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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
第三章

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291.双子の取っ組み合い

 お茶会まであと五日、大きなトラブルはなく準備が進む。ヘンリック様はマルレーネ様のお茶会参加が響いたのか、はたまた我が家のお茶会で休むために頑張っているのか。休みが取れずにいた。玄関先で、今日もお出迎えをする。


「おとちゃま、おかあり、ちゃい」


「おかえりなさいませ、ヘンリック様」


「今帰った」


 疲れを顔に出さないヘンリック様は、嬉しそうに頬を緩める。今日はエルヴィンが残っていたため、一緒に挨拶をした。通りすがりに、さりげなくエルヴィンの頭を撫でる。私と同じややくすんだ金髪がくしゃりと乱れ、エルヴィンの目が見開かれた。嫌ではなく嬉しいのね、頬が緩んだわ。


「旦那様、お預かりいたします」


 上着をさっと受け取ったイルゼが続き、フランクは手帳を片手に本日の出来事を報告する。斜め後ろに従うベルントは、大事そうに鞄を抱えていた。公爵家の日常は穏やかで、今日も平和そのものだ。


 問題があったのは、シュミット伯爵家の方ね。ユリアンとユリアーナがいない理由もここにあった。あの二人、届いたお茶会の衣装を前に喧嘩を始めて……あまりに酷いから、お父様が拳骨をくれて連れ帰ったの。


 当初の予定通りの正装なのだけれど、双子で同じ色を使ったのよ。以前は貧乏すぎて、あちこちから布をかき集めて服を作っていた。お陰で私の裁縫スキルはなかなかのものよ。その時も同じ布を使っていたから、お揃いの色合わせ自体は珍しくない。


 今回は、なぜか気に入らなくて衝突したの。文句を言ったユリアンに対し、ユリアーナが呆れたと溜め息を吐いて……どうしてか取っ組み合いになったのよね。あの二人、お互いの弱点も癖も知り尽くしているから、遠慮なく本気で殴っちゃうの。


 お茶会前に顔に傷を作ったら困る。私が止めに入ろうとしたら使用人達が間に入り、最終的にお父様の拳骨でケリがついた。今晩は罰としてパンとお茶だけにして、離れに下がらせたわ。今からでも違う服を用意した方がいいかしら。


 リリーやマーサに相談したら、思わぬ答えが返ってきた。


「服が気に入らないのではないと思います」


「ユリアン様は伝え方が不器用です」


 不器用? 先を促すと、マーサは「一方的な見解なのですが」と前置きして話し始めた。途中でユリアーナが「私だって我慢しているのに」と口にしている。その部分でさらに激高した様子から、我慢せず言えばよかったと思っているのではないかと考えたらしい。


「ユリアーナはフリルや刺繍を減らすよう指示したのよね」


 服の注文をする際、デザイン画をじっと見つめた後で変更した。あれは大人っぽい装いを好むようになってきたのかと思ったけれど、逆なのではないかとリリーも指摘する。


「勘違い、してそうだわ」


 お金が入ってきたのは、姉のお陰。ある意味間違っていないが、お父様が奪われていた権益を取り戻した恩恵もある。お茶会のドレスに遠慮したのなら、私の態度か伝え方に落ち度があったのだわ。


「少し話し合う必要がありそう。時間を作りましょう」


 リリーやマーサのように、少し引いた位置から見ていたらわかる。でも当事者になったら、理解しにくくなるのね。王太后マルレーネ様の場合も同じだわ。一度引いて全体を見回す余裕があれば、変化に気づきやすい。私も覚えておきましょう。

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― 新着の感想 ―
本気の取っ組み合い!怪我し無ければ?有り??父親の拳骨で喧嘩を止めるとはwなんだかんだ仲良し家族! でも、まだまだ家族に金銭面で遠慮がある様子?経済面が心配?アマーリアさんとの話し合いで解決出来そうで…
ケチっていたからユリアンはツンデレ発揮したのですね( *´艸`) 小人は猫作者さんの背に乗って中庭から離れに向かいます。今こそ、猫作者さんの爪の出番です。窓からピ○キングしましょうヾ(≧∀≦*)ノ〃
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