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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第2章

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勇者様、抑えてください!

「むにゃ……ししょ〜には勝てないれすぅ〜」


 勇者の横で寝転がっているリウが、何やら寝言を呟いている。


 時刻は早朝、雪の森では常に空から雪が降っている。しかし時間帯によって色が変わり、朝の時間帯は特に明るい色の雪が降る。

 そんな明るい雪に照らされて、フィリは目が覚めた。


「……思い出した。勇者!」


 そして目が覚めるなり、フィリの今までに勇者と過ごしてきた記憶が蘇ってくる。


「そっか、勇者は……また」


 フィリは、胸を苦しそうにしながら勇者を見つめ、やがて何かを決心したかのようにすると、その手は眠ったままのマネとリウに伸び、2人を揺らす。


「あらフィリ、おはよう……」


「ふぇ……お師匠が分裂して〜、むにゃ?あ、フィリちゃん……起きるの早い……おはよ!」


 マネとリウが目を覚ます。


「ん、2人ともおはよ。あのね……2人に、相談したい事………あるの」


「あら、フィリが相談なんて……珍しいわね。それに顔色も悪い。ただ事じゃ無いみたいね」


「勇者について……私、思い出した。勇者のためにできること、したい」


 フィリから漂う雰囲気は切迫していた。

 すぐにでもやらないことがあるように。


「……詳しく、聞かせて貰えるかしら?」


「あの……ね。勇者は、呪われているの」


「お師匠が繰り返してるのが呪いのせいだ、ってこと?」


 フィリがこくりと頷く。


「勇者は、《《人と……神の呪いに縛られてる》》って、聞いた事がある。そのせいで、魔王とか、大魔王を倒しても同じ時を繰り返してしまう」


 ◇


「……おはよ。ね、何してるの?」


 つんつん、なでなで。

 そんな感触によって、勇者は目を覚ました。


「お師匠が寝てたから触ってました!」


「ん……、勇者がうなされてたから……撫でてた」


「うなされてた?悪夢見たからかなぁ」


「お師匠、悪い夢見たんですか?」


「うん、最悪な夢だった。気分が上がらない……」


 勇者は、げっそりとしている。


「勇者……ハグ、する?」


「する!」


 即答である。


「フィリちゃんだけずるい!私もギュー!」


 勇者は、充電した。


「―――うん、元気出た!……ところでさ、マネ居なくない?まさか帰った……?」


 勇者は、その場にマネが居ないことを、疑問に思う。


「マネさんですか?えと……」


 リウは、言葉を詰まらせている。


「マネは、頑張って考えてる……よ」


「考えてる?」


 フィリから出た言葉に勇者は首を捻る。


「うん、勇者の呪いについて……」


「そうです!フィリちゃんの言うように、マネさんはすっごく考えるんです!」


「……うーん、俺ってば愛されてるなぁ。というかあれ、俺が呪われてる事って言った?」


「お師匠が呪われてる事はフィリちゃんから聞きました!」


「勇者、私……今までの事、思い出したから」


「あーそっかそっか!フィリが思い出した!……え、思い出したの?」


 勇者は、呆然としている。


「ん、朝起きたら……思い出したよ」


「マジすか?え……いや、これは……」


 勇者の顔は深刻そうだ。こうなることは予想できたはずなのに。


「あら、勇者様起きてたのね」


 勇者がフィリについて考えていると、先程まで外にいたであろうマネが戻ってきた。


「うん、マネおはよう」


「おはようございます。……ねぇ、勇者様あなたの呪いについてフィリから聞いたのだけど……1つ、思いついた事があるの」


「えー、なになに?」


 勇者は、ヘラヘラとしながら、マネに聞く。


「勇者様に、大魔王を抑えこんで欲しいの」


「……抑え込む?」


 マネの言葉に、勇者は首を傾げる。


「そう、何回も繰り返した勇者様ならきっと出来るでしょう?完全に大魔王の力を抑えることも」


 勇者は、マネの提案に感心したような顔をして口を開く。


「ほー!俺の力を信じた前提の作戦!……でも、うん……まぁ出来るよ。大魔王の力を抑えることは」


「なら、勇者はそれをすれば繰り返さない……よね?呪いは魔王と、大魔王が完全に無力化されれば発動しないって勇者がいった」


 勇者はニッコリする。


「うん!だから今から作戦通りにすれば大魔王倒して繰り返すことは無いよ。じゃあ善は急げ……魔王城、行こうか」


 勇者はそう言うと、魔法を使う。そして……次の瞬間には3人は魔王城へと移動していた。


「ここが魔王城ですか。大きいですねお師匠!」


「ねー。本当に大きいんだよ。無駄に大きい」


「……それにしても結局魔王城まで私ついて来ちゃったのね」


「あ、ごめん」


 勇者は深く頭を下げた。


「それじゃあ……勇者、今度こそ終わらせよう?」


