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書籍化【本編完結】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
第二部

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182.お父様が倒れたわ

「あっ、お父様!」


 王宮での話をしたら、お父様が倒れた。咄嗟に支えたのは、執事のベルントだ。玄関まで迎えに来てくれた家族と、絨毯の部屋でお茶を飲む支度をしていた。といっても、お茶を淹れるのはマーサなのだけれど。


 イルゼは最近出入りする業者との打ち合わせ、家令フランクも同行している。棒のように突っ立ったまま倒れるお父様を、ゆっくりと横たえたベルントは苦笑いした。


「気を失っておられるだけです」


「ありがとう、助かったわ。ベルントのお陰ね」


 一歩間違えたら、大ケガになるもの。頭を打つとか、途中で家具にぶつかるとか。ピンと手足を伸ばして倒れる姿には驚いた。まあ、貧乏伯爵のシュミット家が王宮に行くなんて、夢のまた夢だったもの。


 衣装はない、ツテもない、用事もない。そんな我が家の嫡子エルヴィンが王太子殿下……もうすぐ陛下になる方の友人候補よ? マルレーネ様がピアノを指導してくださるなら、私もピアノにすればよかったわ。ユリアンを見張れたのに。


「本当に王宮へ? そんなことが……」


 言葉を失って目を彷徨わせるエルヴィンの隣で、握り拳を突き上げるユリアン。もう不安しかない。絶対に何かやらかすに決まってるもの。大きな溜め息を吐く私の肩を、ヘンリック様が叩いた。屋敷に入ってから、リリーの仕事を奪って車椅子を押しているの。


 帰りはドレスを着替えなかったので、控え室にワンピースも置いてきてしまった。それに皺もついてしまって……でも、これを手直しする使用人の給料になるのよね。すぐ着替えて皺を伸ばしたいけれど、ここは我慢よ。


「ヘンリック様、降りたいのですが」


「ああ、任せろ」


 嬉々として抱き上げ、絨毯に下ろすヘンリック様は機嫌がよさそう。ふと、マルレーネ様の言葉を思い出した。愛……まあ、あるかもしれないわ。レオンと同じ感じの、そう家族愛が近い。幼少期に厳しくされて愛情不足だったから、母親として振る舞う私に懐いたのよ。


 うんうん、と納得してお礼を告げた。笑顔になるヘンリック様は、やっぱり可愛い。恋愛対象ではなく、庇護対象ね。レオンと同じレベル、分類したら落ち着いた。


「おかぁしゃま、あのね……ぎゅっとして」


「あら甘えん坊ね」


 普段と違う環境で遊んだからか、レオンが抱きついた。受け止めて膝に引き上げる。そのまま向かい合って、膝に座るレオンの背中をぽんと叩いた。頭をぐりぐり押し付ける仕草に、もしかして? と横から顔を覗き込む。


 ぷいと横を向いて隠す仕草から、眠いのねと判断した。何度も黒髪を撫で、軽く体を揺らす。


「アマーリア、痛くないか? 代わった方が」


「しぃ、もうすぐ寝ますから」


 お昼寝の時間なのでは? ベルントが口を挟み、ヘンリック様は出した手を引っ込めた。寝てしまえば、運んでもらうこともできる。でも、折角だからもう少し。こうして抱っこしてあげられる期間は短い。


 あと数年したら「僕はもう子供じゃありません」と拒否されると思うわ。成長は嬉しいけれど、まだ今は可愛い幼子を甘やかしていたいの。

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― 新着の感想 ―
2周目、感想。 アマーリアさぁん、レオン君のソレはおとしゃまが振り撒いてるおかしゃまへの愛を感じ取っての嫉妬では……? ちなみにおかしゃまはミリも気付いてないよーレオン君……(TT)
家族愛…アマーリアさんからしたらそうでしょう。ヘンリックさん的には??家族愛が半分以上しめてそう…w 何年経ってもレオン君はアマーリアさん大好き!な予感がw
倒れたお父様と、手裏剣で尻尾を負傷した猫作者さん纏めて小人ポーション仕込みました。 真面目なエル君はともかく、やんちゃなユー君はハラハラドキドキ。 きっとお父様の胃にダイレクトアタックされたのだと思い…
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