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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
第二章

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229/685

229.久しぶりに三人で夕食

 まだ回復していないエルヴィンを囲み、伯爵家は離れで夕食を摂る。そう聞いて、私とレオンは本邸に戻った。寒くなる前に帰らないと、歩く間に風邪をひいてしまう。


「旦那様の馬車が見えます」


 本邸の玄関先で聞こえた音に立ち止まると、振り返ったリリーが出迎えの位置に移動した。


「お父様が帰ったわ、レオン。お出迎えしましょうね」


「うん!」


 レオンはご機嫌で頷くも、鼻を啜る。やだ、風邪ひかせちゃったかしら。抱き上げたレオンの手が、いつも通り首に回される、ひやっとした。失敗したわ、上着を着せていけばよかった。


 まだ暖かい時間だったので、油断したわ。エルヴィンに猫の話をしていたら、予定より長居になったのも原因ね。頬を寄せて、冷えた手を包んで温める。


「あたかぃ」


「寒かったのね、次からは教えて頂戴」


 こくんと頭を縦に振るが、レオンに寒かった自覚はなさそう。不思議そうな顔をしていた。


「帰った」


「お疲れ様でした、ヘンリック様。お帰りなさいませ」


「おぁえり! まちぇ!」


 つまみ食いしたような挨拶でも、ヘンリック様は嬉しそう。近づいて手を伸ばし、ぴたりと止まった。


「洗ってくる」


「はい。食堂でお待ちしますね」


 手を洗う習慣は、私が使用人を通じて徹底してきた。この屋敷に来てから、かなり口うるさく広めたの。ヘンリック様もフランクやベルントに言われ、この頃は習慣付いてきたようだ。


 これだけで病気を家に持ち込む可能性が、かなり下がる。この世界の医術はさほど進んでいないから、罹ってからだと大変なのよ。食堂へ向かう途中で、私達も手を洗った。もちろんうがいも忘れない。


 レオンはまだ上を向いてのうがいは危険で、口を漱ぐだけに留めた。前に真似して、飲んじゃったのよ。しかも咳き込んだから苦しそうで、可哀想になったわ。


「でき、た」


「えらいわ、レオン。ご飯のお部屋に行きましょうね」


 ふんふんとご機嫌のレオンはなにやら歌っている様子。鼻歌に近いが、猫がどうとかこうとか。歌詞は聞き取れなかった。


「レオンのお歌は上手ね。あとで聴かせてほしいわ」


「いぃよ」


 先ほどより大きめの声で歌いながら、レオンは食堂に足を踏み入れた。気のせいかしら、先ほどと曲が違うみたい。


 寒さが厳しくなるようで、窓ガラスは曇っていた。室内は暖炉に火が入り、半袖で生活できそうなくらい暖かい。ヘンリック様と三人で円卓を囲み、今日の出来事をお互いに報告する。レオンは興奮した様子で、猫の大きさや色を説明した。


 頷くヘンリック様と、両手を振り回して説明するレオン。本当に眼福だわ。ずっと見ていたいと心から願った。

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― 新着の感想 ―
曲が変わる空歌wそれとも別の歌?でも、きっとネコちゃんの歌でしょうw 手洗いうがいは大事ですね! ヘンリックさんとレオン君、すっかり仲良し親子!当初からは考えられないですね!本当に良かった!
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