勇者アレン(須磨太郎)は異世界で最強チートハーレムを目指す(1)
「―――しゃよ……、勇者よ!目覚めるのだ!」
なんだ…この声?
誰の声だ?
俺は、確かトラックに……。
「あ、そうだよ!俺はトラックに轢かれて死んだんだ!」
「おぉ!?なんだ、いきなり大声を出すでない!ゴホンッ。勇者よ一体どうしたのだ?先程の倒れて頭を打った衝撃で記憶が混雑しておるのか?」
はて、目の前で偉そうな態度をしたこのオッサンは誰だ?
実は生きててこのオッサンに連れ込まれたとか。……いや、金持ちそうなオッサンだとしても俺はそういう趣味ねぇから!
正真正銘女の子大好きなんで。
なんて、おふざけはここまでだZE☆
「あのーすみません、ちょっと記憶がなくなっちゃって……ここってどこですかねぇ」
俺は可哀想な男を装って言った。
「うむ、ここは王城。そしてお主はこの世界を滅ぼそうとする魔王を討伐する使命を持った勇者なのだ」
な、なんだって!?魔王?勇者?
もしかしてここは異世界なのか!?
そして、俺は地球からこの世界を救うために異世界転移した勇者!
ふふふ…俺、須間太郎17歳はやはり選ばれた人間だったのだ!
学校で俺をオタクと馬鹿にし罵っていたモブ共、どうだ!異世界転生は存在した!
俺に嘘告をして笑いものにしてきた女共、どうだ!やはり俺は特別な人間だった!
あぁ決めたぞ、この世界の主人公として俺は成り上がる!
「はい!俺、魔王を討伐して、この世界を救います!」
そして目指すはハーレムだ!
◇
颯爽と王城を出て、次にすべきことはなにか。
力試しにそこらにいるであろうモンスターに挑んでみるか、それとも街の捜索でもしてみようか。
ずっと憧れてきた異世界を前に、好奇心が止まらない。
元の世界に生きていた時にこんなワクワクとしたことはあっただろうか?
いいやない。きっと俺の正しい居場所はあんな窮屈な世界では無かったのだ。
―――そうして、街を歩くこと数分して俺は1つの気になる建物の前を訪れていた。
その建物は、この街では王国に次いで大きく、辺りを見渡して目に入った時には既に俺の好奇心を掻き立てたのだ。
屋根の先端が尖っており、純白な彩りの壁面、入口の扉の前に置かれたなんか神々しい柱……これは絶対に教会だ!
アメリカンな外観、まさにヨーロッパ、いや、カトリック的なもうとにかく素晴らしくいい雰囲気だ!
勝手に入ってもいいのだろうか?
まぁいいだろ。ゲームの主人公は勝手に他人の家に入ってはそこを漁るんだから教会に入るくらいは許されるさ。
そうして、教会の扉に手をかける。
木で出来た扉を開き軋む音で昔聞いたASMR音源を思い出しながら、教会の内部で俺が目にした光景は………四方八方から差し込む光が神秘的に1つ銅像を照らす光景であった。
……多分、この銅像はこの世界のイエス・キリスト的な何かなのだろう。
それにしても教会内は広い。
ベンチ……?長椅子?がニーシーローヤー………16もある。いいよ、これぞ異世界って感じだ。
("ぎぃ"ぃぃ"ぃい")
教会の雰囲気にうっとりとしていると、背後から扉が開いた音が聞こえた。
まさか……教会の人が帰ってきたか?
────そして俺が背後を振り向くとそこには……黒衣を身に纏い、頭には黒い頭巾を被ったThe清楚系美少女シスターの姿があった。
頭巾からは前髪が少しはみ出しており、そこから茶髪であることが伺える。俺は思った。
めちゃ可愛い。
「ただいま戻りました……って、えっと…、どちら様でしょうか?どのようなご用事でこちらに……」
少女は、俺を目に入れるなりそんな言葉を呟く。
「あ、は…は、初めまして!お、俺はす、す、す、」
前世で異性と話すなんてことがなかった俺が絶世の美女を前に言葉が上手く出せないでいると、目の前の少女が不思議そうな顔で俺を見つめてくる。
ひっ、ひっ、ふぅ……落ち着け俺、素数を数えて落ち着くんだ。1、2、3、5、7、9!9は素数じゃない!
「あの、先程から汗が……もしかして体調が優れないのでしょうか」
み、みるなぁ!俺を見ないでくれぇ!とりあえずなんか言わないと。
「あ、いえ…そういう訳じゃなくて……えと、俺、勇者なんです!」
頭がこんがらがった末、出た言葉は自分が勇者、という自分が選ばれた存在であることを示す言葉。
やっちまった……やっちまったよ。勇者って言って直ぐに信じて貰えるわけが───
「え、勇者……?」
お、でもなんか、悪くない反応か?ここはいっちょ自己紹介でもしちゃうか?名前とか言っちゃう?須間太郎です!とか?
いや、ダサいな。ここはアレだ、偽名だ。
異世界と言ったら名前はカナカナだ。
ここはあえてカッコイイから『アレン』と名乗ろう。
「そう!俺は勇者アレン、勇者さ」(キラッ)
決まったな!
「えぇと……アレン様、ですね。ところでどのような件でこちらにいらっしゃたので?」
「え……」
「え?」
理由……?入りたかった、としか言い様がないのだが。
「その……えっと、あ、そう!魔王討伐のメンバーを探してたんだよ!なんかここら辺にいい人居ないかなぁ……なんて」
「あ…そうなのですね。はい、ですがここは『唯一神ゴッツ』様を信仰するための教会なので、そういった事には不向きかと…」
「あ、えっと…、あー、そうなんですね。すみません…いやぁ、なんか、場所間違えちゃったなぁ」
スンッ、スンッ、ヤバい、泣きそう。…うぅ、涙出てきた。
「あの…泣かないでください。一緒にお仲間になってくれそうな人を探すお手伝いならしますので」
「え…、優しっ……天使ですか?」
俺、この子のこと好きかも。
「天使だなんて恐れ多いです。…それでは、冒険者の方がよく集まる酒場へ案内しますので着いてきてください」
こんなに優しくしてくれるなんて、もしかしてこの子も俺に一目惚れをして?
あぁママン、俺……異世界でもやっていけそうだよ。




