47.(レオン)僕だけ見てくれて嬉しい
僕はお絵描きが好き。お母様がたくさん褒めてくれる。それに粘土も好き。こないだ猫を作ったらお父様が褒めて、欲しいと言ったの。だからあげた。なのに、お父様の仕事のお部屋になくて……夜のご飯の時に聞いたら、お城の仕事のお部屋にあるんだって。
るぅと遊ぶとき、お父様の仕事のお部屋に行くから、今度見せてもらおう。そう思っていたら、お母様がお城に行くのよ、と僕を誘った。一緒に行こうと言われるのは嬉しい! 準備をして、僕も籠をもって馬車に乗った。
籠の中には、食べ物が入っているの。お昼に食べるスコーンのジャムだよ。後はバターも! それから……これは何だろう? 白い布を引っ張っていたら、お母様が止めた。
「気を付けてね、レオン。それはジャムの瓶が割れないようにする布なの。なくなったら割れちゃうわ」
「ないない、すゆ」
白い布を押し込んだ。ろじぃは小さいからお留守番。お母様の隣に座って、二人で揺られる。顔を上げると、リリーがいた。マーサはろじぃとお家で待っている。お兄ちゃんらしく、足を揃えて座った。揺れる馬車の中で、籠が転がらないように膝へ置く。
「とっても上手だわ、私も真似をするわね」
お母様はそういうと、僕のより大きな籠をお膝に乗せた。でも……そこは僕の席なのに。籠に取られちゃった。むっとするけど、我慢だよ。僕は立派な騎士様になるんだから、大人じゃないとダメなの。
「おとちゃま、のおへぁ……いく?」
「ええ、レオンの作った猫を見ましょうね」
「うん!」
楽しみだな。足をぶらぶら揺らして、僕は窓の外を見た。馬車の窓は小さくて、お家のとは違う。だから外を見ると、いつも空しか見えなかった。今日の空は灰色、雲がいっぱいで青い部分が見えないの。毎日色が変わるけど、誰が絵を描いているんだろう。
首を傾げて尋ねたら、お母様が嬉しそうに笑った。
「素敵な考えね。誰が色を塗っているのかしら? 夕方になると赤くなるから、塗り替えも大変だわ」
本当だ! お母様はいろいろ凄い。いっぱい知ってて、知らない僕に教えてくれる。知らないことも、いろいろ考えてるんだよ。僕は、お母様がお母様でよかったと思うの。
馬車を下りて、迎えに来たお父様に飛びつく。ろじぃがいないから、僕だけを構ってくれた。小さな籠ごと、肩の上に座る。高いところから見ると、ベルントも小さくなった。お母様も、お城の人も、全部小さいんだ。
「ぼく、おっ、きく、った」
「ああ、レオンは立派だ」
お父様が頷いたら、揺れてびっくりしたけど……嬉しいのと楽しいのでいっぱいになる。僕、今だけ悪い子になるね。ろじぃが生まれる前みたいに、僕だけ見てくれて嬉しい。でもろじぃには言わないよ。僕はお兄ちゃんなんだから。




