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世界を照らす光援者!  作者: 中村ユウト


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7.希望の光援者召喚ガチャ

「ママありがとう。マサト、これが絵本の内容についてだ」

「おい、待ってくれよ……。希望の光援者召喚計画って……」


 冷たい嫌な予感が背筋を駆け上がる。


「ダッハッハ! お前も、もう察しているみたいだな」


 俺の固まっている様子を見て、いつもの調子で笑うアレガルト。


「希望の光援者召喚計画。それは、この世界を救う最後の希望。これには世界を巻き込み、気が遠くなるほどの長い年月と、数え切れぬほどの多くの労力を費やした……。だが、ついに今日! その計画がやっと実行されたんだ……」

「それじゃあ俺は……」


 この後、なにを言われるのかはわかっていた。でも、口にされるのが怖かった。言葉にされた瞬間、それは覆しようのない現実になってしまうから。


「マサト……。お前は俺様たちの計画によって召喚されたんだ。希望の光援者になってこの世界を救うためにな」

「…………え?」


 ————————————————。


「…………え?」

「いや、なんでお前が困惑してんだよ」


 なぜかアレガルトは、怪訝そうな顔で首を傾げている。

 なんだその顔は。ムカつくな。


「いや、理解できなかったのかなーって思って?」

「理解した上での反応だよ。え、なに? 俺が希望の光援者になって世界を救う? 何バカなことを言ってんだ?」

「バカなことなんて言ってないぞ」

「ああ。私たちは至って真剣だ」


 即答する2人。その表情に冗談の色は一切ない。それが、余計に俺の頭をぐちゃぐちゃにする。

 うわぁ、マジだこの人たち。1ミリもふざけていない。


「ちょっと、一回整理させてくれ。要は世界がピンチだから、異世界から強い人間を召喚して、救って貰おうって計画だろ? それはわかる」


 俺は胸の中で暴れている焦りを押し込み、できるだけ落ち着いて要点をまとめる。


「でも、そこで疑問が一つ生じる。なんで俺なんかを召喚したんだ? もっと他にいい奴がいたはずだろ」


 俺は2人を射抜くように見つめた。

 異世界から救世主を呼び寄せるんだろ? それなのに、なんで俺みたいな普通の高校生を選んだんだ? もっと適した人材がいたはずだ。


「マサトを召喚した理由か……」


 アレガルトは顎に手を当て、少し考え込むように視線を上に向けた。


「……それはな、正直に言うと俺様たちにもわからねーんだわ」

「はい?」


 予想外の答えに、思考が一瞬停止した。


「いいか? 異世界から人間を召喚するには、異世界召喚魔法が必要だ。だがな、それには非常に高度な技術を要する。残念ながら、この世界の叡智を集結させても、適当な人間を召喚するだけで精一杯だ。特定の人物を召喚させるなど不可能に近い」

「……つまり、完全にランダムってことか?」

「そういうことだ。それでも、時間のない俺様たちは大博打に出るしかなかった!」


 アレガルトの声に熱がこもる。


「それはまさしく、希望の光援者召喚ガチャ。俺様たちが狙ったのは、もちろん星5のSSR。魔法を自在に操る、勇敢で最強の人間。排出率わずか数パーセント……。それでも、奇跡の大当たりが出ることを願って、ガチャを回した結果! ……お前が召喚されたんだ!」

「ガチャ外してるじゃん! 俺なんて魔法も使えない臆病な人間だぞ!」

「えっ、お前魔法使えないの!? 星0のクソゴミじゃねーかよ! クソが!」


 悲痛な叫び声を上げるアレガルト。そのブチギレている姿は、ソシャゲで目当てのキャラが出なかった廃課金者そのものだ。

 なんで俺に怒ってんだよ。引きが悪かった、そっちの運の問題だろ。てか、異世界にもガチャの概念があるのにビックリなんだが。


「じゃあなに? 俺はたまたま運悪く、お前らのくだらない計画に巻き込まれて、この世界に召喚されたってことか?」

「まあ、そういうことになるな」

「なんだよそれ……。そんなことがありえるのかよ……」


 俺がなにをしたっていうんだよ。

 その理不尽さに、だんだんと腹の底から怒りが込み上げてきた。


「はぁ、もういい。これ以上、お前らの身勝手な話に付き合ってられるか! 俺に世界を救うことはできない。だから元の世界に戻してくれ!」

「元の世界に戻すか……。俺様だって、お前みたいなポンコツ今すぐ返品してやりたいさ。でもな、異世界召喚魔法は莫大な魔力を必要とする。溜めていた魔力は、お前を召喚させる際にすべて消費してしまって空っぽだ」

「はぁ? それってもしかして……」

「……お前は、元の世界に帰ることができない」


 突然の宣告。

 全身の血液が沸騰し、頭の中でなにかが弾ける音がした。


「……ふ、ふざけるな! 俺の人生どうしてくれんだ! 召喚するだけしといて、元の世界には帰れません? そんなの、あんまりじゃねえか!」

「……うっ、……うっ、……うぅあああああああああぁぁん!」


 急に声を上げて号泣し始めたアレガルト。


「俺様たちだって、この計画に命を懸けてたんだ。それなのに、いざ召喚してみりゃ魔法も使えねぇ、ちんちくりんのクソガキ。こっちの身にもなってくれよ。……そもそも、召喚されたお前が一番悪いんじゃないのか?」

「……ロネッカ。早くこいつ殺してくれないか?」


 ロネッカ。今こそこいつを暗殺するときだ。俺の理性が保たれているうちに頼む。

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