表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍化【本編完結】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

168/683

168.子供というより大型犬ね

 馬車の概念が変わるわね。座って乗るものと思っていたけれど、横になって移動ができる。二台が接続した形で作られ、車輪は六つもあった。私とヘンリック様、レオンが一緒よ。


 行きに私達の使った馬車を、お父様達が借りた。伯爵家の使用した馬車が使用人に下される。新しい馬車が上に入って、順番にグレードアップした形だった。公爵家の新しい馬車は、寝台式ね。一番後ろに車椅子を固定する台があったわ。至れり尽くせりだ。


「ありがとうございます、とても楽ですわ」


 出入り口は進行方向に対して左側にある。右側と前後は柱型の枕に似たクッションが設置されていた。その上へさらに柔らかいクッションを並べ、寄りかかって休む。レオンは中央を転げ回り、私が乗ったら大人しくなった。


「もう転がらなくていいの?」


「うん、おかぁしゃまに、ぶちゅかりゅから」


 まあ、言葉が一気に成長したわ。噛んでるけれど誤差ね。単語の間に助詞が入っている。私を気遣ってくれる優しい義息子の頭を撫でた。


 寝そべる形で馬車に乗る私の横に転がり、レオンは擦り寄った。胸元に抱えて黒髪に口付ける。ふと視線を感じて顔を上げれば、ヘンリック様がこちらを見ていた。靴を脱いで乗った馬車の中で、心なししょんぼりした様子だ。


 そんな顔をするくらいなら、素直に飛び込んでくればいいのに。苦笑いが浮かんだ。本当に手間のかかる()()()()()だこと。弟ができて、母親を奪われまいとする長男みたいよ。自分で思い浮かべた例えに、くすっと笑った。


「ヘンリック様も、どうぞ」


 手を差し伸べる。自分から甘えられるほど、ヘンリック様は子供じゃない。でも割り切って見守れるほど大人にもなれないの。甘えられない子供の姿は、こちらが切なくなるわ。


「いい、のか?」


「ええ。屋敷まで仕事は禁止です。ごろごろして過ごしましょうね」


「わかった」


 素直に頷き、四つ這いで近づいてくる。子供より大型犬かしら。ごろりと寝転んだ彼が、腕を伸ばして私を後ろから抱きしめる。驚いて固まった。


 レオンがいるから、川の字だと思ったの。後ろから私を抱きしめ、私がレオンを引き寄せて……知らない人が見たら溺愛家族だわ。


「へ、ヘンリック様?」


「なんだ、アマーリア」


 肩に顎を載せるような姿勢で、私に答える。吐息が首筋に触れて、軽く身を竦めた。擽ったいわ。


「おとちゃま! おかぁしゃま。ぼく!!」


 レオンがにこにこと数えるように指を折る。その仕草が可愛くて、もう一度頬を擦り寄せた。真似るように、ヘンリック様が私の髪に頬を寄せる。ややくすんだ金髪に顔を埋め、じっと動かなくなった。


 寝ちゃったのかしら。ベルントの声が聞こえ、出発した馬車が揺れる。ヘンリック様の腕は緩まないが、彼は動かなかった。やはり寝たのだと判断し、私も目を閉じる。


「あふっ……」


 可愛い欠伸の声が聞こえ、ちらりと確認したらレオンが口を手で押さえていた。移った欠伸をしたら、後ろでヘンリック様も釣られたみたい。車輪の音を聞きながら、居心地のいい馬車は帰路についた。






*********************

年末年始の更新案内

 通常通り、大晦日も元旦も更新予定です。もし途切れたら「ああ、忙しいんだな」と察してください(o´-ω-)o)ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
楽しい作品をありがとうございます。 良いお年をお迎えください!
お兄ちゃん、そして大型犬!ヘンリックさんガンバwと思ったら…後ろからギュッ!よくやった!ヘンリックさん!偉い! 溺愛家族!素敵ですね!
帰宅=あの人の排除が完了 無能vs有能2人組なので各根回しにひと月も掛からなかった模様 そんな中でも新型馬車の作製や屋敷の改修に動くヘンリック様は凄いですね 馬車は今後要介護者の搬送で普及しそうです …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