第2部
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いよいよ、今日から授業が始まる。僕の通う学校は家から近く歩いて行ける距離だった。出かけるギリギリまで睡眠をとり、朝ごはんを食べ家を出る。辺りをキョロキョロしながらもしかしたら彼女がいるかも知れない、そんなことを考えながら教室に着いてしまった。相変わらず僕の隣の席は欠席だ。入学式から早々休んで大丈夫なのだろうかと考えながら授業を受け、また彼女のことを考えながらぼーっとしていた。
「おい、山岡!聞いてるのか?」
「え?...あっすみません」
問題を当てられていたようだった。
このクラスの人は誰も僕に答えを教えてはくれなかったが授業内容は全て予習済み、簡単に答えることができた。
担当の先生は弥山に皺を寄せながら僕の答えを正しいとみなし解説を始めていた。僕はホッとしてまた彼女について考えていた。
もしかしたら僕の隣の席は彼女かも知れない、彼女であって欲しいそんなことを考えていた。
ふと気がつくと辺りが騒がしかった。昼休みだった。僕はいつの間にか寝てしまっていたみたいだった。友達のいない僕には起こしてくれると人もいない、まぁ寝るほうが悪いんだけど。
この高校は本校舎の隣に旧校舎があり部活や実習など特別な用がない限りは使うことはない。そこは誰もおらず静かだ。僕の教室からは5分程度で行けて友達のいない僕にとっては最高のスペースだった。鍵が空いているためいつでもどんな時でも誰でも自由に入ることができる。だからこの高校で過ごす3年間分の昼休みは全てこの旧校舎にいようとオープンキャンパスの時から決めていた。母の作ってくれた弁当と水筒を持ち旧校舎へ向かう。辺りは騒がしくて僕の背中は縮こまっていた。旧校舎の重いドアを開け入ろうとした時声が聞こえた。聞き覚えのある声だった。まるで自分を包み込んでくれるような優しい声気付けば僕はその声の元へ走っていた。「うわぁっ!びっくりした....って君、昨日の子?じゃない?」
僕は息を呑んだ。夢にまで見た彼女が目の前にいた。
「そうです!昨日の"クリスマスローズ"の...」
覚えてくれてたんだ、嬉しい。
「だよね!良かったまた会えて、会いたいって思ってたんだ〜この曲歌えば来るかなって思ったらほんとに来ちゃったしね笑ほんとは名前聞けば良かったんだけど急いでたから聞き忘れちゃってさ、ごめんねー」
「あ、いえ僕も名前を聞くの忘れてしまってすみません。」
「君も名前知りたかったのかーじゃあお互い様だね笑笑」
笑顔が素敵な人だなと思った。
「ところで歌よく歌われるんですか?」
「んーまぁ趣味程度だけどね、もしかして下手だった?ごめんねもっと練習する!」
「すごく上手でしたよ、本物かと思いました」
「そんなお世辞いらないって笑」
本心だ。彼女の歌はほんとに上手だった。本物だと言われても気づかないと思う。それくらい彼女の声に魅力を感じた。
「あ、そうだそうだ名前!君の名前は?」
「僕は山岡友明です。あなたは?」
ひとつ間があったあと彼女は言った。
「私は谷坂柚って言うの、ちょっと訳あってあんまり学校には行けてないんだ」
谷坂、柚?聞いたことのある名前だった。
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