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【書籍重版】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第五章

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576.着替えたドレスは水色のふわふわ

 やっぱり……予想通り、卵やハムの欠片を付けた我が子を眺める。レオンもローズも、べたべたね。ローズなんてジャムの瓶に指を入れて、舐めていたもの。早めにお弁当作りを始めてよかったわ。


「お弁当は包装して、準備して頂戴。皆はお風呂に入って着替えよ」


「はい、奥様」


 私はお風呂はいらないけれど、着替えないといけないわ。王宮へ行くのに相応しい服装がある。もし、マルレーネ様が公爵邸に遊びに来る話なら、私服でもいいのだけれど……。この辺は他人の目があるから、状況に合わせて着替えるのは当然よ。


 ヘンリック様が次から次へと注文するから、服はたくさんあるの。先月はついに「多すぎるから服の発注は中止で」とお願いしたほどよ? クローゼットから溢れちゃうとぼやいたら、新しく部屋を作ればいいとか……金持ちの考えは理解できないわ。


「奥様のお弁当という表現にも、皆が慣れてしまいましたね」


 イルゼが手際よく包装しながら笑う。


「そうよね、最初の頃はつい口から出ちゃって、でも通じなかったわ」


 懐かしい。ほんの数か月前なのだけれど、凄く昔のことみたいに感じた。貴族が外で食事をするのは、お店がほとんど。まず屋外で食べることが少なかった。そこに加えて、準備して持っていく感覚が薄い。ピクニックに行っても、お菓子やお茶は用意するのに軽食はなかった。


 お茶会の文化が発展していて、スコーンやふんわりした焼き菓子が多いことも影響しているのね。あとは貴族らしい理由がもう一つ。毒による暗殺の危険があるから。外へ持ち出せば、途中で人の手が加わる可能性が高いんですって。


 この国はあまり暗殺はないと聞くけれど、表沙汰になっていない事件もありそう。屋敷で豪華で大量の食事をして、外ではスコーンで我慢。武士は食わねど高楊枝じゃないけれど、貴族はお腹が空いたと訴えない生き物らしいわ。その理論で行くと、シュミット伯爵家は貴族ではないのね。


「奥様も着替えていらしてください」


 イルゼとの雑談を切り上げ、促すリリーと私室へ戻る。急いで着替え、解いていた髪を軽く結って……髪飾りで留めた。明るい水色のドレスは、ふんわりとした形で若さを強調する。これ、私が着てていいの? 既婚者なのだけれど?


「奥様はお忘れかもしれませんが……まだ十分、お若いです」


 前世の記憶があるせいで、十年は勘違いしていた。そうよ、まだ二十代になったばかり……残りの人生のほうが長いし、十分若いお嬢さんで通る年齢だわ。


「つい、忘れちゃうのよ。三人の子育てに忙しいんですもの」


「わかりますが、年齢相応のドレスは今しか着れません」


 リリーに言い切られ、若いご令嬢のようなドレスでくるりと回る。これ、ヘンリック様が買ってくれたのかしら? なら、着ていくのに相応しい装いね。

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― 新着の感想 ―
国一番のお金持ちに嫁いでも良い意味で庶民な奥様(笑) お子様がたは外の常識とのバランスが身に付くまで皆をハラハラさせるのでしょうね。 ただ、お家で免疫が出来ていれば、成長した時の学友に下位貴族の「お…
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