終わらない(1)
―――また、戻った?……生きてる。
僕はまだ、生きてる。
3度目だ。王様の目の前にこうしているのは。
「勇者よ―――」
「行きますよ、魔王討伐の旅」
再度街をでる。街を出て、どうする?
ソルドさんを連れていくのか?だけどソルドさんがどこに居るのかなんて分かるか?
いや、分からない。
なら今回こそは1人で行こう。
もう……犠牲は出さない。出せない
1人で行けば僕が死ぬだけで済む。死んでも生き返れるなら何度だって何度だってやってやる。孤独でもいい。皆の為だ。自分の寂しさの為に他を巻き込むな。抑えろ。
弱い魔物は素手でも殺せる。とにかく行け。
早く、少しでも早く、たとえ勝てなくてもいい。勝てなくてもいいから……勝てなかったら次に行けばいいんだ。
◇
「バーニバニバニ」
「クスクスクス」
ヨーには、もう負けない。
(ドォーン!!)
「魔王四天王、物理のサン参上!」
「なっ、どうしてここに四天王が!」
「シールドさん、ここは共闘をしましょう」
「そうだな少年!」
「鍛え抜かれたその肉体……正に至高の領域だ!お前も魔族にならないか?」
「愚問!」
▶シールドの攻撃
サンに大ダメージ
▶勇者の行動
サンにダメージ、サンの耐久が下がった
「2人とも魔物になれぇ!」
大丈夫だ。力を解放される前に倒せばいける。
「シールドさん、合わせてください」
「あぁ!」
▶勇者の攻撃
シールドに攻撃をした
▶シールドの反射
勇者の攻撃をシールドが倍にしてサンに放った
「ぐっ!だが耐えるぞぉ!うぉぉぉー」
「耐えさせない!畳み掛ける!」
「魔物に慈悲はやらんぞ」
▶勇者の攻撃
▶シールドの攻撃
「グハッ……本当に……人間にしておくのが……惜し……い」
▶サンは消滅した
「やったな少年!」
「やりましたね」
勝てた、犠牲を出さずに勝てた。
大丈夫だ。いける。
「どうだ少年、1試合」
シールドさんは、ソルドさんに勝った程の実力がある。
きっと強いけど、もう負けない。
「お願いします」
「あぁ!よろしく頼む!」
▶勇者はシールドとの激戦の末、勝利を掴み取った。
「強いな少年……」
「シールドさんも強いですよ」
でも僕はこれで3回目なんだ……。3回目だから勝てた。それだけなんだ。
「途中でアクシデントもあった試合もこれで全てが終わりました!そして優勝者にはこれが与えられるぅ!」
(ガラガラガラ)
フィリ……連れいくべきなのか?巻き込んでいいのか?
いや、勝ったのは僕なんだから責任があるしフィリは連れていこう。
これは1人が寂しいとかじゃなくて、フィリを守るためでもあるし、救うためでもあるんだ。
…………。
▶フィリが仲間になった
次はファイターストリート。
「パンッパン―――」
大丈夫。1人で勝てた。
「―――先程の技……感服しました!すごいんですね!」
……リウさんだ。
「もしかして旅のお方ですか?」
「えっと、勇者です」
「勇者様!良ければ私も旅に連れて行ってかれませんか?」
「……え?」
「あぁ、すみません!私なんかじゃダメですよね……だけど、私も憧れの勇者様の力になりたいんです!」
おかしい。前回はこんなことにはならなかったぞ?
「いや、あの……お父さんの代わりに街を守ってるんじゃ」
「え?私が父の代わりに?」
「違うんですか」
「違いますよ!父は私よりもずっと強くってこの街を守ってるんですから!」
……何かが変わった?
今回は早く来たから?
よく考えれば色々おかしい。
全部おかしいぞ。
ヨーのタイミング、闘技場のタイミング、そして今回、そのどれもが前回よりも早く起こっている。僕は間違いなく早いスピードで動いてるのに 。
……もし、僕が事件の発生源になっているのか?だとしたら意味は分からないけど説明はつく。
だとしたら僕は……イナイホウガイイ?
「あれ、勇者様どうしたんですか?顔色が悪いですよ?」
「すみません……少し……」
僕が居なければ……何も起こらないんじゃないか?
