流れる僕ら3
よろしくお願いします
「いや、金がねーのよ。金が…」
いくら入念に東京へ行くと言う考えを進めても、進藤が言ったように、お金の事情は変えられないのだ。故に、二ノ宮が唐突に出した夢ある提案は、早々と散った。
「確かに、お金稼ぐこと事態ここじゃ無謀かもね。時給的に」
「じゃあいいもん!どうでもいいもん!」
ダメ押しの言葉を僕が言うと、二ノ宮は悔しそうにテーブルに伏せた。そんな二ノ宮の肩を優しく撫でた天野さんは、頬を膨らませて僕らを可愛げにも睨みつけていた。
「えー、だってよー。実際問題、ほんとに金がないんだからしょうがないだろ?夏休み一ヶ月しかねーし」
「そ、そうだよ」
頑張ってどうにかなる話なら行動してみる価値はあるけれど、夏休みと言う1ヶ月の期間では、どうにもこうにもお金という壁を乗り越えることは難しそうだ。
「行きたいのー!とーうーきょーうー!」
机に伏せたまま足をばたつかせ、子供みたいに駄々をこねる二ノ宮。そんな我儘な二ノ宮に対して僕と進藤は言葉を失う。
「茜ちゃん、頑張ればなんとかなるよ、たぶん」
本当は天野さんも無謀な事だと理解していそうだが、なんとか二ノ宮を慰めている。
「だよね!ありがとう!やっぱり私には結奈しかいないよー」
んふふっ。
ありがとうございます