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勇者様は抑えられない!〜世界を救う勇者は好きに生きる〜  作者: ゆずリンゴ
第2章

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貴方は頑張っている(2)

それから、武具を揃えて、魔物を倒して、道を進む。 魔王のいる城を目指して。


 道中の魔物は強くなって、途中にあるシュウバンの街でボブとサンを足したような力を持った自分を真魔獣しんまじゅうとか名乗る魔物と戦ったりして、そしてついに魔王城に最も近くて、最も危険な街である尾張おわりの街に着いた。


 きっと明日、魔王との決戦になるだろう。

 それでもし、奇跡が起こって全てを終えることが出来たらその時は……。


「いやぁ長い道だったなあ……もうすぐこの旅も終わりかぁ」


 ビルさんが、紫色の空を眺めながらそんなことを言っている。


「少年……いや、勇者。明日が俺達にとって別れの日になる」


「ん?別れの日?」


「ビル、お前も聞いただろう?勇者の話を聞く限り、俺達では魔王には勝てないのは明白だ。悲しいことにな」


「お、おい!そんな辛気臭い言うなって!」


「……」


「なぁ勇者様も黙らないで何か言ってやってくれよ!」


「第一に、俺たちと勇者の間にすら大きな壁がある。何度も繰り返したものとそうでないものにあって当然の、大きなものが。残る一体の四天王もいて復活した魔王、なにより大魔王という完全に未知なる存在がいるのだ」


 ソルドさんの言うことは正しい。きっと、今回も勝つことは出来ない。


 2年というタイムリミットで、最低でもあのメランに適う実力は得るなんてそんなのは、不可能なのだから。


 もし仮に、魔王に、そして大魔王に勝つ時が来たら、きっとその時は隣に誰もいない。僕一人で挑む事になる。


「いえ、ソルドさんの言う通りきっと、死ぬことになります。だから僕は何回も、何十回も繰り返します。そしていつか、この世界に平和を取り戻します」


「なんでだよ!なんでそんな強いんだよ……。勇者様はまだ俺よりも小さな子供だ!なのになんでそんな。こんな世界、おかしいだろ!」


「……僕は、弱いですよ。ソルドさんとフィリ、ビルさんがここに居るのは本当はいけないこと。魔王に絶対勝てないって分かった上で、皆を巻き込んで旅をしているのは僕が弱いからなんです。なんなら、明日だって僕1人が行くべきで―――」


「ちがう、勇者は弱くないよ。それに、1人でなんて……言わないで。どうせ……世界が終わるなら、私は勇者と死にたい」


「フィリ……」


「……あぁ、同感だ。俺たちはお前の力にはなれない、だがお前の使命を一緒に背負うことだけは出来る。だから勇者、俺は何度でもお前について行くだろう。たとえ、自分が死ぬことをわかった上でな」


「ソルドさん……」


「お前らがそう言うなら俺だって背負うぞ!んで、勇者様が繰り返す度に遺跡の案内して!勇者様が世界を救うその日まで何回でも一緒に死んでやる!」


「ビルさん……」


「ありがとございます……ありがとう、ございます」


 温かい。今はただ、このメンバーの存在が僕の心の支えになっているんだ。


「勇者。もしいつか……魔王を倒したら、その時は」


 フィリの瞳が僕を真っ直ぐに見つめている。

 だから僕はそれに応える。


「うん、絶対に伝えるよ」


 ―――魔王城―――


「……よく来たナ、我こそは四天王最強のメラン」


 ▶追憶のメランが現れた


 魔王城に入るなり、迎えか。


「貴様らが、魔王様と立ち会うことは出来なイ。なぜならここで死ぬのだから―――」


 ▶メランの攻撃

 炎黒剣えんこくけん

 黒い炎を纏った斬撃が勇者を襲う


 ▶勇者の攻撃

 水神斬すいじんざん

 水の加護を纏った聖剣一撃で炎黒剣を相殺する


 見た事の無い技だ。

 だけど……雪の森で見た技よりも弱い。


「少しはやるようだナ。……城が燃えぬように戦う相手にしては厄介な様だ。どれ、弱いものから先に終わらせるか」


「おっと!俺達を舐めるなよぉ?」


 ▶ビルのビリビリトラップ

 メランの動きが少し鈍った


「私が……勇者を、守る」


 ▶フィリの攻撃

 激しい水流がメランを呑み込む

 メランの炎が弱まる


「……面倒くさいな」


 ▶ソルドの攻撃

 風雷一閃ふうらいいっせん、風龍を彷彿とさせるような暴風と雷を纏った斬撃

 メランに傷がついた


 いける!追い討ちをかけろ。


 ▶勇者の攻撃

 メランの炎はかなり弱まっている


「これで終わりだ!」


 ▶勇者の攻撃

 激流斬げきりゅうざん水を纏った激しい攻撃は、メランの炎を消した


「燃えるゴミ共に……負けるなんテ」


 メランに勝った!?勝った!……?なんだ、身体が震える。恐ろしい何かが、やってくる。


「―――メランの火を消したか。だが、私を倒さねば意味は無い」


 ▶邪悪な気配が強くなった


 誰だ……。まさか、魔王。


「……メラン、《《眠る大魔王様》》の邪魔にならぬよう力を我慢させてしまったが為にこのようになったか。……侮っていた。メラン私が来た、復活せよ」


「……魔王様、ありがとうございまス」


 ▶魔王が現れた

 ▶メランが邪悪な気配に当てられて力を取り戻した


 は……冗談じゃない。やっと倒せたと思ったらメランが簡単に?


 あのメランなんかが霞んで見えるくらいに……魔王(こいつ)、強いじゃないか。


「……む、お前は見たことあるぞ。忌々しい人間と共に居た剣士だな」


「なぜ、貴様はあの時に……桁違いに強くなって復活を遂げたというのか」


 え、こいつ過去にソルドさんが戦った魔王なのか?どういうことなんだ。


「お前は特別に苦しませて殺してやろう」


 怖い、違う!底知れぬ殺意に怯むな!


 ▶勇者の攻撃

 閃光の一閃、魔王に相反する力

 魔王に少しダメージを与えた


「……痛いな。明らかにお前だけ力がある。新しい勇者のようだが会って早々、お別れだな」


「だめ!終わらせない」


 ▶フィリの攻撃

 聖なる光(ホーリー)、しかし魔王の闇には届かない

 ▶ソルドの一撃

 しかし魔王は気にしていない

 ▶ビルのビリビリトラップ

 しかし魔王は気にしていない


 ▶魔王の攻撃

 闇が勇者を包む

 しかし勇者は堪えた


 まだ、抗える。まだ、負けない。


 ▶勇者は聖剣を魔王に突き立てた

 ▶魔王に大きなダメージ


「聖剣……!前の私なら死んでいたぞ!この剣は消さなければなぁ!メランよやれ!」


 なっ、聖剣に炎を……。


 メランの攻撃

 焔が聖剣を呑もうとする

 ▶しかし聖剣は燃えない


「私と違って相反することのないメランの力でも消えないとは。やはり大魔王様でなければ消せぬのか」


 悠長に話やている。舐められている。


「この!」


 ▶勇者は聖剣を再度突き立てようとする

 しかし、魔王の闇魔法に弾き飛ばされた


「哀れ……今となっては勇者もこの程度。仲間諸共、消し炭にしてやろう」


 また、やり直し、次はこの壁を……超えるのか。あまりにも、遠い。


 ▶魔王の攻撃

 闇が全てを包み込む

 勇者達は、消えた


 ◇


「―――勇者よ!ソナタに魔王討伐の使命を与える!」

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