流れる僕ら4
仕事も大変や。
「夢見る少年少女たち!諦めなさいっ!私はここで2年間アルバイトをしてるけど!残念ながらお金はたまらないわよ!」
「ぐはぁぁぁぁ!」
なんとか保たれていた二ノ宮の希望。
最終的には、たまたま話を聞いていたアルバイトのあずみさんの言葉に現実を突きつけられた。
「あずみさんはバイトでお金どれぐらい稼いだんですか?」
「あー、百万くらいかな?」
「えー!」
「すげぇー!」
何気なく、僕らにとっては巨額すぎる言葉を口にするあずみさんに、崩れていた二ノ宮と、いつも素直な反応を見せる進藤が驚く。対して、天野さんは口に手を当てて可愛らしくもおとなしく、巨額さに目をまんまるとさせていた。
「まぁね!頑張って来たから!まあ、服とか化粧品とかで全部使っちゃったんですけどー!でやっはっはっははあー!」
誇ることでもないことを自慢げに言い放ったあずみさんは、そそくさと仕事に戻っていった。
「もう東京とか観光とかもうどうでもいいからさ。私も百万欲しい」
「あかね、お前ほんとクズやん。俺らの気遣い返せよ」
「僕もそう思う」
「うるさいっ!」
どんっ。
「いだぁ!なんで僕だけなんだよ!」
似合う茶色のローファーを履いた二ノ宮の蹴りが僕の脛に当たった。
んふふ。
俺も百万欲しい!