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流れる僕ら36
よろしくお願いします
辺りはもう暗い。足が浸る浅瀬の底は、もう見えなくなった。月の光だけが僕らの身体を照らしてる。波の音も、君と僕の話し声も、この暗い夜にはよく響く。
「説得くらいはしてみるよ」
「ほんとに!?ありがと!」
冷静になって来て、気持ちの整理もついた頃。
ようやく覚悟ができた僕は、今から家に向かう。もちろんこの少女も連れて行く。もしかすれば、何日かは家に泊まることは了承されるかもしれない。仮に駄目だとしたら。その時はその時に考えるしかない。
「あのさ、あんまり期待しないでよ?」
「うん!してないしてない!ぜんっぜんしてないよ!」
いや、めちゃくちゃ期待されちゃってるじゃん。断られたらこいつの悲しんだ顔を見るのは僕の方なのだからやめてほしい。それに、たとえ了承が出たところで、こいつの寝床なんてないし貸す服も無い。問題点が多すぎて話にならない。
だから、今更にも、冷静になってしまった自分にゆっくりと後悔している。
ありがとうございます