「うん、そうだね。終わらせようか」


 そうして勇者達が話していると、すごくすごそうな気配をもつ者が近づいてきた。


「何故人間ごときが私の城に!」


 ▶魔王が現れた


「……普通の魔王に用はないよ」


 ▶フィリの攻撃

 メラ、下級かきゅう火球かきゅう魔法で魔王は消滅した


「よし勝った!じゃあ本命の所にいこっか!」


 勇者は、改めて床に穴を開け、落ちる


「……うーん、相変わらず深い。実際に落ちる方が迫力もあるなぁ」


 勇者は夢の中での事を思い出した。


「お師匠!底が見えません!」


「ねぇ勇者様?普通に大魔王の所に飛ぶことは出来なかったのかしら?普通に怖いのだけど」


「……ごめんうっかり!」


 ▶勇者の空中土下座

 特に意味は無い


「大丈夫、いざとなったら……回復する」


 そんな、呑気な会話を交わしながら勇者達は墜落した。


「よーし、到着」


「落ちるの楽しかったです!」


「マネ、……大丈夫?」


「心臓に良くないわ」


 マネの身体はフィリによって支えられている。


 淡々とする勇者、テンションが高いリウ、顔の青ざめたマネを慰めるフィリがルシフェルのいる場所へと到達する。

 そこは、暗い。


 ▶勇者のフラッシュ

 場を照らした


「おいルシフェル来たぞ!」


 そんな勇者の言葉がその場に反響する。

 そして―――


「あぁ勇者。ちゃんと挨拶するのは久しぶりだね……いつもはすぐ殺してくるのに。何かまた気になったとがあった?それか心変わりでも……ってソレ、また我慢出来なくなったのかな?」


 勇者の問いかけに答えるように、気だるげな低い声を返すのは身長は優に2mを超えるであろう灰色の男だ。開眼された目は赤く、生やした角は禍々しくかがやいている。


「……」


 勇者の答えは沈黙だ。


「ふふ、君は相変わらず沈黙が好きだね」


 ルシフェルは、勇者に笑いかける。


「……勇者様、何だか仲良さそうね?」


「まぁ、繰り返してると色々あるので……そんなことよりもほら、抑えるよ」


「え、なに?結局今回も僕は死ぬのかな?」


「いや、残念ながら殺しはしない」


「残念ってなにさ、君はそんなにも僕を殺したいの?」


 勇者の目は本当に残念そうだ。


「どーですかね。ただ今非常にお前が憎くてね。はい、じゃあ力抑えるんで、ルシフェル、そこ動くなよ?」


「はいはーい!」


 勇者の命令を、ルシフェルは嬉しそうに受け入れ、その場で静止する。


「……悠久の時を得てこいつの時を止めろ!」


 勇者がそんな言葉を口にすると、みるみる内にルシフェルの姿は小さくなる。

 最終的なその姿は小さく可愛い子供だ。


「ふふ、わざわざ変な言葉を加えるなんて……カッコつけたかったのかな?」


 小さくなったルシフェル―――ちびフェルはクスクスと笑う。


「……いいだろ!カッコつけてさ!で、えーと……俺の力も封印します!はいぜつ!これで俺も、ルシフェルも完全に無力化!スッライムにも勝てなくなりました!」


「……あら、勇者様も力を封印するの?」


「あーうん、まぁ……俺も世界に認識されな

 い方が確実に呪いから逃れられると思うし。まぁ何はともあれ、これで目的は達成!死ぬまでみんなと居られます!」


「……勇者、それはほんと?」


 フィリはまだ少し疑っているらしい。


「ほんと!」


「じゃあこれでお師匠とずっと旅出来るんですね!」


「そうだね」


「……ところで勇者様、その大魔王さんはどうするのかしら?」


 マネは、ちょこんと勇者の隣に立つちびフェルを見ながら言う。


「まぁ、心底嫌だけど連れてく。なんかの拍子で死んだら困るし」


「えー!なになに、そんなこと言って一緒にいたいだけなんじゃないの?」


「黙れ。あぁ、ちなみにこれで俺ら何も出来ないので、マネさん、リウさん、フィリさんに守って欲しいんですよ。……ルシフェルが生きてるから魔物の暴走とかは止まってないし」


 ちびフェルの煽りを一言で片付け、勇者は自分が守られる側になることに対して項垂れながら言う。


「……あら、珍しく勇者様が弱気ね」


「私!お師匠守ります!」


「うん……今度は、私達が守るよ」


 3人の言葉はとても頼もしい。実力も大半の暴走した魔物なら敵ではないだろう。


「うー、ありがと!いい仲間を持った!」


「……ねぇ勇者ー、その仲間に僕は含まれるの?」


 そう言いながらちびフェルは勇者に引っ付く。


「含まれない!離れろ!」


「えー?本当に君は冷たいなぁ」


「……」(ひょい)


 フィリが、勇者からちびフェルを無言で遠ざける。


「あーん、抵抗出来ないよォ」


「……マネ、ルシフェル(これ)……お願いしていい?」


「まぁ、いいわよ」


 ▶マネの見えざる手

 ルシフェルが持ち上げられた


「さぁ、それじゃあ魔王討伐の旅改め、普通の旅を始めようか」


 こうして、新たにちびフェルを連れて、勇者達の旅はまだまだ続く。


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