第1話 最悪の出会い
橋本涼太
高校1年生。見るからに普通な主人公。
日村明里
高校1年生。根暗なヒロイン。
北村秀介
高校1年生。涼太とは中学からの付き合い。
ジリリリリリ!!
けたたましく鳴り響くアラームの音に、俺は目を覚ました。今日もまた、平凡な一日が始まる―。
「出席取るぞー、席に着けー」
「青木、池田、上村………橋本」
「はい」
俺は橋本涼太、四月から春山高校に通い始めた高校一年生。勉強も運動もそこそこで、自分で言うのもなんだが、これといった特徴もない普通の男子高校生だ。
「よし、全員いるな。今日はLHRで席替えをするから、それまでに机の荷物は片付けておくように。では、解散」
そういえば今日は席替えか。まあ、どこの席になっても俺はあまり変わらないんだが…。
「涼太、隣になりたい女子とかいねーの?」
ニヤニヤと俺に語りかけるのは、北村秀介。こいつとは中学からの付き合いだ。
「いねーよ。そういう秀介はどうなんだ?自分はいるから俺に聞いてきたのか?」
そういうと秀介は、妙にキリッとした表情を浮かべた。
「そりゃまあ、クラスNO.1美女の白雪さんと隣になれたら最高だよなぁ」
「そんなとこだろうと思ったよ。いつか痛い目見るからな」
「へいへーい」
白雪真弓―確かに彼女は美しい。クラスどころか恐らく学年トップレベルの美女だ。だがそんな人と隣の席になってしまったら、俺はむしろ息苦しさを感じてしまうだろう。普通な俺は、普通な人と一緒にいたい…。
「全員引いたかー?じゃあ移動しろー」
俺の隣は…日村さんか。話したことはないが、見た感じ、落ち着いたイメージだし安心だろう。
「日村さん、だよね?隣よろしく。」
「………」
あれ…?俺は今、無視をされたのか?日村さんとはこれが初めての会話のはずなんだが、俺何か悪いことしたっけな…。
「あの、気分でも悪い…?」
しまった。今無視をされたばかりなのに、気になっていつの間にか聞いていた。
「…す、すみませんっ―」
そう言うと彼女は、教室を飛び出し、どこかへ逃げてしまった。まずい。クラス中の視線が俺の方を向いている。
LHRが終わると、真っ先に秀介が俺の元へ来た。
「涼太お前、日村さんと何かあったのかー?話しかけただけで逃げられるって、よっぽど怖がってるだろ」
深刻な俺をよそに、秀介はまたニヤつきながら俺にそう言う。
「何かあったどころか、今まで一度も話したこと無かったのにいきなりあれだから悩んでるんだよ」
彼女―日村明里は、無口で、確かに少し暗いイメージはあるかもしれない。それでも、時々女子の友達と話しているところを見ることもあり、絶望的なほど陰気な人だというわけでは無かった。
「まあとりあえず、今はそっとしといた方がいいんじゃね?慎重になー」
「言われなくてもそうする」
しかし困った。望み通り普通な人と隣になったかと思いきや、こんなハプニングが待ち受けているとは…。
寺本かぽと申します。
初投稿です。
自分自身ラブコメが大好きなので、以前から興味のあった「自分で物語を創る」ということをやってみた所存です。
小説の作法など分からないことだらけですが暖かい目で読んでいただけると幸いです!