何を言っているの。私さっきから変なことも考えちゃうし、この場から逃げてしまいたい。


「照れちゃってかわいいわねぇ。もう2人とも入っちゃっえー」


 お姉さんに背中を押されて、無理やり店内へと入室させられる。


 え……、え?どうしてこんなことになってしまったのですか?


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