君と探す夏10
よろしくお願いします
夕食は三人で食べた。他愛のない話で終わった。特に君のことに関して話すことも無く進展もなかった。食器を片付けて、僕は君と二人で歯磨きをして部屋に入る。
そんな空間で、いつもはあまり感じないシャンプーの匂いが、僕の気を狂わせている。
「ねえ、結菜のことが気になってるんだけど。結菜がどこから来て、本来いる場所が何処なのか知りたい」
お互いがお互いの布団に入って、寝転がった後。
僕はもう覚悟している。
「なんで知りたいの?」
「このままだと、君が悪者みたいだからだよ」
「悪者じゃ駄目なの?」
「わからない。でも僕は君が悪者には見えないから」
「そっか、じゃあ結婚する?」
「なんでだよ、話を逸らすな」
あひゃひゃ。
君の無邪気な笑い方にも、もう慣れて来た。
ただ、そんな君を知らないと僕は駄目だと思ってしまっている。
「結菜、探そうよ。君の居場所」
僕が覚悟した答えを君に問う。
少しの沈黙の後、君が何を言うのかと身構えている。
「探そっか、私たちの居場所」
不安な答えに、僕は部屋の電気を消した。
それからは何も言葉を吐かずに、後はゆっくりと遠のいていく意識と、窓越しから聞こえてくる雨音に身を任せていた。
おやすみ。
ありがとうございます