(ギュッ)
「フィリ……?」
……フィリが心配そうに見ている。
駄目だよな。変な事を考えている暇なんてないんだから。
「勇者様よければ家に泊まっていきませんか」
「……でも」
うっ、フィリの心配そうな瞳が痛い。
「じゃあ……お言葉に甘えさせてもらいます」
「勇者様が家に泊まってくれるなんて!やったぁー」
▶勇者一行はリウの家に行った。
「どうぞ!これ!」
「……美味しそうだ」
家に向かうとリウさんに料理を振る舞われた。リウさんのお父さんは仕事中のため家にはいない。
……これ、何のお肉かは分からないけど凄く美味しい。スパイスの旨みがお肉を引き立てて料理を食べる手が止まらない。
「ふふ、そんなに美味しいですか?」
「はい!すごく」
「良かったです」
「あの、ちなみに巨大パンダについてなんですけど……」
「巨大パンダ……あの魔物ですか?」
「はい、前にも村に出たとか……聞いたんですけど」
「あぁ、確か20年程前に出たと聞いています!その時の勇者御一行様が討伐したんですよね。実はお父さんがその時の1人に巨大パンダの爪を使って武器を作ったんですよ」
リウさんが自慢げに語っている。
……20年前、爪を使って武器をそれってもしかして、ソルドさんのことだろうか。
しかしなんだこの変化。今回はリウのさんのお父さんが怪我をする前に到着したとか?
だから未来が変わった……でもヨーとかはタイミング関係ないし。
でも巨大パンダに襲われたのは前回と一緒。……タイミングで変わる未来とそうでないものがある?
とりあえず言えるのは到着するタイミングが早まったことでお父さんが怪我をしなかった。だから代わりに街を守る必要が無くなって旅について来れるようになった……か。
「―――帰ったぞぉ」
「あ、お父さんおかえり!」
あ、帰ってきたらしい。筋肉隆々の見るからに強そうな人だ。
「む?男!?まさかリウの……」
「待って!勇者様だよ勇者様!」
「勇者様だって!?それはそれは……勇者様が代替わりしていたとは。こんな所でよければゆっくりとして言ってください」
「ありがとうございます」
僕の前にも勇者はいたんだもんね。
どんな人なのかな、ソルドさんなら知ってるんだろうけど……。
今更ながらソルドさんってすごい人だったんだな。
▶就寝の時間になった
丁寧に、2人分の布団を敷いて貰った。
なんやかんや疲れが溜まっていたこともあって僕もフィリも布団に転がる。
今回に入って、初めてまともに休んだ気がする……。
そういえばソルドさんに前回言われたな……ちゃんと仲間を見ろって。
休みは必要か。結局僕は中途半端なのかもしれない。
仲間をつくらないといった。……でも結局は寂しくて。
孤独でもいいだなんて嘘だ。生き返れるなら何度だってやるって言うのも……。
本当はもう死にたくないし、仲間と一緒にいたい。皆と楽しく……ただ普通に生きたいよ。
エーさん達と一緒に居たかった。
ソルドさんは心強くて……また一緒に旅をしたい。
結局僕は、抑えられない。自分を抑えられないんだ。
あれ、おかしいな……涙が。
……あと何回僕は死ぬのかな。死にたくないなぁ……もう、逃げたいなぁ。
(ポンポン)
「フィリ……?」
隣にいるフィリに肩を叩かれそちらに視線を向ける。
「どうしたのフィリ……わっ―――」
え、フィリに抱き寄せられ……顔が目の前に、目が合って。
「……」
そんな状況に何を言うことも出来ずに居ると、目から零れていた涙をフィリがすくい取って……あぁ、泣いていたのがバレていたのか。
「……ねぇフィリ、実は僕―――」
なぜかは分からないけど、話してしまった。自分がもう2度死んでいることを。
前回もフィリと一緒に居たこと、助けられなかったこと、そして―――もう辛いことを。
◇
昨夜……言っちゃったなぁ色々。
抑えられなかったぁ。
もう駄目だ…恥ずかしい。あ、フィリが起きた。
「おはようフィリ」
僕の言葉に対して、フィリは頭を撫でて……。
「いや、もう泣いてないから大丈夫だよ。
フィリのおかげで元気でたからさ!」
……うわぁー。顔赤くなってないか心配だ。
「―――あれぇ、勇者様もう起きてたんですかぁ?」
「あぁ、おはようございますリウさん」
「もしかして、もう旅にでてしまうのですか?」
もう旅に出るか、どうしようかな。
フィリが心配したような顔でこっちをみている。もう旅に出たくないみたいなこと言ったからかな……でも。
「大丈夫だよフィリ、旅は続ける。目的があるから」
そう、今回こそはエリクサーを手に入れてフィリの呪いを解く。
「ところで勇者様、旅について行く件なんですが……」
「あ、えっと……」
そういえば言ってたな……でも、断るべきだ。正直、言いたくないけどまだ勝てない奴がいる。
最後の四天王……多分まだ勝てない。
となると魔王にも勝てないだろう。
そんな死ぬことが前提の旅に、リウさんを連れてはいけない。
「すみません……その、代わりにお父さんと一緒に街を守ってあげてください」
「勇者様が言うのなら。力になれないのは残念ですが頑張ってくださいね」
▶勇者一行はストリートファイターを後にした




