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世界を照らす光援者!  作者: 中村ユウト


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5/7

5.光援者ってなに?

「ダッハッハ! 冗談だよ、冗談! そんな顔すんなって!」


 俺をからかうように笑うアレガルト。

 いや、子どもの前でする冗談じゃねーだろ。

 俺は内心で深い溜息を吐きつつ、話題を変えることにした。


「ところで、さっきから気になっていたんだけど、二人の職業はなんなんだ? 特徴的な格好をしているけど」


 改めて二人の姿を観察する。荒々しい獣の毛皮を纏ったアレガルト。清潔感ある受付嬢のような見た目のロネッカ。どう見ても一般人には見えない。


「お、よく聞いてくれたな! やっぱり気になるよなぁ!」


 待っていましたと言わんばかりに、アレガルトが身を乗り出した。


「俺様たちの職業。それは世界の平和を守るという使命を背負いしもの……」


 もったいぶるように一度言葉を区切るアレガルト。一呼吸置くと、決め台詞のように言い放った。


「その名も——『光援者』だ!」

「…………光援者?」


 初めて聞く言葉に首を傾げる。男は「決まったぜ!」というドヤ顔を見せているが、こちらにはなにも伝わってきていない。


「そうだな。言い換えれば、勇者やヒーローのようなものだ」


 俺の戸惑いを察したのか、ロネッカがわかりやすく補足してくれた。そのおかげで、ようやく脳内にイメージが湧いてきた。

 なるほど。要するに、この世界における正義の味方ってことか。


「人々に『援』助の手を差し伸べる『光』のように輝く存在。それが光援者なんだ」

「へー、そんな職業があるのか。二人は光援者だったんだな」


 俺は素直に感心していた。

 完全にファンタジーの世界だ。異世界に来たという実感が、また一段と強くなる。


「……だがマサト。伝えておかなければならないことがある。俺様たちは、ただの光援者ではないんだ」

「ん? どういうことだ?」

「実はな、俺様は光援者に関する全権力を握っているんだ。つまり、すべての光援者の頂点に君臨する人間。……そう、最高光援者だ!」

「うそでしょ!? お前がトップなの!?」


 驚きのあまり声が跳ね上がる。


「ダッハッハ! 目の前に本物の最高光援者がいるんだ。そりゃ驚くよなぁ!」

「ちげーよ。こんなノンデリがトップなことに驚いてんだよ」


 何自惚れてんだ、このオッサン。

 こんなやつが組織のリーダーとか終わってんだろ。誰がこんな奴についていくんだよ。


「そして私は、そんなパパをサポートする補佐を務めている」


 横からロネッカが、淡々とした口調で言葉を添えた。


「あっ、そうだったのか。二人はそういう関係でもあるんだな」


 夫婦でもあり、リーダーと補佐の関係でもある。お互いに支え合っているわけか。


「でも、よかったよ。ロネッカみたいな真面目な人が補佐で」

「真面目だなんてとんでもない。だって私の裏の顔は、パパの命を狙う暗殺者なんだからな」

「うそでしょ!? あんた暗殺者なの!?」


 声が裏返る。裏返るに決まっている。

 なんか、とんでもない爆弾発言でたぞ!


「パパを暗殺し、最高光援者になる……。それが私の夢なんだ」


 ロネッカはどこか陶酔した瞳で、ポエムのように語っている。

 やばい! 急にロネッカが怖くなってきた! もしかして、アレガルトよりやばい奴か?


「だからって殺しはダメだろ……。てか、暗殺者だって普通に喋っちゃってるけどいいのか?」

「はっ、しまった! つい口を滑らせてしまった!」

「いや、ドジってレベルじゃねーだろ……」


 咄嗟に口元を両手で押さえるロネッカ。どう考えても手遅れだが。

 想像以上のドジだな……。暗殺者が自分から正体をバラすとか聞いたことねーよ。


「ママが暗殺者……?」


 アレガルトが、ギチギチと音をたてるかのように首を動かす。

 やはり聞かれていたか……。ロネッカの顔から血の気が引いていく。口を覆う手も、小刻みに震えている。

 部屋に緊張が走る。一体、どうなってしまうんだ……。


「ダッハッハ! こんなドジな人間が、暗殺者になれる訳ねーだろ!」

「やっぱりママにもノンデリだった!」


 こいつ、全然本気にしてないわ。……まあ、いきなり暗殺者だって言われても信じられないか。

 でも、ママにもノンデリを突き通すんだな。しっかり筋が通っていて、逆に清々しい気分だわ。

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