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指名手配?


 あれから、拠点に寄っては冒険者ギルドで達成報告して、新しい依頼の受付を行い、ゴブリンを始めとしたモンスターの討伐を行っては、次の拠点に向かい、という事を繰り返している。

 故郷の村が遠いので、旅程はまだ半分に行っていない。

 

「次。よし! 通っていいぞ。

 あ、そこに指名手配が貼り出されてるから、見かけたら警備に知らせてくれ」


「はい、ありがとうございます」

 確認のためにも、言われた貼り紙をちゃんと見る。

 思ったより遅かったな、位の感想だ。

 

「アンジー……」


「行こう、ステイト」

 幼馴染の手を引いて、町中に進み入る。



「あ、あそこ。

 石炭、売ってるかな?」

 雑貨屋の看板を見つける。


「ピィ!」

 最近、愛鳥(フェニー)の食べる量が増えてきて、ちょっと困っている。


 拠点の規模が小さい方が、1軒しかない店が何でも扱っていて便利だったりする。

 この町はもうちょっと大きいから心配したが、偶然、食料よりも日用品の方の取り扱いが充実した方の店に当たった様だ。ラッキー。

 冒険者が石炭を多量に購入するのを、少し不審がられたが、無事買えた。


「ステイト。

 今日は別行動しようか。

 先に宿を取って、フェニーと待っててくれる?」


「アンジー……、でもぉ」


「私なら大丈夫だよ」


「分かった。任せてぇ」



 この町の規模と同じく、木造平屋建てと、この世界で割と一般的な冒険者ギルド支部に入っていく。

 中も大体の冒険者ギルドと一緒だ。依頼が貼ってある板が置かれている部分が最も広く設けられていて、奥にメインの受付カウンター、冒険者用のアイテム類の売買コーナーと、居酒屋っぽい雰囲気の飲食スペースがある。

 混み始める時間になってしまったので、多少並ぶ。


「依頼達成の確認と、この依頼の受付をお願いします」


「はい、拝見。

 ……はい、報酬がこちら、ご確認ください。

 ……大丈夫ですね。

 では、依頼の受付も完了しました。

 ご利用ありがとうございました」


 特に問題なく、終了。


 出ていく前に、酒場っぽいスペースに貼り出されている指名手配を見ていく。

 門で見た物と同じだった。


「馬鹿にしてるよなぁ、それ」

 近くに居た冒険者が声をかけてきた。

 やや顔が赤いので、もう飲んでるのだろう。


「本当ですよね」

 特に気にする必要なさそうなので、普通に返す。


「ああ、それ?

 普通、見ないよな。

 賞金無しの指名手配って。

 というか、お前、なんで飲んでんだよ。

 人が受付してんのに」

 声をかけてきた冒険者の仲間と思われる男が、やって来て、同意してきた。


 2人はそのまま話し始めたので、目礼だけしてギルドを出る。


 道行く人に宿の場所を教えてもらう。

 この町には3軒あるそうで、近い方へ向かう。


「ピィー」

 しばらく進んでいると、フェニーが迎えに来てくれたので、肩に乗せて、案内してもらう。


「わぁ、きれーなとりさん!」

 母と思われる婦人に手を引かれた女の子に声をかけられた。


「ありがとう。

 故郷のちょっと珍しい鳥なんだ」


「ピィ」

 肩から腕に移して、女の子が見やすい様に位置を下げる。

 フェニーは、自慢げに胸をそらしている。

 ……意外と自己顕示欲、強いんだよなー。


「綺麗な鳥さん、見られて良かったわね」


「うん! とりさん、おねーさん、じゃあーねー」

 

 母娘と別れて、宿に向かう。



「お待たせ」「ピィ」


「ッアンジー、大丈夫だったぁ?」


「思った以上に、問題無し」

 部屋のドアを閉め、廊下の様子を伺ってから、ステイトの方に行き、気持ち小声で話す。

 フェニーは、暖炉に入っていった。


 教会から、私達の指名手配がされていたのだった。

 内容は「教会が保護したSSレアリティのジョブ持ちが、攫われた」


 しかし、私達に結び付く要素が無い。


 探されているのが「男2人」なのに、実際は「女2人」で成功しているのもある。

 似顔絵の特に私の方が全く似ていなくて、情報としてむしろマイナスになっている。


 さらに、懸賞金の設定が無かった。

 ……冒険者などが動く訳が無い。


「うそぉ、懸賞金、掛かってないのぉ?」

 

「気付かなかった?

 良く見たけど、金額どころか、そういう内容が何処にも書いてなかった」


 この世界、指名手配にも種類があって、国から出ているもの、町の自警団などからもっと小規模に出ているもの、各種ギルドから出ているもの、そして今回の教会から出ているものなどがある。

 そして、出した団体が懸賞金をかけるのが基本だ。


 懸賞金が無いと、関係者以外は探さないだろう。

 金額の大きさで、探し方の本気度も分かる。

 

 村に指名手配の情報が回って来る事はほとんどなくて、聞いた事しかないけど、正直、懸賞金なしの指名手配とか、初めて見たって感じ。


「……僕の事だって分かってから怖くて、ちゃんと見れなかったから、気付かなかったぁ。

 でも、懸賞金掛かってないなら、平気だねぇ。良かったぁ」


「これからも普通に冒険者しよう。

 モンスターも増えてるみたいだし」


 夕方、何処の冒険者ギルドに行っても、討伐系の依頼が残っている。

 聞いてみると、依頼が増えているのに加えて、現地の冒険者には少し難易度が高めのものが増えているそうだ。

 それで、ちょっと割が悪めの依頼が余ってしまうそうだ。


「ねぇ、アンジー、僕も頑張るから、残っちゃってるの、出来るだけ受けてもいいかなぁ?

 依頼出した人、きっと、困ってると思うんだよねぇ」


 そんな訳で、達成報告報告と一緒に残った依頼を受けている。

 私達は、必要経費が少なくて済むから、問題無いし、出発前にギルドに寄らなくてもいいのも、都合がいいからね。






読んで下さってありがとうございます。

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